葦原明倫館

　２０２１年……

　空京を、かつてない恐怖が襲っていました。

　――空京封鎖――

　それは唐突に行われました。
　突如、道という道が封鎖され、人々は空京の街に閉じ込められたのです。
　奇妙な感染症の急速な蔓延が確認されたために。


　空京の上空を飛ぶヘリから体を突き出して、リポーターが叫びます。

『ご覧ください！
　これが現在の空京の様子です！！』

　カメラが街の様子を映し出すと、そこには逃げ惑う人々の姿がありました。
　カメラが人々を追い回す犯人へと向けられます。

「にゃーーーーーーーーーー！！！！」


『ね、猫！？　いえ、人です！！
　猫化した人々が逃げ惑う人々を襲っています！！』


　＝＝＝＝

　空京郊外。

「我々が成すべきことは２つだ」

　金　鋭峰（じん・るいふぉん）は、集まった契約者たちに言いました。

「１つは猫化した者たちから人々を護ること。
　現在、猫化した者……便宜上、これを『猫人』と呼称するが――
　この猫人に噛まれると、その者も猫化してしまうことが分かっている。
　原因はウィルスである考えられるが、未だワクチンの開発は進んでいない。
　そのため、応急的な処置として空京を封鎖し、この現象が外へ流出することを防いでいる。

　しかし、中に残された人々をこのまま放っておく訳にもいかない。
　諸君は空京内部へと向かい、
　まだ無事な者たちを出来る限り安全な場所に避難させ、猫人たちから護ってほしい」

　鋭峰が「そして」と続けます。

「２つめは、この猫化騒動の根本を解決することだ。
　研究者たちによれば、これは特殊なウィルスであり、
　ワクチンの開発には感染源となった何かが保持している親ウィルスが必要らしい。
　つまり、感染源を確保すれば、ワクチンを開発し、平和を取り戻すことができる。

　猫化の感染源である『何か』を突き止め、確保するのだ！！」


　＝＝＝＝

　封鎖された空京の街。

「はぁ、ピーニャ……どこに行ったんだろう？」

　フランという少女が一人、不安げに辺りを見回していました。
　フランはピーニャという猫を探していました。
　ピーニャと一緒に客船の飛空艇に乗って空京へ遊びに来たのですが、空港ではぐれてしまったのです。
　と、彼女は足元に落ちていた一枚のビラに気づきました。

「んっと……『猫、探しています』？
　捕まえた方には賞金……って、これ、ピーニャの写真！？
　なんで！？」

　ピーニャを探し求めるビラ。
　もちろん、フランが用意したものではありません。
　他の誰かもまた、ピーニャを探しているのです。

　そして、フランは改めて周りを見渡し、
　このビラが空京の街のあちこちにバラまかれているのだということに気づいたのでした。

金鋭峰からの依頼です。全ての学校に依頼を出していますので、どなたでも気軽に参加頂けます。
何らかの理由で『元から空京内に居た』ということにしても構いません。


▼猫人
　人を見ると襲いかかってきます。
　猫人に噛まれると、猫化してしまいます。

▼猫化
　具体的には思考が猫的になり、猫的な動きをし、猫的な声を出すようになります。
　人を見ると無性に噛み付きたくなりますが、基本的に猫です。
　犬歯と爪が鋭くなる以外に、外見的な変化はありません。

　また、猫化した者は、全てのスキルが使用できなくなります。
　が、スキル【軽身功】を身に付けているのと同等の身体能力を得ます。
（軽身功の無い人は、猫化が解かれた時に地獄の筋肉痛が待っています）

　機晶姫など生身のない種族は感染しません。

▼猫を探す少女　フラン
　彼女はピーニャという猫を探して街をうろついています。

▼猫を探すビラ
『猫、探しています。
　捕まえた方には賞金がございますので、下記の携帯までご連絡ください』

　といった文面と携帯番号と共に、空京中にバラまかれています。

　写真には灰色の毛をした目付きの悪い猫が写っています。
　写真は、どうやら空港の待合室を映す防犯カメラの映像を拡大した物のようです。

・避難誘導

・逃げて生き延びる！

・猫化しました

・一稼ぎしようか