だいぶ暖かくなってきたこの時期、皆様の周囲には風邪をひいた方もいらっしゃるのではないですか?
特に季節の変わり目になると昼と夜、屋内と屋外との温度差にやられて体調を崩すことがあるかと思います。
そんな時に頼るのが、薬です。
ちなみに薬とは、継続的に摂取することで効果が持続するものが大半です。一回飲んで終わりという薬はほぼありません。回復薬か、致死量の毒薬くらいしか。
さてさて、今回巻き起こる事件は、この薬というモノにまつわることでございます。
イルミンスール魔法学校で、新魔法薬の開発が行われ、三種類の新しいアイテムが誕生しようとしています。
たとえ一時的でも身体強化を図ることができれば、戦闘はぐっと楽になると思いませんか?
「うん! ぜったい楽になるよねー! 敵も撃破しやすくなるだろうし!」(見習いサムライ少女ちゃん)
「一時的とはいえダメージを気にしなくてもよくなるのは強みですね。魔力の節約にもなりますし」(通りすがりの魔法使い少年くん)
「間違いなく戦力になるだろう。駆け出しの冒険者たちの致死率の低下につながるのは間違いない」(何かとお節介な隣町のOB剣士じいさん)
と、アンケートを取ったうちの六割くらいが肯定的な意見を出してくれました。
ところがなんと、開発チーム新魔法薬三種類を試すべく、森を徘徊していたオークを三体捕獲。こともあろうにモルモットとして利用すべく魔法学校に連行されました。
オークは低いといえども知能を持っています。自分の身体に迫る危険に気付き、実験室からは悲痛な叫び声が響き渡ります。
さらに、森からはたくさんのオークたちが、さらわれた仲間のオークを救うべく魔法学校へと進行中。研究者たちはこれも予測していたのでしょう、新薬で強化された改造オークを駆り出して迎え撃つ腹積もりです。
すでに危険を察した学校はすぐに避難を指示。戦意のある生徒のみ残して退避しました。現在、改造オークは戦える生徒達と激しく交戦中です。
このままではオークの大群が到着し、学校内で大規模な戦闘が繰り広げられ、被害は計り知れません。
前述の通り、薬とは継続的に打ち続けて効果が持続するものです。薬の投与をやめれば時間経過で自然とドーピング効果は消滅します。しかも実験段階であったため薬はさほど多くはなく、ドーピングを解除する中和剤もわずかながら調合されています。ドーピングの継続時間はもって丸一日であると思われます。
丸一日が経過するころには魔法学校はめちゃくちゃにされていることでしょう。
勝利条件は研究に携わった科学者たちが持っている中和剤(液体状の飲み薬)を奪い、改造オークに投与すること。そうすれば元に戻り、仲間を取り戻したオークたちはまっすぐ森へと帰ります。
「科学の進歩に犠牲はツキモノなのだ! 実験動物の二匹や三匹惜しくない! わーっはっはっは!」
とか叫んでいる非人道的な研究者に制裁を下し、非道な実験に使われたオークたちを無事に森へと帰してください!