波羅蜜多実業高等学校

　ツァンダ北部、タシガン空峡の沿岸にあるこの村は、昔から度々空賊の襲撃に遭っていました。
　けれどここしばらくは空賊もすっかり鳴りを潜め、村は平穏を取り戻していました。
　――つい、数日前までは。


「未来から来た空賊ぅ？」

　村長邸の応接間。テーブル越しに村長と数名の村人に向き合って座ったフリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）は、訝しげな声を上げました。

「空賊の頭領がそう自称していた、というだけではあるんじゃが……」

　村長の眉間に皺を寄せた難しげな顔には、正体不明の脅威に対する恐れがまざまざと見て取れました。
　傍にいる村人たちも、悲しそうな顔をして頷き合います。彼らは、子供を人質に取られた親たちでした。

　フリューネにとって、村長の話はあまりにも信じ難い話でした。
　空賊の頭領が未来人だと自称していること。手下と共に、ペガサスやドラゴンに乗って村に現れたこと。
　フリューネには、ただの空賊とはとても思えませんでした。

「お願いします、娘を――リュイシラを助けてください！」

　村長とフリューネの会話に、村長の斜め後方に立っていた男が口を挟みました。
　その男の一人娘であるリュイシラは、空賊たちに未来で争いの火種を生むとして、村の子供たちと共に攫われてしまったそうです。

「リュイシラは、ただの女の子なんです！　空賊の言っていることは妄言です！！」

　空賊は「俺たちは未来の平和を守る義賊である」と名乗り、人攫い正当化しているといいます。

「人を攫っておいて、その言い分……絶対に許せないわ」
「やつらは『村人の家系図を差し出せ。さもなくば、村を破壊してでも奪い取る』と脅してきおった。じゃが……」

　村長は歯切れ悪く、言葉を続けます。

「……十年ほど前にこの村が空賊に襲われた時、あらかたの倉庫は破壊され強奪されてしまったんじゃ。
　わしの家の隠し倉庫も例外ではなく、住人の家系図は奪われてしまっておる……」

　フリューネは、村長の言葉の裏に何か引っ掛かりを覚えました。
　後で村人からも何か聞き出せないだろうか。心の中でフリューネはこっそりと思います。

「当時この村を襲った空賊の残党が、手元に家系図を持っていながら無理難題を吹っかけて来ているのではないかとわしらは考えておる。どうかこの村を救って下さらんか」
「この村には一台の大型飛空艇があります。私たちにはこれくらいしかできませんが、機動要塞から村の子供たちを、リュイシラを救い出して下さい！」

　彼らの話を聞いたフリューネは、機動要塞に乗り込むことを決意しました。
　一人だけで村を守り子供たちを救うことは難しいと判断したフリューネは、空賊に関する情報を流しました。その情報は人から人へと繋がり、全土へと広まっていきました。

　今、あなたの手にしている端末に、ちょうどフリューネからの知らせが届きました。

　こんにちは、または初めまして。八子　棗（やこ　なつめ）と申します。

　今回のシナリオは、ツァンダ沿岸部の村及びタシガン空峡が舞台となっています。
　フリューネの流した情報は広く伝わっておりますので、基本的にどなたでもご参加頂けます。

　このシナリオでは、主に以下の三つの場所アクションをかけて頂きます。
・タシガン空峡
・沿岸部の村
・機動要塞内
　その際、MCとLCは必ず一つの場所で一緒に行動するようにして下さい。


■空賊について
　空賊は機動要塞を拠点としています。
　戦闘の際、空賊は大型飛空艇だけでなくペガサスとドラゴンに乗った部隊が襲って来ます。
　ドラゴンには、炎や氷のブレスを吐いてくるものがいるようです。

■機動要塞について
　空賊の拠点となっている機動要塞は、打ち捨てられていた機動要塞を修理、改造したものです。
　また、村人が用意してくれた大型飛空艇に乗れば、飛行手段のないＰＣでも機動要塞に潜入することができます。

■空中戦について
　タシガン空峡での空中戦に参加する際は、以下のいずれかの条件を満たすことが必須となります。
・ペガサス等の動物イコン、大型飛空艇所持のＰＣであること（※その他のイコン（ロボット型等）は乗れません）
・飛行できる種族のＰＣであること（※ＭＣに飛行手段がない場合、ＬＣだけ空中戦に参加する、というアクションは掛けられません）
・飛行アイテム、スキル所持のＰＣであること

　この起動要塞のある一帯は気流が複雑に入り乱れており、ロボット型等のイコンを使用することはできません。
　そのため、空中戦においては動物イコンと大型飛空艇を使用するようにしてください。

■村について
　ペガサス部隊の奇襲などが予測されます。
　こちらは地上戦がメインとなりますので、飛行手段のないＰＣでも戦闘に参加することができます。

■リュイシラについて
　本名：リュイシラ・フィルツ。
　幼い頃から他人には聞き取れない音や感じ取れない気配に敏感だったそうですが、特に他の村人と異なった点はなさそうです。

■アクションの注意
　ＭＣとＬＣは一緒に行動するものとしてアクションを掛けて下さい。
「ＬＣは飛行できるがＭＣは飛行手段がない」という場合、空中でのアクションは掛けられなくなります。
　また、「空峡で戦ってから要塞の調査に向かう」等はダブルアクションとなり、片方しか採用できません。

・空中で賊と戦闘！

・地上で村の防衛！

・子供たちを救出！