葦原明倫館

　パラミタ内海、浜辺の一角。

　エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）は、各学校の生徒たちを誘って、海に遊びに来ていました。
「面倒な事は大ババ様がしてくれてるから気晴らしをするですぅ。早速、城を造って最上階で、かき氷を食べるですよ～」
　エリザベートは一緒に来たヒスミ・ロズフェル（ひすみ・ろずふぇる）とキスミ・ロズフェル（きすみ・ろずふぇる）に、自らが書いた設計図を渡し、砂の城造りを頼みました。
「おう、いいぜ！　なぁ、キスミ」
「もちろん。校長のために頑張るぜ」
　双子は妙に快く引き受け、早速城造りを始めました。
「遊びに行って来るですよ～」
　エリザベートはしばらく城造りを眺めていましたが、飽きたのか遊びに行ってしまいました。

　エリザベートが去った後。
「……せっかく海に来て城造りだけじゃつまらないよな」
「魔法薬の実験をしなきゃもったいないよな」
　双子は城造りをやめ、持参した液体状の魔法薬（試作品）を振りかけました。

　すると、轟音を響かせ、身体の一部が城の二足歩行の巨人、ゴーレムが現れました。
「よし、成功だ！」
「だな。まずは命令を……走れ！」
　出来具合に満足なヒスミにゴーレムに命令をするキスミ。
　キスミの命令通り動くかと思いきや……ゴーレムは突然、二人を襲い始めました。


　一方、アゾート・ワルプルギス（あぞーと・わるぷるぎす）達は、契約者たちに出されていてた依頼を受け、浜辺に居ました。
「依頼を受けて頂きありがとうございました」
　温和そうなシャンバラ人の女性が頭を下げます。
　彼女は、人のためになる調薬を広める事を目的としている調薬友愛会の会長でヨシノという者です。
「依頼は素材の収集だよね。貝や魚、海藻ハーブを数種……それと、巨大魚竜の肝。これ、魚竜は見つけるのが困難だから超レア素材――」
　とアゾートが言った瞬間、海の彼方で、超巨大な魚竜が思いっきり海上にジャンプし、空中で身体を巡らせて、激しく海に潜っていきました。
「……超レア素材……」
「……ラッキーでした」
　ヨシノは温和な様子で微笑みました。
「……まあいいけど。肝の方は、アレを釣り上げて倒すだけだね。他は地道に採取するとして」
　アゾートは気を取り直してから、ヨシノの方へ探るような目を向けました。
「ところで調薬について諸々聞きたい事があるんだけどいいかな。おそらくそちらもそのつもりでボク達を呼んだと思うんだけど」
「……お察しの通りです。魔法中毒者の遺跡で貴方がたが発見された特別なレシピについて少々」
　ヨシノは隠す事無く真の目的を明らかにしました。
「あたし達の団体は中毒者達の集まりを手本に創設されたんだよ。今はいろいろあって一つが二つに別れてその内の一つがあたし達なんだ。ちなみにあたしはウララだよ！」
　ヨシノの隣にいた魔女の少女が説明を挟みました。
「……詳細は作業をしながらゆっくりと聞かせて貰うよ」
　長話になると察したアゾートはそう言って話を終わらせました。
「ありがとうございます」
「んじゃ、楽しもう！　釣りに海水浴に食事に砂遊びに……いろいろ。もちろん、仕事もね」
　ウララは、エリザベート同様、海を楽しむ気満々でした。


　さて、暴走ゴーレムに追われるヒスミとキスミは。
「なんで言う事を聞かないんだよ！」
「ヒスミが魔力を込めすぎたからだ。それに材料だって……」
　双子は必死に暴走するゴーレムから逃げながら薬製作を振り返っていました。いつも通りヒスミのやり過ぎから今回の事が起きたようです。
「いや、ゴーレムはアグレッシブな方がいいだろ」
「まぁ、そりゃそうだよな」
　ヒスミの言い分に納得するキスミ。ちなみにキスミは薬製作でもヒスミのやり過ぎを一度は止めたものの、最後は調子に乗ってやり過ぎを看過したのでした。

「あの二人またですか～、きちんと作るですよ～」
「……本当に暑い中よくやるよ」
　エリザベートとアゾートは呆れるも双子を助ける様子はありません。いつもの事なので一緒に来た多くの参加者達に任せようと考えているようでした。

　季節も夏という事で今回の舞台は海です。
　貸し切りの海を賑やかに遊ぶも良し、調薬友愛会の依頼に協力するも良し、ヨシノ達から情報収集をするも良し、双子を弄るも良し自由に楽しんで下さい。ちなみに現在も正体不明の魔術師との対決準備は進行中です。
　正体不明の魔術師など諸々の事柄についてはマスターページを参照下さい。

【調薬友愛会】
・あちこちに支部を持つ団体で人助けのための協力は惜しみません。特別なレシピを求めています。

・ヨシノは正体不明の魔術師との対決場所である遺跡に一度訪れた事があります。学者風の男性と特別なレシピを取り合い、負けた方です。

・入手出来る情報は、特別なレシピや調薬関連などとなります。

【活動について】
・調薬友愛会からの依頼
砂浜を漁ったり、釣りをしたり、海に潜ったりなど調薬に必要な貝、魚、海藻ハーブ素材を収集して下さい。
魚竜は海中だと無類の強さを誇ります。

素材収集の他に調薬して実験をしても構いません。

・砂の城造り
エリザベートが持参した中世ヨーロッパ風の巨大な城（浜辺の砂で足りるかどうか不安なほどの大きさです）を完成させるのが目的です。
真夏の中の重労働となりますので熱中症対策は必須です。
時々エリザベートが様子を見に来る予定です。

・ゴーレム退治？
双子の作り出した暴走ゴーレムを退治して下さい。大きさは数十メートルとなります。とにかく暴れ回ります。崩しても薬の効果が効いている間は何度でも甦りますので効果を無効化にする方が退治は上手く行くかもしれません。

・遊ぶ
海水浴、釣り、海の家、空の下での食事など普通に海で出来る事を楽しんで下さい。

【エリザベートとアゾートと双子の動向について】
・アゾートは素材収集しつつ会長から情報を得ようと動き、気晴らしをしたいエリザベートはかき氷選びなど完全に遊び目的で動きます。二人と行
　動を共にしても構いません。

・双子はひたすらゴーレムに追いかけ回されています。扱いはいつものように一緒に遊んだりお仕置きをして頂いて構いません。

・調薬友愛会の手伝い

・城造り

・遊ぶ

・ゴーレム退治