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シナリオガイド

彼らの楽園はどこにある!?
シナリオ名:動物たちの楽園 / 担当マスター: 舞傘 真紅染

 イキモ・ノスキーダはとても緊張していました。

「お久しぶりです、旦那様」

 目の前には、イキモを裏切った元・執事がいます。緊張しているイキモとは違い、執事は穏やかな表情を浮かべていました。
 とても裏切り行為をした人物の表情とは思えません。ゆえに、イキモは戸惑った様子を見せました。
「ずっとあなた様のお傍に仕えさせていただいてきました。辛い時も、悲しい時も……あの事故の時も」
「!」
「意外と思われるかもしれませんが、あの子(動物)たちに感謝しているのです。あなたに笑顔を取り戻してくれたことを」
 ガラス越しにいる執事は、いつもイキモを励まし支えてくれた、落ち着いた笑みを浮かべていました。イキモの困惑が深まります。
「ですが、どこかで不満があったのでしょう。誰よりも人とのきずなを大事にしていたあなたが、動物たちを優先するようになったことに」
「そ、れは」
「そんな心の隙間に、付け入られたのです。これは私の落ち度であり、旦那様のせいではありません」

 2人の間に、しばし沈黙が降りました。今まで淡々と話していた執事が、躊躇したそぶりを見せました。しかし意を決したように目に力を込め、口を開きます。
「私が1人で出かけたある日のことです。私は、何者かに襲われ、どこかへ連れて行かれました。
 そこは、あなた様に脅迫状を送った組織を飼っていた者の屋敷でした」
「な!」
「やつは私の心をよく知っていました。私の弱いところをついてきたのです。……言い訳させていただくならば、それでもあなた様を裏切る気持ちはありませんでした。
 ですが、やつには切り札があったのです」
 そこで再び、執事は言葉を切ります。

「やつの傍には……あなたの御子息がおられます。おぼっちゃまは、生きておられたのですよ」

 イキモは今度こそ、言葉を失いました。

* * *

「まったく、どうなっておるんだ」

 イライラと机をたたくのは、お腹がぽっかりと膨らんだ男です。丸々とはれ上がった指には、高そうな指輪がつけられています。
「あのゴロツキどもを処理するのと同時にイキモと契約者どもの縁を切るはずが、余計に強固にするとは!」
「も、申し訳ありません」
「ばかもん! 申し訳ないですむか!」
「ひぃっ」
 男の前にいた部下が、恫喝に悲鳴を上げます。相当怒っているようです。
「イキモのやつめ。どれだけわしの邪魔をすれば気がすむというのだ!」
 どんどんっと再び机をたたき、部下たちが身を縮めます。そんな様子を見かねた1人の青年が声をあげました。

「まあ、落ちつけよ、父さん」
ジヴォートか。これが落ち着いていられると思うのか?」
「焦っても、事態は悪い方にしかいかねぇ。いつでも冷静に対処しろ。そう俺に教えたのは父さんだろ」
 呆れた口調の少年に、男が口を閉じました。それから、にやりと口角を上げます。

「なるほど。良い作戦がある、ということだな」

 青年もまた笑いました。

「結局、最後に勝った方が勝ちなんだよ」

 笑う青年の優しげな青い瞳は、どこかイキモと似ていました。

* * *

「これまた、難題ですね」
「いつもすみません」
 話を聞き終えた山葉 涼司(やまは・りょうじ)が呟きました。
「あの密売組織に資金援助をしていたのはあなたの親友で、そしてそいつのもとにはあなたの御子息がいる、と」
「……直接見たわけではありませんので確定はできませんが」
 うなだれるイキモは、やつれているようにも見えます。それも仕方ないでしょう。友人が敵であり、どういった経緯かは不明なものの、友人の元に自分の子がいる。
 実質、人質のようなものです。

「様子を探ったところ、どうも近々動きがあるようです。密売かもしれません……が」
「前回のように罠である可能性が高い、と」
「はい」

「……それでも、現場を押さえるしか捕まえる方法もない、か。ほんと、まいったな」
「あいつの……ワキヤの屋敷になら何か証拠があるかもしれませんが、潜入は容易ではないと思います。入りこめたとしても、すぐわかるような証拠を残しているかも不明ですし」
「はあ。今回も二面作戦がよさそうですね。密売現場を抑える部隊と、屋敷に潜入して証拠を抑える部隊……どちらも罠の可能性が高く、かなり危険ですし……息子さんは」
「……息子のことは、気にしないでください。どうやらワキヤに協力しているようで、止めるのも親の務めですから」
 俯いたイキモに、少しだけ目を細めた涼司でしたが、すぐさま行動を開始しました。イキモもまた、顔を上げて言いました。

「屋敷には私が行きましょう。客としてあいつを引きとめている間に、証拠を見つけてください」

 情報が漏れぬように慎重に、多方面に作戦への参加を呼び掛けたのです。

担当マスターより

▼担当マスター

舞傘 真紅染

▼マスターコメント

 おはようございます、こんにちは、こんばんわ。そして初めての方ははじめまして。舞い狂う傘、舞傘です。人生に踊らされるのが得意です。

 イキモの動物シリーズ第三弾です。前回(動物たちの守護者)参加されてない方でも気兼ねなくご参加ください。
 前回は、密売組織の一つをつぶすことに成功。しかし、その密売組織に資金援助していた黒幕を捕まえるまでは至らなかった。
 といった感じです。

 さて今回は、戦闘が多くなりそうではありますが、あくまでも動物たちの密売を行っている証拠を手にするが主目的です。
 が、一筋縄ではいきそうもなく、かなり強硬な手段で手に入れるしかありません。行動できるのは大きく分けて2つ。
 密売の現場を抑える と 屋敷に潜入して証拠をみつける です。
 どちらも罠である可能性が高く、戦闘にもなると思われます。両方を行うのは不可能ですので、どちらかをお選びください。
MCとLCを両方に配置した場合はダブルアクションと判断し、LCはMCがいる方での参加となります。ご了承ください。

密売の現場を抑える
 情報の真偽は怪しいですが、密売を未然に防げる可能性もありますので、放っておくことはできません。
 動物たちの安全も考慮する必要があり、戦闘になった場合は広範囲攻撃は控える必要があるでしょう。
 また、証言だけでは証拠とするには弱いので、確実な証拠(写真・映像・物品)を手に入れてください。
 できればワキヤとつながるような証拠が望ましいですが、そこまでは難しいかもしれません。

屋敷に潜入して証拠をみつける
 ジヴォートとワキヤはともに屋敷にいます。ジヴォートがどうしてワキヤに従っているかは不明ですが、イキモの息子であるのは本当なので、人質になる可能性もあります。
 ワキヤはイキモがひきつけてくれますので、その間に密かに証拠を見つけなければなりません。戦闘は速やかに、かつ静かに行う必要があります。また、イキモの護衛も必要かもしれません。
 屋敷はかなり広いので、くまなく探す必要があるでしょう。

その他の行動
 他の行動も歓迎です。
 しかし敵の一員として忍び込むのは、ワキヤたちが契約者を警戒しているため、かなり難しいです。


【イキモ・ノスキーダについて】
 人のよさそうな顔をしたややぽっちゃりした中年の男性。実際にお人よし。金髪碧眼。
 人脈を使って商売に成功したお金持ち。
 名前の通り、生き物が大好きで動物たちを保護し(かなり珍しい生き物もたくさん)、全員を子供と思って育てている。
 妻と子供を10年前に事故で亡くしていたが、どうやら息子が生きていた模様?

【黒幕 ワキヤについて】
 フルネームはワキヤ・クージャ。ツッコミは心の中でお願いします。
 イキモとは幼馴染であり、親友、のはずでした。が実際は、イキモを憎み、彼を苦しめようといろんな手を打ってきた人物。
 能力は全体的にイキモより上。イキモをねたんでいるようだが、理由は不明。

【ジヴォートについて】
 イキモの息子。17歳。
 10年前にイキモの妻とともに落盤事故で死んだと思われていたが、生きていた。
 なぜかワキヤを父と呼び、協力している。
※以下PL情報!
 実は記憶喪失で、ワキヤを本当の父と思い込まされている。その誤解が解ければ……。

▼サンプルアクション

・密売現場を抑える!

・屋敷に潜入して証拠を探す!

・イキモの護衛をする!

・息子の説得をする!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年06月26日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年06月27日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年07月01日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年07月13日


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