波羅蜜多実業高等学校

　福神社の朝――。
　社の外を見やった福の神　布紅（ふくのかみ・ふく）は、ああやっぱりと呟きました。
　昨晩から降りはじめた雪が積もり、境内はすっぽりと白に覆われています。
「きれい……」
　ふんわり積もった雪を、布紅はしばらく眺めました。
　このままにしておきたいけれど、毎朝お参りに来てくれるおばあさんが雪に足を取られてしまいそうです。
　通り道だけ雪をかいて、後は残しておこうかと思いながら、布紅は竹箒を取りに行くのでした。


　空京の一角の昼――。
「あ、アゾート！」
　買い物に来ていたアゾート・ワルプルギス（あぞーと・わるぷるぎす）を見付け、明夏　灯世子（めいか・ひよこ）は大声で呼びかけました。
「ひよ、何してるの？」
「雪だるま作ってるんだよー。たくさん作りたいから、アゾートも手伝って！」
　ほら、と灯世子が示したところには、こぶりの雪だるまが道路の端に沿うように並べられています。
「どうして雪だるま？」
「雪を見ると作りたくならない？」
「うーん別に……」
　そう言いながらもアゾートは、灯世子に付き合うことにしました。
　雪玉を転がして大きくしたものを、両手でよいしょと持ち上げて重ねようとするアゾートを、灯世子が慌てて止めます。
「あー、そこに載せちゃダメだよー。もうちゃんと２つ重ねてあるんだから」
「でも……雪だるまってスノーマンのことだよね？　だったら３段載せないと」
「雪だるまは２段だよね？」
「頭と胴体と足だから３段だってば」
「え？　足っ？」
「違うの？」
　２人は顔を見合わせるのでした。


　自宅で過ごす夜――。
「あら……月が出たようですわね」
　舞っていた雪はいつしか止み、月の光がさしていました。
　せっかくだからと白鞘　琴子（しらさや・ことこ）は庭に面した猫間障子を開け、部屋の灯りを消しました。
　雪の反射する月明かり。
　今晩はそんな仄かな灯りだけを頼りにして。
「雪見酒、と洒落込みましょうか、パラビー」
「お、いいな」
　乗り気になるパララビ　パラビー（ぱららび・ぱらびぃ）に微笑んで、琴子は雪見酒の準備をしに台所へと向かいます。
　今宵の肴は月と雪。
　きっといつも以上に美味しいお酒となるでしょう。



　今日は雪。
　冷たくふんわりとした白が世界を埋める中、何をして過ごしましょうか。

　かなり前になりますが、雨の１日をどう過ごすか、という『今日は、雨日和』というシナリオを出しました。
　今回のシナリオは、この雪バージョンです。

　雪の中で遊んでもいいですし、おこたに入って窓の外に見える雪を寒そうだなぁ、と眺めていただいてもいいですし、雪の中で宅配アルバイトでひーひー言ってる人もいるかも。カップルだったら寒いね〜っとくっつくチャンス☆
　雪が好きな人も苦手な人も、思い思いに雪の日をお過ごし下さいませ。

　今回は時間帯を【雪の朝】【雪の昼】【雪の夜】と３つに区切ります。
　お好きな時間帯を選んで、その時間に何をしているのかをお書き下さいね。

　設定としては２月の日曜日。学校は基本的にお休みですが、部活なり補習なりで学校で過ごしていただくことも可能です。

　ガイドの布紅は【雪の朝】。灯世子とアゾートは【雪の昼】。こちらに参加して下さっても構いません。琴子は【雪の夜】なのですが、自宅で時間帯が夜なのでまざるのが難しいかも、です〜。
　もちろん、皆様それぞれで雪の日を過ごして下さっていいですよ〜。

　今年は雪のニュースをよく聞きますが、私が住んでいる辺りはあまり降らないので、雪は物珍しいです。
　自分で雪だるまを作ったりはしないのですが、雪が降った後は大抵、駐車場に小さな雪だるまがちょこんと置いてあって、思わず微笑を誘われます。
　パラミタで過ごす皆様の『雪の日』はどんな日なのでしょう。ぜひアクションで教えて下さいね。

・雪の朝

・雪の昼

・福神社へ雪かき／遊びに

・空京で雪だるま作り

・雪の夜