葦原明倫館

　雪がちらつく天御柱学院。
　その敷地より、すこし離れた場所にある廃墟。そこでなにやら不気味な声が響いていました。

「うふふふふ……はやく大きくなぁれ……あたしの可愛いワイちゃん……（邪）」

　その声の主は、檻の中にいる子供のワイバーンに、毒々しい色の液体をひたすら飲ませ続けていました。

　翌日。
　イルミンスール魔法学校校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）は、天御柱学院を訪れていました。
　その目的は、以前にシミュレーターで巨大化したのが嬉しかったのか。また訓練と称してやってきたようなのですが。

「これはいったい、どういうことなんですぅ？」

　それどころではない事態が発生していました。



　叫びだけで降り積もる雪を一掃しそうな勢いの、
　全長が１００メートルはあろうかというワイバーンが上空より学院に迫ってきていたのです。

　それはかつて自分がシミュレーターで巨大化したときよりもさらに倍の大きさ。
　しかもこれはシミュレーションなどではなく現実のことです。

「でもおかしいですぅ。いくらなんでも、あそこまで桁違いのサイズのものが今まで噂にもあがらなかったなんて」

　不信感をおぼえ、注意深くワイバーンを観察していたエリザベートは。
　時折、鱗がきしむような音をたてていることに気がつき、ぽつりと呟きをもらしました。

「まさかあれは、巨大化薬の症状ですかぁ？ いろいろ副作用があるから廃棄した筈なのにぃ……」

　その副作用のせいか、巨大ワイバーンはファイヤーブレスまで吐くようになり。
　しかも恐怖に怯えた他のワイバーンまで何匹か傍につき従えているようでした。


　同時刻。
　上空で接近を押さえているのは、コームラントに搭乗している山葉　聡（やまは・さとし）とサクラ・アーヴィング（さくら・あーう゛ぃんぐ）でした。

「くそっ、なんだってこんなヤツが学院に襲来してきんだよ！」
「ふふふ、聡さん。弱音を吐いている暇はないようですよ……」

　大型ビームキャノンによる砲撃も、強固な鱗に阻まれあまり効いている様子はなく。
　何度となく放射されてくる灼熱のブレスを避けるのが精いっぱいで、かなり苦戦しているようでした。

　そうした攻防を、降り積もった雪に腰かけてのんきに観戦している十五歳くらいの少女たちがいました。

「うふふふふ……あたしのワイちゃんの強さ、あなたたちのイコンで試させてもらいますよ……（悪）」
「この雪も、イコンも、全部まとめて熱く燃やしてやるんだゼ！　私の剣も、うずいて仕方ないゼ！」
「ウチの銃もそうやなぁ。高いレベルのヤツがおったら、相手してやりたいとこや」

　彼女たちは不敵に笑い、ただただ頭上の戦いを楽しんでいました……。

　ということで、今回はイコンＶＳワイバーンという構図の戦いです。
　それに聡とサクラ、エリザベートや謎の三人組が関わってくる感じになっています。
　舞台は天御柱学院となっていますが、もちろんイルミンスールや他校の生徒でも参加は可能です。

　巨大化して暴走したワイバーンは、イコンであっても気を抜いているとすぐに撃沈されてしまいます。
　圧倒されるほどの巨体、強固な鱗に、縦横無尽に飛び回る翼、加えて容赦ない炎のブレス攻撃。
　つけ入る隙がなさそうな強敵ではありますが、なんとか協力し合い、倒してみてください。
　ただし、基本的にはイコンでの戦闘がメインですので。
　少なくとも二十五体以上はイコンが戦いに出ていなければ、巨大ワイバーンの攻略は難しいと考えてください。


　ちなみに、謎の三人組の簡単な詳細は以下のとおりです。

　少女Ａ　地球人　　ドラゴンライダー　　実験好きの非道な少女
　少女Ｂ　守護天使　フェイタルリーパー　とにかく暑苦しい大剣使い
　少女Ｃ　アリス　　ヘクススリンガー　　レベルにこだわるトリガーハッピー娘

　こちらを先に片づけてワイバーンをおとなしくさせれば簡単かとお思いでしょうが、クラスが示すとおり意外に強敵です。
　もしエリザベートがワイバーンを元に戻す方法を思いついたとしても、彼女たちはきっとそれを邪魔することでしょう。
　真っ向勝負するか、策を練って対決するか、誰かと協力して倒すか。
　戦い方は皆様にお任せします。

　
　ワイバーンをいっそ殺してしまうか、おとなしくさせて元に戻すか。
　どちらにしてもかなりの戦闘が予想されるでしょう。
　アクションの際はどうぞお気をつけください。

・暴走するワイバーンと戦って倒す

・ワイバーンを止める

・エリザベートを問い詰める

・謎の三人組と戦う