葦原明倫館

　山葉　涼司（やまは・りょうじ）が校内を歩いていると、見知らぬ女生徒にいきなりケータイで写真を撮られました。そのまま少女は走り去ってしまいます。

「……案外俺もモテるようだな」
　そう思って納得していたところ、その様子を花音・アームルート（かのん・あーむるーと）に見られてしまいました。

「あ、いや違うんだ花音、今のは単に……」
　涼司は誤解を恐れて説明しようとしたのですが、花音は真っ青になって叫びます。

「大変ですよ、涼司さん！　いまのは“呪いのケータイゲーム”です！！
　ケータイ写真を撮られた人は強制的に参加させられて、１週間以内にクリアできないと呪いで恐ろしい目にあうんです！」

　そんな呪いがあるものか、と否定しようと思った涼司ですが、魔法や怪物が実在するのに、どうして呪いなんてないと言い切れるでしょう？　花音が説明を続けます。

「昔、市川まこと（いちかわ　まこと）という女の子が『デスクエスト』というＲＰＧを１週間でクリアできるかどうか、友達と賭けをしたんです。
　でもその女の子は最後のボスを倒すための４つのアイテム、『絶望の剣』『悪意の鎧』『迷妄の楯』『欺瞞の冠』が手に入れられず、結局クリアできなかったんです。
　それでその子は罰ゲームで恥ずかしい写真を撮られて、それが元で自殺してしまったとか……」

　気がつくと涼司のケータイに見たこともないアプリがダウンロードされていました。『デスクエスト』と書かれています。主人公の顔アイコンには涼司の写真が使われています。ほかにも何人かのパーティーメンバーがいて、それぞれ誰かの写真が……

「１週間でコイツをクリアしないと俺は死ぬのか……？
　まて、このパーティーメンバーも呪いにかけられた連中じゃないのか！？」

このシナリオの参加者で「デスクエスト」をプレイしたい人は
もれなく“呪われている”ということになります。

４つのアイテムを皆で手分けして見つけゲームを攻略しないと呪いが解けることはありません。

攻略に必要な４つのアイテムを手に入れるには、次のような試練が待っています。

・『絶望の剣』　強敵が守っています。

・『悪意の鎧』　これも強敵が守っていますが、魔法を使う敵のようです。

・『迷妄の楯』　広大なダンジョンの奥深くに隠されています。

・『欺瞞の冠』　このアイテムは当時誰も見つけられませんでした。適当なキーワードで検索すれば見つかるかも？

デスクエスト上の戦闘は現在の自分と同じ装備・スキルで行うこととなります（自分と同様のデータがデスクエストに登録されているのです）。

また、デスクエストを直接プレイしない「呪われていない」状態でのシナリオ参加も可能ですが、行う事は限定されます。

・デスクエストを攻略する

・謎の少女を捜す

・プログラムを解析する

・涼司の邪魔をする