葦原明倫館

「……なあ、バレンタインデーにテロやらねえ？」
「はあ？　何を言い出すんだ、いきなり？」
「見ろよ。どいつもこいつも、デレデレイチャイチャしやがって。目障りなんだよチクショウ。これが２月１４日当日になったら絶頂になるんだぜ。チョコレートが飛び交うんだ」
「いいじゃないか。せっかくの祭りだし、何より青春を満喫しなきゃな」
「……みんな、仲よさそうだな。……ハァ……羨ましい……」
「なんだ、ただのねたみかよ……」
　
　バレンタインデーを数日後に控えたツァンダの繁華街。
　あちらこちらのお店で色々な種類のチョコレートが売り出され、イベントの飾りつけが行われています。
　店先では、女の子達が可愛らしい笑い声を上げながらチョコレートを物色し、行きかう人たちは心なしか楽しそうでうきうきして見えます。
　そんな街角でベンチに腰かけ人通りをぼんやりと眺める、モテない二人組みの典型的な会話。
　まあ、よくある光景です。そっとしておいてあげましょう。

「……なあ、スカートめくりやろうぜ」
「さて、救急車呼ぶかな。え〜っと、精神病院は……と」
「告白の真っ最中、チョコレートを想いの男子に渡すとき、相手の前であられもない姿を晒してみな？　一生残る傷跡をハートに刻み込むがいいぜ！」
「お前は、脳に一生モノの傷が残ってそうだけどな」
「つまりだな、これ以上ないテロなんだよ、スカートめくりはっ！　まあ、チョコもらう男子のズボン強奪してやってもいいがな。そんな趣味は無いが、チョコくれる女子の前でパンツ丸出しとか絶望のどん底に叩き落されるだろうよ……くくく」
「虚しくなって絶望のどん底に叩き落されそうだな……」
「オレはパンツが見たいんだよっ！　あの娘のとか、あの娘のとか！　どいつもこいつもつきあいやがって！　どうせそのあとチュッチュとかやるんだろ！　もう許せねえ、これをぶっ潰すにはテロしかねえ！」
「わかったから帰ろうな。そのうちきっといいことあるよ……」
「くくく……テロってやる！　想いの人の前でパンツ丸出しで再起不能になるがいい！　震えて眠れ、リア充ども！」

　ああ、もうこれはだめでしょう。
　本来ならここでお開きのはずでしたが。

　
「面白そうじゃない！　やるなら“マスコミ”が全面的にバックアップするわよ」
　間の悪いことに（？）、偶然通りかかったおかしな女子生徒が話を聞きつけ話に加わってきました。
　自称『ツァンダの歩く闘京スポーツ』、東須　歩子（とうす　ぽこ）です。
　彼女、蒼空学園第十三新聞部の部長で、ゴシップ壁新聞を学校の片隅で細々と作っているのですが、これを機にメジャー紙に躍り出る算段のようです。
「とりあえず第一のターゲットは最大のリア充山葉　涼司（やまは・りょうじ）よね。じゅるり……さて、ソッコーで帰って飛ばし記事書かなきゃ」

「ふふふっっ……この俺様を差し置いてそんなことをさせるわけにはいかんな。男子のズボンを強奪するのはこの俺様だぜ」
　自称ズボンハンターの女子生徒、萩　香（はぎ　かおる）まで、凄い嗅覚でやってきます。これまでコツコツと努力を重ね、男子から奪い取ったズボン旧制服時代から数えて二百枚以上というツワモノもといヘンタイです。
　リア充とかどうでもよく、単にズボンが欲しいだけのようです。現在ジャンパラ大荒野に潜伏中ですが、ツァンダへやってくるとか。
「パンツも悪かぁねえが、ロマンを感じるのはズボンだろ。制服のズボンこそ俺様の青春。またコレクションが増えやがるぜ……ヒャッハー！」

　
　バレンタインデーにリア充どものスカートめくり＆ズボン強奪をやろう！
　恐るべきテロの計画はケータイで送信され、あっという間に広まりました。
　リア充爆発しろ！
　校内の片隅で勃発したテロは一気にツァンダ全域へと拡大し、同時多発テロになります。

◆　◆　◆


「いいかげんにしろよ、コラ！」
　激怒したのは、蒼空学園校長、山葉　涼司（やまは・りょうじ）です。
　シャレ的な遊びには比較的寛大であろう彼ですが、最近連続で被害に遭ったようです。
　息遣いを荒くした女子に不意打ち気味にズボンを脱がされそうになったり、更衣室からズボンを盗まれたりした彼は、討伐作戦を計画します。
「なんか知らんが、バレンタインデー前から俺を狙って自称『フリー・テロリスト』の連中が襲いかかって来やがる。その上、街中でまで暴れるつもりか、ふざけんな！」
　この機乗じてにあの人のズボンを奪ってやろうとか、スカートめくってやろうと考える悪質な便乗犯もいる模様。
「モテる人は大変ね。まあ、私はリア充じゃないから関係ないけど」
　箱一杯のチョコレートを抱えてやってきたのは、小谷　愛美（こたに・まなみ）です。
「いい機会だし、お世話になった人に義理チョコ配るわ」
　さらには……。
「私も義理チョコ配った方がいいみたいね。みんなにたくさんにお世話になったし、これからも多分お世話になるし」
　災難を振りまく少女雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）も、あろうことかチョコレートを大量に仕入れてきました。
「言っておくけど本当に義理なんだからね、勘違いしないでよね」
　チョコレート配るくらいで災難に巻き込まれないわ、なんて彼女は言ってますが……？
「……やれやれ、俺はリア充ってわけじゃないが、放っておくわけにもいかんか」
　高円寺　海（こうえんじ・かい）は、半ば呆れながら校内を見回る様子です。


　さて、明日はバレンタインデー。
　この格差社会のご時勢に、持つ者と持たざる者との戦いが始まります。

むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。

　みなさんこんにちわ。車　修理です。
　え〜、要するに。バレンタインデーにリア充どもに赤っ恥をかかせてやろうとする『フリー・テロリスト』と、楽しいバレンタインデーを送り想いを伝えたい受け取りたいリア充たちとの戦いです。
　戦いといいますか、テロといいますか……。理由をつけてスカートめくり＆ズボン強奪をやろうという、いい年してとても恥ずかしい人生後ろ向きスプラスティックコメディです。
　言っておきますが、大真面目です。バレンタインにテロリストって既出ですが、二番煎じっぽいとか無問題ですよ、ハイ。


　さて、ガイドではとても残念な非リア充の人たちが中心となって書かれていますが、当然のことながらよい仲のあの人とバレンタインデーを過ごしたい人たちもたくさんいることでしょう。
　想いのあの人にチョコレートを渡したい、あの人からチョコレートをもらいたい人もたくさんいることでしょう。
　大歓迎です。あなた達がいないと話が成り立ちません。
　で、そういう人たちは、襲い来る『テロリスト』どもを回避撃退しながらバレンタインデーを、ワクワクドキドキ楽しく過ごすことになります。
　　・誰と、どんなシチュエーションで、チョコをやり取りし楽しい日々を送りたいか。
　　・回避の方法
　　・はいているパンツの色や柄（はいていなくても可）：書かない場合は白にします。
　などを書いてください。

　リア充狩りの方。
　　・リア充への呪いの台詞。現在のションボリな状況を。
　　・誰を狙うか（特定しなくても可。どんな人、どんなリア充を狙うかということ）
　　・どんなパンツが趣味か
　　・スカートめくり＆ズボン強奪の手法
　などを書いてください。
　ターゲットの殺傷を目的としたアクションは、改変される場合があります。
　人数比にもよりますが、リアクション上で取り締まり班及び対象人物ににフルボッコにされる可能性があります。
当日チョコレートを渡す予定の人、あるいはもらう予定のある人は、こちら側には参加できません。
　
　治安や風紀を守りたい方、楽しいバレンタインデーを妨害する『フリー・テロリスト』どもやその便乗犯を取り締まりたい方。
　　・どんなアクションでも構いません。
　全てまとめて容赦なく叩きのめしてやってください。

　その他、便乗犯など。
　リア充とか関係ないけど、どさくさまぎれて、めくったりめくられたり（奪ったり奪われたり）したい方。
　　・どんなアクションでも構いません。
　リアクション上で取り締まり班及び対象人物ににフルボッコにされる可能性があります。



◆ＮＰＣについて。
　ガイドの単発ＮＰＣは基本放置で結構です。

　小谷　愛美と雅羅・サンダース三世は、会いに行けば義理チョコ（ただの市販の板チョコ）をくれます。
　山葉　涼司と高円寺　海は会いに行けばチョコを受け取ってくれます。ただし、義理チョコ扱いですが。
　＊対象は一人のみです。アクションで複数人とのやりとりを記入してもボツになります。

◆チョコレートについて
　チョコレートはアイテムとして付与されません。また渡す場合もわざわざ購入したり装備欄に装備したりする必要はありません。
　無事にやり取りできたキャラクターには称号が贈られるかもしれません。
　
◆称号について
【リア充爆破完了！】、【フリー・テロリスト】、【スカートめくり四天王】、【ふる☆ぼっこ】等、マイナスオーラ漂う称号を用意しております。

・リア充爆発しろ！

・バレンタインデーなんだし、楽しまなきゃね。

・『フリー・テロリスト』を取り締まる。