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シナリオガイド

迫る反逆者の刃、救えるか二人の命
シナリオ名:全ては、あの子の為に / 担当マスター: ウケッキ

 
 雨の打ちつける窓辺を、時おり鳴る雷の音を聞きながら、見つめている男がいます。
 クリム・トライゾン……コンロンの一領地を治める領主の私兵団の団長です。
 彼の足元には、男性の遺体が転がっていました。

「……馬鹿な選択だ」

 彼はそう呟くと、武器に付いた血を拭い鞘へと納めます。

 扉が開き、一人の男性が入ってきます。男性は酷く慌てた様子でした。

「団長、申し訳ありません! リールを取り逃がしてしまいました!」
「ほう……私兵団の団員たるものが、小娘に後れを取ったか?」

 振り向かずにクリムは重低音の声で語りかけます。その声は団員を恐怖させるに足りるものでした。

「も、申し訳ございません! 思わぬ邪魔が入った故……」
「……シエルか」
「は、はい! シエルが他の団員に攻撃を仕掛け、リールを連れて屋敷の外へ」

 雷鳴がクリムの怒りを表すかのように轟きます。

「たった二人……しかも戦えぬものを連れてでは、そう早くは逃げられまい。
 領地外に逃げられる前に仕留めろ。二人ともな」
「……はッ!」

 団員は一礼すると、部屋を出ていきました。

 クリムは口の端を上げ、にやりと笑うと呟きます。

「やはり動いたか……シエルよ」


 激しく降る雨の中を走る二つの人影があります。
 少女の手をしっかりと握り、手を引いている青年……シエル・プラージュは少女に強い口調で言いました。

「リール、頑張って! 雨で視界がはっきりとしないうちに距離を稼がないと!」
「わかってるッ! でも足元がぬかるんでてうまく走れ……きゃっ!?」 

 反論しようとした少女……リール・アンブシュールはぬかるんだ土に足を取られ、
 体勢を崩して転びそうになります。すかさずシエルが抱き止めます。

「……ごめん、少し速度を落とそう。リールはこんな状態の外なんて、歩きなれてないもんね」

 少女は強い眼差しでシエルを見つめると、言いました。

「大丈夫。今は一刻も早く、脱出するのが大事だから!」
「……うん、わかった。じゃ、行くよ」

 二人は手をしっかりと握りなおすと、走っていきました。


 椅子に座り、書類を読んでいる初老の男性、イスベルグ・アンブシュールの元に一人の女性が来ました。

「イスベルグ様、お忙しい所申し訳ありませんが、緊急事態が発生しております」
「ふむ。なんだ……聞こう」

 イスベルグは書類に向けていた目を、女性の方へ向けます。

「はい。コンロンの一領地にてクーデターが発生し、領主が殺害された模様です
「ほう、穏やかではないな。しかし、領地はコンロンから半独立状態の所も少なくはない。
 たった一領地での揉め事はそう珍しいものではないのではないか?」

 そう言って、視線を書類に戻そうとするイスベルグに女性は事務的な声色で言葉を続けます。

「はい。普段ならば、さして気にも留める事項ではありませんが……そのクーデターの起きた
 領地は、イスベルグ様のご子息の領地であり、孫娘リール様の所です」

 イスベルグの動きが静止します。その表情は先程までの落ち着いた表情と変わり、
 焦りの色が見えます。

「なん……だと? リールの……間違いはないのだな?」
「はい。早急に手立てを打つべきかと思われますが」
「クーデター……さらに領主が殺害されたとなると……屋敷の生存者は?」
「不明です。密偵からの報告によると、屋敷は既に静かであり、
 武装した私兵団が屋敷を出て、何者かを追いかけていったそうです」
「……屋敷の制圧までのこの手際……反逆者はクリムか」
「はい。密偵からの連絡が私兵団との接触直前で途切れていることから考えると、
 おそらくは」

 深呼吸して気分を落ち着けた後、イスベルグは女性に指示を出します。

「……契約者達に救援要請を送ってくれ。可能な限り多くの者に。
 クリムの鍛えた私兵団を相手にするとなると、人数は多いほうがいい。
 奴らは並みの私兵団ではないからな……
「了解致しました。では手配してまいります」

 女性は部屋を後にしていきます。
 誰に聞かれることも無いような、か細い声でイスベルグは呟きました。

「……リール、どうか無事でいてくれ」

担当マスターより

▼担当マスター

ウケッキ

▼マスターコメント

皆様こんにちわ、ウケッキです。
今回はコンロン地方の一領地で領主の私兵団によるクーデターが発生しました。

領主の一族は殺害され、生き残った領主の娘を連れて逃げるのは私兵団の少年。
彼はクーデターを起こす私兵団の考えに賛同できず、領主の娘を連れ、領地外へと脱出しようとしています。

二人が無事に脱出できるかどうかは、皆様の行動に掛かっております。


また、今回のお話は二話完結となっております。
では、ご参加お待ちしております。


■登場人物

・私兵団の青年 シエル・プラージュ
 私兵団に所属する一般団員。剣の腕前はそこそこで普通の団員よりは上。
 リールとは幼馴染みであり、団長の計画を聞いた際に私兵団を離反。
 リールを連れ、屋敷の外へと脱出した。

・領主の娘 リール・アンブシュール
 領主の一人娘であり、シエルの幼馴染み。
 活発な性格で、よくシエルを連れて屋敷内を走り回っていた。

・私兵団団長 クリム・トライゾン
 領主の私兵団の団長。元々は傭兵であり、彼の指揮する私兵団の練度は高い。
 長年領主の私兵団団長を務め、領主とは旧知の仲であった。
 そんな彼が、領主に反旗を翻しクーデターを起こした原因とは……

・領主の娘の祖父 イスベルグ・アンブシュール
 領主の父であり、リールの祖父。
 領地外の離れた場所に隠居しており、陰ながら見守ってきた。
 クーデターの報を聞き、孫娘を助ける為、契約者達に協力を要請する。


▼サンプルアクション

・逃走中の二人を一刻も早く助けなきゃッ!

・長年仕えていたのであれば、関係の悪化も考えられるが、理由が気になる

・依頼金分の働きはするぜ

・青年から領主の娘を奪い、身代金を要求する。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年09月25日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月26日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年09月30日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年10月12日


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