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喋るんデス!

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シナリオガイド

ペットと会話したい! そんな飼い主の夢がついに実現!
シナリオ名:喋るんデス! / 担当マスター:


イルミンスール校長室

「お母さん、どうしてもダメ?」
「ダメなものはダメですぅ」
 ミーミルとエリザベートが口論をしていました。
 日頃は素直なミーミルなのですが、今回は珍しく食い下がっているようです。
 なぜかと言うと……

「にゃーにゃー」
 ミーミルの胸には一匹の白猫が抱かれていました。
 薄汚れた首輪には名前でしょうか……くれあと書かれています。
 迷子になったのか、寂しげに泣いていたこの猫をミーミルは放っておけず、拾ってきたのです。
 そしてどうやら、この猫が口論の原因のようでした。

「命を扱うという事は簡単なことじゃないのですぅ、ミーミルにはまだ無理ですぅ」
 エリザベートの言う事は正論でした。
 ミーミルは見た目こそエリザベートを上回っているものの、その内面はまだ2歳。
 そんな子供にきちんと世話が出来るのか、その疑問も当然なのです。
 しかし……
「この子、ひとりぼっちでかわいそうなの」
 悲しそうな顔で猫を見つめるミーミル。
 どうやら、ミーミルはこの猫にかつての自分の境遇を重ねて見ているようです。
「むぅ……しょうがないですねぇ、ちゃんと世話をするのですよ」
 しぶしぶ折れるエリザベートなのでした。
「ありがとう……お母さん大好き」
 無邪気に喜ぶミーミル。
「あくまでもぉ、飼い主が見つかるまで、ですからねぇ」
 厳しく釘をさすエリザベートですが、嬉しそうなミーミルの姿に、まんざらでもないようです。

「そうと決まったからにはぁ、空京へ出かけますよぉ、ミーミル」
「え、なんで空京に?」
「ぺ、ペットショップの為に決まっているのですぅ!」
 そう、空京には大きなペットショップがあるのです。
 なんだかんだ言って楽しそうなエリザベートでした。


空京:大型ペットショップ「わんにゃんらんど」

「えぇ?! 売り切れなのですぅ?」
 ペットショップに着くなり最高級ペットフード「猫まっしぐらゴールデンEX」を買い求めるエリザベートでしたが、どうやら売り切れてしまっていたようです。
「いやー、ごめんね、なんか最近売れ行きがすごくて、仕入れが追いつかないんだよ」
 申し訳なさそうに頭を下げる店長。
 見るとペットフードに限らず、様々なペットグッズが売り切れになっていました。
「この店は商売する気が足りないのですぅ」
 文句を言いながら物色を続けるエリザベート。
 そんな店の一角に特設コーナーがありました。

 飼い主の夢が実現!愛するペットと会話が出来る! (有)猫の友社『喋るんデス』

 などと大きく書かれたポップと共に、なにやらメタリックな装置の付いた首輪が展示してあります。
 『喋るんデス』――それはどうやらペットの声を通訳する装置のようですが、これは最新技術によって直接人間の声に変換する事が出来るようです。
「こちらは今人気の商品なんです、可愛いペットちゃんと人間同士のように会話が出来るんですよ」
 先程の店長が汚名返上とばかりにセールストークを始めました。
「これを使えばくれあとお話が出来のかな」
 ミーミルが興味を持ったのを見ると、ここぞとばかりに畳み掛ける店長。
「もちろんですとも! ぜひ一度お試しください、きっと虜になりますよ」
 あと一押しで売れる、と考えた店長は展示されていた見本をどうぞと勧めてきます。
「私がつけるですぅ!」
 店長からひったくるように受け取るエリザベート、彼女も興味津々なようでした。
「? 妙な魔力を感じるですぅ」
 手にした瞬間……感じた魔力にいぶかしがるエリザベート。
「ああ、魔術を取り入れているらしいですよ、パラミタの研究成果がこんなところにも反映されているようです」
「そうでしたかぁ、なかなかやりますねぇ」
 エリザベートは店長の説明にあっさり納得してしまいました。
 さっそくくれあに付けようとエリザベートが近づいたその時……
「にゃにゃ! フー!」
 ミーミルが抱いていた猫が突然暴れ出したのです。
 その『喋るんデス』にひどく怯えているように見えました。
「あ、暴れないで、きゃっ!」
 猫はミーミルの腕から逃れると、すごい勢いで逃げていきました。
「あ……」
 呆然と立ち尽くすエリザベート。
「お母さん、くれあが、くれあが……」
 泣き出すミーミル。
 すぐに付近を探しましたが、結局くれあは見つかりませんでした。
 とぼとぼと学園に帰る二人。
 ミーミルはすっかり落ち込んでいました。
「ミーミル、元気出すのですぅ、きっと飼い主の所へ帰ったのですぅ」
「……うん」


「ずいぶん遅かったのぅ……おや、くれあとかいう猫はどうしたのじゃ?」
 校長室では留守番をしていたアーデルハイトが二人を出迎えました。
「飼い主の所へ帰ったのですぅ、まったく、恩知らずな猫ですぅ」
 投げやりに返事をするエリザベート。
「?……まぁ、本当にそうなら良いのじゃが……」
「? どうしたですぅ?」
「今ちまたではペットが少々問題になっておってな……」
 くれあだけではなく、最近はペットを捨てる飼い主が多く、問題になっていたのです。
「なんでも、野犬狩り部隊が出動するという話じゃ」
「野犬狩り?」
「うむ、この機会に犬や猫などの野良を一掃するつもりのようじゃな、明日にも動き出すじゃろう」
「!!」
 このままではくれあが危ない。
「緊急事態ですぅ、すぐに動ける生徒を集めるのですぅ!」




空京:早坂家の家

 その部屋には「猫まっしぐらゴールデンEX」が積んでありました。
 空京大に通う、早坂 美菜の兄、弘幸が愛猫の為に買い集めたものです。
「さぁ、好きなだけお食べ」
「おいしいにゃ、でも違う種類のも食べたいにゃ」
 弘幸に返事する猫、どうやら『喋るんデス』を使っているようです。
「よしよし、今度買ってやるからな」
「日替わりで違うメニューだと嬉しいにゃ、デザートにマタタビも欲しいにゃ」
 次々と要望を言う猫。
「お安いご用だ、まかせろ!」
 よく見ると部屋には様々なペットグッズで溢れかえっていました。
 その全てが猫のおねだりによるものです。
 弘幸は愛猫との会話でメロメロになっていました。

「お兄ちゃん、そんなにお金使って大丈夫なの?」
 あまりの溺愛ぶりに諦めながらも、散財する兄を心配する美菜ですが、弘幸は動じません、なぜなら……
「大丈夫だって、これを見よ!」
 そう言って取り出したのは一枚のチラシ……都合よく高給のバイトがあったのです。

『未経験者歓迎、数時間寝ているだけの簡単なお仕事です』

 ……あからさまに怪しいそのバイト。
「お兄ちゃん……このバイトすっごくあやしいよ……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって、美菜は心配性だな、こんな良い条件のバイトなんて滅多にないぞ」
 猫と遊びながら答える弘幸。
 美菜の忠告など気にも留めていない様子でした。

 しかし……

 美菜の悪い予感は当たりました。
 バイトから帰ってきてから兄の様子がおかしくなったのです。
 以前は明るい性格だった兄が、別人のように無口になりました。
 溺愛していた猫も放り出し、無気力になって部屋に閉じこもる始末。
 不安になった美菜は医者に連れていくことにしました。


「先生、兄はいったいどうしてしまったのでしょうか?」
「うーん、最近多いのよね……うつ病とも違う謎の奇病……」
 担当医師、神崎綾香が神妙な顔で告げました。
「奇病? 兄は大丈夫なんですか?」
 謎の奇病と言われて不安になる美菜。
「大丈夫、命に別状はないし、治療を受ければじきに回復するわ、でも……」
「でも?」
 聞き返す美菜に綾香は苦い顔で答えました。
「患者さんが多くて、治療が追いつかないのよ」
「そんな……」
 入院することが決まり、案内された病室は兄と同じ状態の患者でいっぱいでした。
 魔法による治療が有効なのがわかり、何人かの術者が治療にあたっているのですが……
「見ての通り、術者が足りないわ……患者さん一人に対して二人は欲しいのだけれど、現状では患者さん5人に対して一人という有様」
 どうにもならない現状を説明してため息をつく綾香。
 圧倒的に人手が足りていませんでした。
「なにか、私に出来るとこはありませんか?」
「うーん、そうねぇ……」
 正直な所、何もないのですが、美菜の気持ちもよくわかります。
 しばし考え、綾香はこう告げました。
「出来るだけお見舞いに来てあげて、患者さんは気力を失っているから、それだけでも回復が速まるはずよ」
 もちろんそれは気休め程度にしかなりません。
 それくらいは美菜も察しています、それでも美菜は真剣な顔で頷きました。

 ……病院を後にした美菜。
 兄の入院の為に着替えなどを用意する必要があります。
「お兄ちゃんはあんなだから、私がしっかりしなきゃ……ん?」
 その足元に一枚のチラシが飛んできました。
「うっは、あやしすぎ! こんな時給なんかに釣られる馬鹿なんているのか?」
 どうやら前を歩いていた人間が捨てたらしいそれは、例の怪しいバイト募集のチラシでした。
「……やっぱり怪しいのはあのバイトよね」
 弘幸がなんでああなったのか原因がわかれば、もっと良い治療法がわかるかも知れない……
 ……美菜はチラシを握り締めました。

担当マスターより

▼担当マスター

▼マスターコメント

 緑です(ぺこり)
 今回のシナリオは複雑なのを作ってみました

 イルミンでは校長からペット探しの特命が下りました
 無事にくれあを連れてきた生徒には校長から学費の免除など、破格の待遇が約束されています
 内容によってはエリザベートやミーミルに対して何か個人的なお願い、というのもありかも知れません
 
 ☆くれあ探しで気をつけるべき点
 空京保健所の野犬狩り部隊は対大型危険生物用の訓練を受けています
 犬猫相手の本土とは違います、侮ってはいけません
 もしプレイヤーが希望する場合、今回ここに所属して動くというアクションも可能です

 捨てられたペットの中にはワイバーンなどの危険生物もいます
 くれあ探しではこちらへの対応力も求められるでしょう


 空京では今、怪しいバイトが横行しています
 「新らしい睡眠薬の検体」「睡眠学習装置のモニター」など、様々な名義で募集されていますが
 共通しているのは「やることは寝ているだけ」「破格の高時給」の二点
 対策無しにバイトに行くと眠らされている間に全てが終わってしまうでしょう
 美菜は警戒はしていますが、ろくな対策がない状態で向かおうとしています

 奇病で空京の病院に入院している患者達は無気力状態にあります
 現状では治癒系の魔法が有効とされていますが
 患者達の身の回りの世話にも人員が取られており
 その人手不足は、他の方法を試す余裕をも奪っています
 有効そうな治療案がある場合は担当の神崎女医が上に取り合ってくれるでしょう


 ☆今回のキーアイテム
 『喋るんデス』は最近出来たばかりのペットグッズメーカー(有)猫の友社の主力商品
 様々なペットに対応できる優れモノで、主に空京で流行しているようです
 ……これを使っているペットは、さかんに「おねだり」をしているようですが……

 猫の友社は空京に倉庫兼事務所がひとつあるだけの小さな会社です
 開発者は御手洗 秀介博士、魔術にも精通している人物です
 現在は研究所を兼ねた自宅に篭もって研究中との話で、人前には一切出てきません
 『喋るんデス』の製造コストはなかなか高いらしく、売れている割にはあまり儲かっていません



 今回ちょっと難易度高めです
 アクション次第ではハッピーエンドにならないかも知れません
 皆様の健闘を祈るばかりであります


 オマケ
 美菜の兄、弘幸の飼っていた猫の名前は「くれあ」といいます
 そういえば、ミーミルが拾ってきた猫と同じ名前ですね
 こちらも同じ白猫みたいですよ

 めずらしいこともあるものです

▼サンプルアクション

・くれあを探す

・野犬狩り部隊に参加

・バイトへGO

・治療の手伝い

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年02月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年03月04日


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