波羅蜜多実業高等学校

　クリスマスも近づいてきたある日、大荒野に建つ種もみの塔屋上のパラ実分校種もみ学院に、若葉分校のブラヌ・ラスダーが駆け込んできて叫びました。

「カンゾー！　お前は一日俺様の奴隷だー！」

　種もみ生とカードゲームをしていたカンゾーが訝しげにブラヌを見ます。
「何だ、やぶからぼうに」
「何だじゃねーよ。約束だったろ、この前の合同学園祭の時の」
「ああ、あれか。細けぇこと覚えてんなぁ」
「細かくねぇよ、大事な約束だろ。だいたい、何でそっちの代表にかわいい女の子がいないんだよ」
「女ならチョウコがいるだろ」
「あいつ怖ぇじゃん。無理」
　チョウコは、かわいいと形容される容姿ではありませんし、ブラヌの好みでもありません。
　ちなみに一日奴隷として指名できる人物は、学園祭実行委員であり種もみ学院代表であるカンゾー、チョウコ、総長の三名のみです。
　とにかく、とブラヌはカンゾー達の机ににじり寄り提案しました。
「クリスマス、お前は一日俺のトナカイになれ。空を飛んでソリを引くんだ」
「俺は飛べねぇぜ」
「そこは何とかしろよ。本家Ｂ級だろ」
「本家Ｂ級カンケーねぇだろ。……ま、仕方ねぇな。約束だから何とかするか。で、クリスマスで盛り上がろうって話だろ？　パーッとやるんだよな」
「そうそう。シアルがリーアとごちそう作るんだってさ」
「そりゃいいな！　こっちでも何か用意するか」
　そこでブラヌはこんなことを言いました。
「テーブルなんだけど、種もみはカップル席と野郎どもの席を担当してくんねぇかな。それ以外はこっちで引き受けるから」
「大勢集まるなら分担したほうがいいな、わかった」
　カンゾーの了承に、ブラヌは内心でガッツポーズをしました。
　これで若葉分校の担当は、彼氏のいない一人参加の女の子や女子のグループとなったからです。
　ブラヌはまだ、かわいい地球人の女の子との契約を諦めていないのです。
「ツリーも飾るだろ。見せ合いしようぜ」
「何だカンゾー。もしかして、もう何かあるのか？」
「キラキラでレーザーが出るぜ！　神楽崎は来るのか？　びっくりする顔が見てぇな。呼んどけよ」
「じゃあこっちはお菓子のツリーだ！」
　話し合いの結果、招待客に何か一つ飾りを持って来てもらうことになりました。
　そして、肝心のパーティ会場ですが種もみの塔前に決まりました。
　種もみの塔を目印にすれば、来場者も迷わないだろうと思ったからです。
　開始は午後４時頃からです。
「んじゃ、若葉分校の奴らにも伝えてくるな。……そだ、瑛菜を呼んどけよ、せめて花がほしいから！」
　勝手なことを言い残し、ブラヌは慌ただしく帰っていきました。

　カンゾーはさっそくチョウコを呼んで話し合いました。
「レーザーが出るツリー？　大丈夫か、それ」
　チョウコはパラ実改造科がツリーに何か悪ふざけを仕掛けてくるのではと思いましたが、カンゾーはのん気に構えています。
「まあいいか。契約の泉の連中にも言ってくるよ。出張店舗出したい奴もいるんじゃないかな。あとは……蝋燭？」
　チョウコはテーブルに蝋燭の明かりを灯したいと思いました。
「地球からの移住者も呼ぼうぜ。クリスマスは地球の行事だから喜ぶんじゃないかな。給仕には天使の格好でもしてもらうか」
　チョウコは学園祭の時にアドレス交換した地球人から、地球のことをいろいろ聞いていたのです。
　それから瑛菜にもこのことを話しました。
「ぜひ参加させてもらうよ！　ちょうど今から狩りに行くんだ。何でも”勇者の肉”とか言われてて、食べると勇気百万倍になるんだとか！　いつもは言えないことが言えるかもね、ふふふっ」
「へえ、そりゃおもしろそうだ。告白タイムとなるか、不満の応酬となるか。ま、それはそれで喧嘩するほど仲が良いって言うしな」
「そーゆうこと。喧嘩もパーティの華ってね。じゃ、後でね」
　ケータイを切った後、チョウコはひっそり燃えていました。
「クリスマスには”勇者の肉”を食って告白して、イケメン彼氏をゲットする──！」
　チョウコのイケメンブームはまだ終わっていなかったのです。

　若葉分校の喫茶店に戻ったブラヌは、総長である神楽崎　優子（かぐらざき・ゆうこ）のパートナーのアレナ・ミセファヌス（あれな・みせふぁぬす）にパソコンからメールを送りました。
　クリスマスに種もみの塔で合同パーティをやるんで、女友達をさそって是非是非絶対来てほしいと。
　総長達は忙しいと思うから無理に誘わなくてもいいが、一応知らせておいてくれとも。
「当日は空飛ぶカンゾーが引くソリに乗れるぜ！　アレナちゃん用のミニスカサンタ服も数種類用意しておくぜ！　あと、この真っ白なコートとかアレナちゃんに合いそう。このふわふわなジャケットもなかなか……」
　そして、アレナに着せる服を選んでいきます。勿論パーティが終わったら回収し、ネットのブラヌのショップで販売をして儲けることが目的です。
「そっちはどうだー？　美味い料理できそうか」
　ブラヌが客席を覗き込んで言いました。
「んー……」
　客席のテーブルでは、生徒会長のシアルが料理本を難しい顔で眺めています。
「ま、作ったことないけど、何とかなるでしょ。リーアが手伝ってくれるっていうし」
「リーアはシアルと違って普通な料理も出来るもんなぁ。クリスマスだし……惚れ薬入りのケーキとか作ってくれねぇかなー、ふふふふふ♪」
「勿論そのつもりよ、分からない程度に微量に入れてもらうわ。いい男に食べさせるの」
　当たり前のように、シアルが言いました。
「そうだ、料理に身体がぽかぽかする薬も入れてもらおうぜ。外は寒いしな。でも女の子は薄着したいだろうしな〜！」
「よし、メインはこれに決定！」
　シアルは本をばっと広げて皆に見せました。
「お前それ……結婚式用の料理本じゃねぇか。ってそれ、ウェディングケーキじゃん！」
「うん、ケーキの色を緑にして、クリスマスツリーのようにするのよ。ツリーにもなり、食べても美味しいし、ケーキカットやファーストバイトも楽しめる！　最高ね」
「ははははは、まあお前に作れるわけねぇけど」
「黙れゴミムシ！」
「あてっ」
　シアルは本でブラヌの頬をビタンとひっぱたきました。
「見てなさい、最高のクリスマスツリーケーキを作るんだから！　リーアが」
　……というわけで、若葉分校ではウェディングケーキ風のお菓子のツリーが作られます。
　普通のお菓子や飲み物は勿論、ツリーに飾るお菓子のオーナメントも、是非持ってきてください！
　ちなみにリーアとシアルが作った料理には、身体が温まる薬が入っています。
　食べ過ぎると、温まりすぎて（脱ぎたくなって）しまいます。注意してくださいね！

こちらはパラ実の分校である、種もみ学院と若葉分校が合同で開催するクリスマスパーティのお話となります。
執筆は、冷泉みのりと川岸満里亜が行います。担当数は、３：２くらいかと思います。
担当マスターはご選択いただけませんが、種もみ学院関係と公式ＮＰＣ関連は冷泉、若葉分校関連は川岸の担当となる可能性が高いです。

こちらの合同クリスマスパーティは、若葉種もみ祭開催！　〜パラ実分校学園祭〜で入賞した企画の企画者である遠野歌菜様の願いにより開催が決定しました。歌菜様、素敵なご提案をありがとうございました！
学園祭にご参加いただいた方はもちろん、学園祭シナリオに参加されていない方のご参加も大大大歓迎です。共に賑やかで楽しく愉快なパーティにしましょう！　ちょっと…いえいえ、結構羽目を外しても問題ないです。パラ実ですもの。

各校のツリーには、どちらか片方に１アカウントにつき１つまで、飾り付けを行う事が出来ます。
奇怪なものや変な物、可笑しなお菓子まで大歓迎です！

●場所につきまして
描写可能な場所は、パーティ会場（種もみの塔）のみとなります。

●ＮＰＣについて
担当マスターのマスターＮＰＣと運営チームのマスターページに載っているＮＰＣのうち、来れる立場、状況のＮＰＣのみお誘いいただくことが可能です。
川岸担当のマスターＮＰＣにつきましては、お誘い可能かどうか、川岸のマスターページでご確認ください。
ＮＰＣをお誘いの際には１人につき、ＬＣを１名追加お願いします。こちらのＬＣは描写なしとなります。
尚、ガイドに登場しているＮＰＣに、協力や一緒にパーティを楽しむといった形で絡む場合は、ＬＣの追加は必要ありません。
グループや個人でＮＰＣを誘ってパーティを楽しむ場合のみ、ＬＣの追加が必須となります。
※グループでＮＰＣを誘う場合は、そのＮＰＣ個人にアクションをかける（話しかけたり、悪戯したり）方全員、ＬＣの追加が必要となります。誰かが誘ったＮＰＣと同じ場にいるだけでしたら、ＬＣの追加は不要です。

●その他注意事項
ダブルアクションにご注意ください。複数の行動が書かれていた場合、どれか１つだけ採用とさせていただきます。
但し、今回はМＣとＬＣの別行動をＯＫといたします。と、とはいえＬＣ全員バラバラはマスター陣が死にますのでご遠慮ください〜。別行動をする場合も、２シーンで収まるようアクションをお書きいただけましたら幸いです。
経験値目的（アクション欄に描写不要とお書きください）や、ＬＣのみで参加を希望される場合のＬＣの追加については問題ありません。
ＬＣのみで参加される場合は、ＭＣのアクション欄をＬＣのアクションにお使いいただいても構いません。

こちらは気軽に楽しんでいただきたい、パーティシナリオとなります〜。
このシナリオに関係のない話題の持ち込みや、皆で進めるべき物語を進展させようとする行為は、どうかご遠慮ください。

それでは、アクション楽しみにお待ちしております！

・ソリに乗せてもらう

・クリスマスケーキを囲んでワイワイ騒ぐ

・この絶好の機会を逃さない！

・スタッフとして働くよ