葦原明倫館

　
「ふーん……契約者用の宿泊施設を作りたいんだ」
　ニルミナスの村。村長であるミナホに相談があると呼ばれた熾月　瑛菜（しづき・えいな）はそう相槌を打ちます。
「はい。この村を拠点にして動いてくれるという契約者の方がいるんですが、その方たちが泊まるところがなく、ここに泊まってもらうことが結構ありまして……」
　瑛菜達がいるここは村の集会所であり、とある事情で家なき子であるミナホ（ついでにその父親）も間借りしています。２、３人であれば大丈夫でも、これ以上この村を拠点にしようと考えている契約者が増えれば大変だとミナホは言います。
「あれ？　村には小さいけど一応宿があったよね？」
　そう疑問の声を上げるのは瑛菜のパートナーであるアテナ・リネア（あてな・りねあ）です。瑛菜もアテナも二ルミナスにきた時は基本的にそこへ泊まっていました。
「詳しくはよく分からないのですが、『ブログを見た』という観光客の方が最近増えてまして、あの宿は２０部屋しかなく満室になることがたびたび……」
　村に一つしかない宿がそのような状況だとミナホは言います。
「まぁ状況は分かったよ。でもそういう事なら契約者用なんて言わずに観光客向けの宿を作った方が早いんじゃないか？」
「今回作るのもニルミナスを拠点する契約者や依頼を受けた契約者の方優先ではありますが、空いてる場合は観光客の方に解放します。それに観光客向けの大きな宿は作るのが一応決まっているんです」
　瑛菜の質問にミナホはそう答えます。
「？　じゃあどうしてそっちを先に作らないの？」
　そっちを先に作れば全て解決するのにとアテナは言います。
「この村をどのように大きくしていくのか、それがまだ決まっていないからです。観光客向けの宿泊施設を作るにしても、村の方向性に合わせて作った方が効果的だと思いまして」
　そのため建築に取り掛かるのを待ってもらっているとミナホは言います。
「……で、結局あたしに相談ってのは何なんだよ？　既にいろいろ決まってるみたいだし」
　瑛菜の言葉にアテナもうんうんと頷きます。
「宿を作るまではいいんですがそこを管理する人がいないんです」
　掃除をしたり料理を作ったりは村の若い人の労働力があるとミナホは言います。
「できれば住み込みで管理してもらいたいんですが」
「なんだ……そんなことか」
「？　誰かちょうどいい人選に心当たりがあるんですか？」
「あるよ。そういう管理系の仕事の経験があって、面倒見もいい、ついでに家もない奴に」
「そんな都合の良い方が……私が知ってる方ですか？」
「知ってるも何もミナホ、あんただよ」
「え……？　私ですか？」
「できるだろ？」
「出来るか出来ないかで言えばできますが……」
　この村の規模や、村長職の慣れ、また村長の仕事を手伝ってくれる契約者の存在。そういった点からミナホが宿の管理を住み込みですることは可能でした。
「いざとなったら、前村長引っ張り出せばいいわけだし……てわけで、この村にあたしらの拠点作り始めよっか」
　アテナのおーという掛け声とともにニルミナスに契約者の拠点が本格的に作られようとしていました。

初めての方ははじめまして、前回参加してくれた方はお久しぶりです。河上誤停です。
今回は村における契約者の拠点を作りながら、村興しの方向性を決めるシナリオになると思います。
どういった方向性にするか村長であるミナホもある程度ビジョンを持っていますが、今回の拠点づくりの中でPCの影響を受けるかも知れません。


■視察・整備について
村興しシナリオでは今までのシナリオで調査したり作った場所を訪れ、視察したり整備することができます。
今回であれば森と鍾乳洞を視察、街道を整備することができます。
村の外では戦闘の可能性もあるため、その場所で想像しうる敵への対策をオススメします。


■拠点について
一言で言うなら長期滞在の出来る宿です。ただ、今後村で問題が起きた時の拠点にもなるため単なる宿泊施設となると不便です。
PCが村で活動する上であったら便利だろうというものがあれば提案をお願いします。
建築に使う材料は基本的に木材になります。その点に考慮してアクションをお願いします。
できた宿に長期滞在するかどうかは自由です。ガイドの通り完成後の宿はミナホが管理することになります

■村興しの方向性について
ミナホは観光業を中心に村興しをし、その中で村と森との関係がアピールポイントにならないかと考えています。
PCの皆さんにはそれに賛成したり反対したり、もしくは他のNPCである瑛菜やアテナ、前村長に話を聞いたりできます。
それによって今後の村興しの方向性が決まります。

※村興しの一環としてニルミナスを拠点に活動してくれるPCを募集しています。

・街道の整備

・宿作りに協力

・前村長の話を聞く