シナリオガイド
闘いの香りはカカオの香り? 大闘技大会、開催です!
シナリオ名:カカオな大闘技大会! / 担当マスター:
夜光ヤナギ
獣人の集落の娘、リーズ・クオルヴェルがクオルヴェルの集落を旅立って、はや幾月が経ちました。
集落を旅立った彼女はまず、東に向かっていったそうです。
ツァンダの東には、広大な荒れた大地の広がるシャンバラ大荒野があります。
特にあてもない旅ですが、彼女の探し求める獣人も、おそらくはツァンダから旅立ったことを考えれば、東に向かったことでしょう。
さて、それはともかく――
「らっしゃいらっしゃい! 新鮮な魚がよりどりみどりだよー!」
「ちょっとそこの娘さん、見てってくれよ。こちとら鍛冶歴10年のベテランだ。良い武器がそろってるよ!」
「我こそは世界最強の格闘家である! 誰か、我に挑む者はおらぬかっ!」
立ち並ぶ露店とごちゃごちゃと入り乱れるような人の数。
リーズは旅の荷袋を背に担ぎなおして、周りを見渡しながら感嘆したように呟きました。
「それにしても……賑やかな街ね」
貿易都市ラムール。ツァンダとシャンバラ大荒野の間に位置する、その付近では物流の中心地とも言うべき街です。もともとはとある商人たちが自由市場を開いたことがきっかけと言われていますが、その名残か、街の至るところでは商人が街路の脇で店を構えています。街の規制もその辺はゆるいらしく、ある程度は自由に露店営業が許されているようでした。
「これだけ大きな街だったら、もしかしたらあの人もいるかもしれないけど……」
そう言いながら、リーズは自分の財布の紐を緩めました。
中に入っているのは、ほんのわずかなお金だけです。
「先立つものがないんじゃなぁ」
はぁ……と、彼女は気の滅入るようなため息をつきました。
旅立つときにはそれなりに十分にあったお金も、さすがに幾月も経てば消費されるわけで。探し人を探すにしても、宿に泊まる必要があるわけで。そんなわけがなくとも、やっぱり今後のためにお金は必要なわけで。
「森だったら狩りでもして獲物を捕まえるのに……。もうっ! これだから都会って嫌なのよぉ!」
そんなことを言っても都会に罪はありません。
すると、嘆いているリーズにとある店の主人が話しかけてきました。
「お、もしかしてあんたも闘技大会に出るのかい?」
どうやら、店の主人は武器を扱う商人のようです。
リーズの腰に携えられる剣を見て、声をかけてきたようでした。
「闘技大会?」
「へ? なんだ、あんた知らないのか?」
どうやら知らないほうが珍しいのか、主人は驚きを含んだ声をあげました。そして、次いで横の壁に貼られている張り紙を指差します。
「これだよ、これ」
「貿易都市ラムール恒例……大闘技大会?」
「そっ、大闘技大会。まあ、つまるところ、闘いで一番強い奴ってのを決める大会さ。昔っからある毎年恒例の大会でな。剣士も戦士も、もちろん拳一つでの格闘家だって参加OKってもんさ」
「へえ……異種闘技戦なんですね」
「そーゆーことだな。なにせこの街はいろんな奴がやって来るからな。結構派手で、みんな毎年楽しみにしてるのさ。しかも、幸いにも地球人がこっちにやってきてからっていうもの、強い奴も、ど派手な奴も、一気に増えただろ? これがまた盛り上がるってもんでさ」
「……地球人」
リーズの脳裏に、かつて集落の危機に立ち向かってくれた地球人たちのことが思い返されました。そう、確かに……彼らもとても強かった。
「しかも、今年はすげーんだぜ?」
「す、すげーですか」
「地球じゃ、もうすぐバレンタインデーとかいうイベントがあるらしくてさ。それに合わせて、今年の闘技大会の優勝商品はセレブ御用達の超有名パティシエが作る高級創作チョコって話だ」
「チョコ? ……あー、そういえば、ばれんたいんでぃとかいうものは、チョコを渡すらしいですね」
森で時間の空いたときに読んでいた、地球の文化について書かれた本には、そんなことが載っていた。
「まあ、イベントに合わせたってだけで、実際にどうするかは優勝者の自由だろうけどな。それよりも、ビックリなのはそのチョコの値段なんだよ」
「値段?」
「……金額にしたら、この街でも1年は遊んで暮らしていけるぐらいらしい」
「いち……!?」
さすがに想像を越えていたのか、リーズは思わず声を漏らしました。そして、同時に自分の財布を見下ろします。
それだけのお金があれば、旅もきっとしばらくは楽なことでしょう。
「まー、とはいえ、一生食えるかわからねえ有名パティシエのチョコだし、誰もわざわざ賞品を売り飛ばそうなんて真似はしねぇだろう――」
ガタッ、と身を乗り出したリーズの形相に、主人は思わず声を失いました。
「そ、その闘技大会の受付って、まだ間に合いますかっ!?」
「……あ、ああ。たぶん、中央広場のほうでまだやってるんじゃねえかな」
「ありがとうございます!」
お礼もそこそこに、リーズは勢いそのままに中央広場へ向けて駆け出しました。きっとその頭の中には、羽を生やして飛びかうお金たちが浮かんでいるのでしょう。
土煙を残して去っていったリーズの後を目で追って、店の主人は呟きました。
「なんか風のような獣人っ子だったなぁ。……しかし、本気に優勝する気か?」
それなりに大きな闘技大会です。そうそう簡単にぽっと出の少女が優勝するとは思えませんが……。
「まさか、な」
見守るようなわずかな期待をこめた微笑を浮かべて、主人は再び客の呼び込みに戻るのでした。
ラムールにて大闘技大会が開催されます!
今年の優勝賞品は超有名パティシエの高級創作チョコ!?
あなたの手で、バレンタインデー(大闘技大会)を盛り上げてください!
担当マスターより
▼担当マスター
夜光ヤナギ
▼マスターコメント
初めましての方は初めまして。
そうでない方はお世話になっております。
ひたパンにハマって、ついつい4枚の食パンを連続投入なんかしてるMS、夜光ヤナギです。
【内容補足】
今回のシナリオは、コミカルありのノーマルシナリオとなっております。
NPCは過去にも登場したことのあるキャラクターですが、お気軽にご参加くださいませ。
●貿易都市ラムールについて
ラムールはツァンダからシャンバラ大荒野へと至る途中にある比較的大きな街です。
シャンバラ大荒野を旅する行商人やキャラバンがよく集まることからそこらの付近では物流の中心地になっております。
武器、食材、衣服、はては物件まで、数多くの店が構えられていることが特徴的です。
もともとは商人たちの自由市場が起源とされていますが、現在は商人に限らず学生から職人までたくさんの人が住んでおります。
●闘技大会について
ラムールで毎年開催される伝統的な大会です。
最も強い者を決めるということを目的に掲げており、巨大な闘技場を使って盛大に行われる一大イベントでもあります。
元々は商人たちが己の商品である武器や道具をアピールするために始まったものと言われており、宣伝効果を期待したものです。
とはいえ、現在ではラムールの代表的な伝統行事。
街の住人も毎年の楽しみにしており、その日は貿易都市ラムールの店がほとんど休業となるほどの熱の入れっぷりです。
優勝商品は毎年豪華なものですが、今年はどうやら高級創作チョコのようで……。
●闘技大会ルールについて
闘技大会は異種闘技戦ということもあって比較的自由なものですが、最低限守らなければならないルールがあります。
1.対戦相手を殺してはならない
2.戦いは1対1に限られる。なお、使い魔およびペットはこの限りではない(道具としてみなされる)
3.武器、道具の使用は自由。ただし、応援者からの投入などは援護とみなされるため禁止。つまり、持ち込んだものに限られる。
4.魔法の使用は可。無論、魔法的道具の使用も可である。
以上のようなものです。
そして、勝利条件は「相手の戦意喪失・戦闘不能の確認」です。
今回に限って言えば、光条兵器は剣の花嫁との関係で認識的にタッグという形になりますので、使用禁止となります。
あくまで個人の力で戦うことが要求される、というわけですね。
なお、闘技場は強力な魔法障壁が張られていますので並大抵の魔法では見学者席に被害を与えることはありません。
安心して魔法を使用されてください。
●NPCについて
【リーズ・クオルヴェル】
ツァンダの森にあるクオルヴェルの集落から旅立った獣人の娘。
とある獣人の青年を探しており、闘技大会のあるラムールにたどり着いた。
優勝商品を得るために闘技大会への参加を決める。
頑固でなかなか融通の利かない強気な性格だが、その実、誰よりも人の心に敏感である。
武器は太めの長剣を使用。また、獣人であるため獣化が可能である。
※以上はアクションを考える上での参考情報です。あくまで参考となるものなので、必ずしもMCやLC自体がそれを知っている前提でなければならない、ということはありませんのでご安心下さい。(もちろん、周知を前提にされても結構です)
▼サンプルアクション
・闘技大会に参加する
・参加者、友達の応援をする
・闘技大会のスタッフとして働く
・リーズの応援をする
▼予約受付締切日
(既に締切を迎えました)
2011年02月14日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2011年02月15日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2011年02月19日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2011年03月04日