※注意
この物語は完全にフィクション、コメディであり、登場する人物などの名称はすべて架空のものです。
どこかに似たよーな外見・名前の人がいたとしても、それは別次元のキャラ、人物となりますので、決して「こんなのルドルフ様じゃないやい!」とか思う人がいたとしても苦情は一切受け付けません。
あるところに、ルドルフ王子という、それはそれはお美しい顔(かんばせ)の王子様がいらっしゃいました。
王子様は生まれたときから王様やお妃様、お城の者たち、国民に愛され、その愛情を受けてすくすくと育ちました。
そしてお年頃になられた王子様の美貌にはますます磨きがかかり、その美しさといったらまるで太陽のよう。
美しさにたとえられる花すらも、王子様を前にしては恥じ入ってしまうに違いないと、国中の評判でした。
どこへ行っても王子様は注目の的です。王子様を一目見んがためにと、何日も前から通り道で場所取りをする者が現れるほどです。
これでは公務に差し支えるからと、ついには仮面を付けるようになりましたが、そのせいで王子様の美しさにはミステリアスさまでが加わり、ますます女性たちの目をひきつけるのでした。
当然、そんな王子様の元には毎日さまざまな国から婚儀の申し入れが引きも切らさず届きます。
「ぜひわが娘王女の婿に!」
「いいえ、わたしの夫となって、この国を治めてください!」
「わが国は一夫多妻制じゃ。わが国に婿入りすれば、王女を3人つけようぞ!」
けれど王子様はそのどれもに首を振るばかり。どんな好条件を提示されても決して頷こうとはしません。
「わたしはこの国で、おふたりの元にいたいのです」
そう言われると、王様もお妃様も、強引に話を進めることはできないのでした。
そしてある日のことでした。
とある大国の女王様が、結婚を断られた腹いせに王子様に呪いをかけたのです。
「この鼻持ちならぬ愚かな王子め…!」
せっかく夫の王様を毒殺してまで王子様と結婚をしようとしたのに、王子様がアッサリと断りの書状を返してきたからでした。
「きさまなど、だれの目にも触れることのない場所で朽ち果ててしまうがよい!」
女王様お付きの黒き魔女がその願いをかなえました。
王子様を深い深い眠りにつけて、大荒野の高い塔のてっぺんに閉じ込めてしまったのです。
そして塔の周りを魔法のいばらの森で囲み、侵入する者があればツルでうねうね攻撃するように命じました。
王様は、あらゆる白き魔女に助力を請いました。しかしだれも、悲しげに首を振るばかり。呪いを解ける魔女はいません。
やがて、王様はとある白き魔女の助力を得ることに成功しました。
「あれは強大な力を持つ魔女。王子様にかけられた呪いはとても強力で、解除することはできませんが、呪いを少し変質させることは可能でしょう。
王子様は塔の上で眠り続けます。ですが、運命の相手とめぐり会ったとき、その呪いは必ずや解けるでしょう」
「だれか王子を救い出してくれ! みごと救い出し、目覚めさせてくれた者には王子を与えよう!!」
王様は世界中におふれを出しました。
それを読んで、さまざまな国のお姫様が、われこそはと志願しました。
ほとんどの者は大荒野の略奪者たちやいばらによって阻まれ、たどり着くことはかないませんでしたが、ごく少数ではありましたが王子様の元までたどり着くことができた者もいました。
しかし、そのお姫様のだれの運命のキスを持ってしても、王子様の眠りを解くことはかないませんでした。
なぜなら王子様は薔薇だったからです。
そして今、大荒野に、とある略奪者の一味がいました。
「ぐへへ……世界中の大勢の女をとりこにする王子だと? なんてうらやま……げふんげふん。
それなら相当高く売れそうだな」
「へい、シレンの頭。格好の置物でさぁ。氷づけにでもして売りゃ、そりゃもう今まで目にしたこともないような大金ががっぽがっぽ手に入りやすぜ」
「そりゃあいい! 塔の王子はオレたちパトニー盗賊団がいただいたあっ! ガハハッ」
はたして略奪者の魔の手から救い、ルドルフ王子を目覚めさせる運命の相手とはだれなのでしょうか。それはもしかしたらあなたかも…?