葦原明倫館

「カノン様、お待ちください」
「カノン様――」
　設楽　カノン（したら・かのん）にイケメンの男子生徒がまとわりつきます。
　カノンと同じく、パートナーのいない強化人間部隊の生徒たちでした。
　強化人間部隊の社会構造は唯一の女性のカノンを女王アリとして、他の生徒を兵隊アリや働きアリとするアリ社会と同じでした。
　ことにカノンが強化人間部隊でも最高の成績を誇るトップエースというのが、彼ら強化人間部隊がカノンを女王様扱いする一因でもあります。
　ですが――
「うざいわね。寄って来ないでよ。あんた達なんか涼司くんの足元にも及ばないんだから」
「ご無体な。そもそも山葉涼司は我々の敵。蒼空学園の校長なのですよ？」
「……？　どういうこと？」
　カノンにそう問い詰められて一人のイケメンが”しまった“という表情をしました。
（「おい、あの件はまだカノン様にはご内密だ」）
（「そうだったな、すまない」）
　イケメンたちはヒソヒソと話し合います。
「なに男同士で内緒話しているのよ、気持ち悪いわね。とにかく、あたしはこれから涼司君に会いに行くんだから邪魔をしないで」
（「どうする、グリモワール？」）
　金髪碧眼の優男。典型的なアーリア人がそういいました。
（「そうだな、ルシフェル……カノン様は天然だから仕方がない。それに、そのほうが山葉涼司に与えるダメージも大きいだろう。その線でどうだ、アザゼル？」）
　グリモワールは銀髪に赤い目のちょっと幼顔の少年です。
（「ふむ。なるほどな。それでいいだろう」）
　アザゼルは赤い髪に黒い瞳の熱血系の少年です。
　イケメンたちは何か会話をまとめるとカノンにこう提案しました。
「では、私たちがイコンで蒼空学園までエスコートしましょう。それくらいならよろしいですよね、カノン様？」
「仕方が無いわね。あたしもイコンでいくから警護しなさい。いいわね、ルシフェル、アザゼル、グリモワール？」
「了解です」
　そうして数機のイコンが蒼空学園を訪れました。

　ノックの音。
「涼司様、設楽さんがおこしです」
「通してくれ」
　そして扉が開くと、花音はすぐさま山葉　涼司（やまは・りょうじ）めがけて駆け込みました。
「涼司君♪」
　そして抱きつきます。
「涼司君、寂しかったよ。しばらく訓練だとか調整だとかで自由な時間が取れなかったからさぁ……」
　そんなカノンに涼司は尋ねます。
「なあ、あそこにあるたくさんのイコンはなんだ？」
　それに対しカノンはあっけらかんと唱えます。
「あたしの追っかけ。ねえ、涼司くん。あたし天御柱でも人気あるんだから、放っておくと他の男に取られちゃうよ？　結構言い寄られてるんだから」
「そいつはゆるせん。少なくとも俺が認める男じゃないとお兄さんは許さないぞ」
「だから、もっとあたしを愛してよう……涼司くんが愛してくれないと他の男になびいちゃうよ」
「だが……それは色々と倫理規定に抵触する可能性が……」
　涼司がそう言うとカノンはむーっと頬をふくらませます。
「そんなの無視しちゃえばいいじゃない」
　そこで花音・アームルート（かのん・あーむるーと）が割ってはいります。
「設楽さん、あまり涼司様を困らせないでください」
「……なにさ、ウェディングドレスなんか着ちゃって。剣の花嫁だかなんだか知らないけど涼司くんの花嫁はあたしひとりだけよ」
　逆効果でした。
「あー、カノン？　そう言うのはもう少し年をとってからにしような……」
「仕方が無いわね。そういえばＳ＠ＭＰのメンバーがライブをやるって言っていたわよ。あたしも他の強化人間たちと一緒にブルーインパルス的に曲芸飛行で華を添えるつもりだから涼司くんも見に来てね。

　そうでした。
　Ｓ＠ＭＰのフレイ・アスク（ふれい・あすく）とアポロン・サン（あぽろん・さん）とともにＳ＠ＭＰが初ライブを行う予定でした。
　ノックの音がします。
「はーい」
　花音が出ていって応対をすると、しばらくして
「フレイヤさんとアルテミス様がおこしです」といいました。
「……ん？　例のＳ＠ＭＰのメンバーか？　通せ」
「失礼します」
　フレイヤとアルテミスがそう言って入ってきました。
「カノンさん、ライブの打ち合わせをすっぽかしてまで蒼空にいかないでくださいよ……」
　フレイヤがそういいます。
「女？　リーダーは男だと聞いていたが」
　涼司がそういうと、二人はウィッグをとって男だと証明して見せました。
「なんで女装なんてしてるんだ？」
「男女の性別を超えたところにこそ究極の美があるからです」
　涼司の問にフレイはそう答えました。
「ちなみに俺は7オクターブの声が出ます。女性の歌も完璧に歌えます。声も男女の境を超越しなければ、究極の美には近づけないのです」
「……な、なるほど。まあ、頑張ってくれ」
「はい」
　フレイが頷くとカノンが
「ちょっとアンタたち、あたしと涼司くんの逢瀬を邪魔するなんてどういうつもり？　返答によっては殺すわよ？」
　といいました。
「だからライブの打ち合わせだぜ。これから打ち合わせをやる約束だっただろう？」
「そうだったわね。それじゃ涼司君、話し足りないけどこれで失礼するわ。また会いに来るわね」
「おう。いつでも来い」
　カノンは去り際に花音を睨みます。
「では、失礼します」
　フレイとアポロンも去って行きました。
「涼司様、やっぱりあの人怖いです〜」
「そう言うな。あいつの人格を壊したのは俺があいつを事故から守れなかったせいだ……」
「そうは言いましても……」
「……たのむ」
　そう言われて花音に抗う言葉はありませんでした。

「さてさて、今度はライブか……また、私の歌で洗脳、しちゃお♪　ああ、おねえさまにも会えるかしら。わくわくするわ」
　ミレリア・ファウェイがライブの準備で活気づくアネックス海京にステルス型シュヴァルツ・フリーゲで忍び寄っていました。
　
　

　今回のライブでは男女あわせて４人のヴォーカル・コーラスと、２人のキーボード、1人のアコーディオン、４人のストリングス隊を募集します（相談掲示板で先着順。候補生が希望した場合は候補生優先）。同時に作詞も募集します。【Ｓ＠ＭＰ候補生】はＳ＠Ｍメンバーが全員揃っていない場合は穴を埋めていただきますが、揃っている場合はヴォーカル・コーラスとして参加してもらいます。ただし楽器を希望する場合は楽器を優先させます。なお、候補生以外の新メンバーの称号は【Ｓ＠Ｍ楽団員】となります。（ただし正式メンバー以外はシナリオ招待はありません）
　同時にフレイを含めた男女メインヴォーカルのキーボード演奏は取り止めにします。
　ミレリアはシュヴァルツ・フリーゲ１機、シュメッターリング４機編成の小隊の8個小隊（2個中隊）の寺院イコンを率いて攻めてきます。（全機ステルス塗装済み。こちらのイコンの射程が1下がります）
　敵はミレリアの歌で最初から気力（士気）がMAXです。これに対向するには音楽の値で基本値＋２Ｄ６で誰か一人が８０を上回る必要があります。
　そうすればミレリアの歌を打ち破ってこちらの気力が上がり敵の気力が下がります。逆に最高値の人のロールが失敗すればこちらの気力が下がりますので注意してください。
　ミレリアの練度ですが、カミロほどはいかないものの指揮官クラスとなりますので、１個小隊でなんとか倒せるレベルです。
　ファランクスの自動迎撃システムが付いているため飛行随伴歩兵は今回は付いてきません。ただしファランクスもイコンに対しては豆鉄砲です。

　涼司と花音は観客としてライブを見に来ています。カノンやイケメン強化人間部隊は即応で敵に対抗します。
　観客としてライブを見に来ていても予備のイコン（クェイル）で出撃することは可能です。

■マスターシナリオでマスターがユーザー所持のイコンが参照できるシステムは実装されておりませんので、それまでは手動でイコンを参照いたします。
　アクションで搭乗イコンを申請し、ユーザールームで申請したイコンに搭乗しておいてください（手動での反映には2〜3日かかるので、数日間は申請したままのイコンの状態でいてください）申請と異なる場合自動的にクェイル搭乗となりますのでご注意ください。
　ご不便をおかけしますがお客様の所持するイコンでの戦闘をしたいという要望を反映するためですのでご協力お願いします。
　なおＳ＠ＭＰ参加者はイーグリットかコームラントに搭乗できます。アクションに乗りたい機体を書いてください。

　イコンの戦闘については詳しくはマスターページおよびイコンに関するマスターシナリオ講座
　http://souku.jp/manual/manual_11i.html
　をご覧の上アクションをかけてください。

　イコンの武装については搭乗イコンを参照します。イーグリットとコームラントについてはマスタールームでも公開していますのでアクションを優先します。
　
■ローカルルール
・集中補正（生身・イコン共通）
　攻撃が集中すると、命中率およびダメージに補正が加わります。数値的に表すと一人の場合（攻撃力+武器攻撃力＋２Ｄ６）／２−（防御力）だったところを、二人の場合（攻撃力+武器攻撃力＋２Ｄ６）+（攻撃力+武器攻撃力＋２Ｄ６）／２−（防御力）と攻撃力が蓄積されます。
　なお物理攻撃力と魔法攻撃力は蓄積しません。また、この補正はGAを組むかアクションで明示されていない限り行われません。

■その他補足
パラミタの種族（ＬＣ）のみでのイコンへの搭乗はできません。
詳しくはこちら　
http://souku.jp/worldguide/wg_02b.html#wg04
＞なおイコンはどういう訳か、パラミタの種族だけではその力を充分に発揮する事ができず、地球人が一緒に乗らないと動かせません。この為、すべてのイコンが複座、もしくはそれ以上の人数で動かすようにできています。

・時系列的にいたちゆうじマスターの「カノン大戦」の後になります。
・イコンに乗る場合は飛行可能ユニットと飛行不可能ユニットごとに小隊・中隊を組んでください。そうすることで自動的にGAの扱いになります。またTACネーム、コールサインを決めておくと格好良い描写ができるかもしれません。

・ライブに出る

・ライブを見る

・ミレリアの再度の襲来に備えてイコンで警備をする

・作詞をする