葦原明倫館

「――頭打ちだな」
　ある日の午後、アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ（あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち）大尉は、大太刀の刃の背で肩をトントン叩きながらそう呟きました。

　シャンバラの東部に位置する『キャンプ・ソーン』。
　此処は正式名称を『都市戦闘訓練センター』という義勇陸軍中隊『プラヴダ』や地球の連合加盟国軍の使用する大規模軍事演習場で、三次元オブジェクトを高速作成しそこにプロジェクションマッピングを行う特殊技術で、
住宅やビル、道路や水路など、シャンバラの町並みを再現出来る都市内での戦闘を想定した際の訓練施設です。
　大きな施設の為、本来は部隊を組んで演習を行う場所ですが、今日はプラヴダの兵士数名の姿しか見えません。
「うん、アレクが右から足でくるの、知ってた」
「Wow……，知ってて顔面蹴られたのか」
「反応出来るかは別だろ」
　ハインリヒ・ディーツゲン（はいんりひ・でぃーつげん）中尉は、グローブの甲で土と鼻血を拭いながら、瓦礫の上で踞っているトーヴァ・スヴェンソン（とーゔぁ・すゔぇんそん）中尉に振り返ります。
「僕等いつも三人で、だからね。今迄スキルに武器にアイテムに色々変えてみたけど、相手が同じだと読めてくるよ」
「そう……ね……。アタシも、アレクが先にこっち、潰しにくるの…………分かってたわ……！」
「分かってたら対処しろよ」
「出来るかは別よ……」
　敗北の恥と屈辱を紛らわせようと渋い顔をする二人を順に回復しながら、キアラ・アルジェント（きあら・あるじぇんと）一等軍曹はふと何かを思いついたようで、アレクに提案します。
「他の誰か呼べばいいんじゃないスか？　友達とか、今迄作戦に参加してくれた仲間の契約者とか」
「否でも民間人はどうだろうな。
　俺のとこ（＊米陸軍）だけならまだしも、連合加盟国全部の許可取るのは容易じゃない――」
　流し目で見られ、ニコライ・ストヤノフ少佐は逡巡します。
「……いっそ公開にしてしまえばどうでしょうか」
　意外な提案に皆が注目したのに気付くと、ニコライは先程より声を張り、続けます。
「我々の活動も此処数ヶ月でかなり活発になり、人目に触れる事も増えましたから、風当たりを考えればこの辺りで一度活動を宣伝する必要がある。
　と、丁度連合本部とやり取りしていたところです。
　『戦闘だけでは無く、人道支援の為の軍隊』という言葉に説得力を持たせるなら、民間人との公開演習は、大変良い機会であると考えます」
　微笑みで閉じられた言葉に、アレクとハインリヒとトーヴァ三人の瞳がキラキラと輝きます。
「やったー！　遊べるーッ！！」
　と、子供のようにキャッキャとはしゃぎ始めた上官達を前に、ニコライは実際に許可が取れるかどうかはまだ分からない事や「あくまで広報の為ですからね」と念を押しますが、もう三人はそれらを聞いてはいませんでした。


　さて。それから数日後――、
　『キャンプ・ソーン』に集まった契約者を、待ち構えていた軍人が笑顔で出迎えます。
　件の三人の尉官にトゥリン・ユンサル（とぅりん・ゆんさる）やスヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ（すゔぇとらーな・みろしぇゔぃっち）ら――プラヴダが誇る戦闘バカに囲まれて、キアラだけが肩を落としながら
「どうして私まで……」と、呟くのでした。

　シナリオガイドをご覧頂き有り難う御座います、東安曇です。
　此方のシナリオは、『ＮＰＣとＰＣで一対一のバトルをして頂く』ものです。プラヴダ曹長ヤン・コワルスキから解説や総評が出る場合もありますが、内容は基本『バトルする』のみで、どちらかが行動不能になると終了です。
　地形は格好良さげなものをこちらで用意致しますが、『交差点で戦いたい！』『ビルの谷間で戦いたい！』など指定して頂ければ可能な限りで反映致します。
　今回は進行中のシリーズ【Buch der Lieder】とは全く関係の無い番外編的なストーリーになりますので、お気軽にご参加頂ければ幸いです。

＊

【注意点】以下に必ず目を通して頂きますようお願い申し上げます。

・対象ＮＰＣの欄からバトルしたい相手キャラクターを選択し、アクション欄に必ず名前をご記載下さい。

・バトルに参加出来るのは、１アカウントにつき１ＰＣまでです。
　ＭＣ、ＬＣどちらでもご参加頂けますが、バトル参加外のキャラクターは応援アクションのみ反映されます。スキルやアイテムの付与も無効になりますのでご注意下さい。
　奈落人の憑依、魔鎧のみ２ＰＣのバトル参加を有効としますが、奈落人は奈落人キャラクターの能力のみが反映され、憑依先のキャラクターの能力は反映されません。（応援は出来ます）
　ギフトがバトルに参加する事は出来ますが、ＭＣがギフトを装備した状態でバトルに参加することは出来ません。
　またＬＣでバトルをしたい場合、ＭＣの欄にＬＣのアクションをご記入頂いて構いません。

＊
【バトルについて】
・今回リアクション内で反映する基準は、アクション内容＞総合レベルです。　　　

『服装』
・どのようなものも有利、不利になる事はありません。

『ＨＰ・ＳＰ』
・数値は細かく計算致しません。もとの能力に対しやり過ぎたら疲れる、時間が経ったら疲れる、程度です。

『武装欄』
・武器の強さや属性は反映致しません。
　攻撃力防御力その他が強い武器も弱い武器も、リアクション内で同等に扱われますのでご注意下さい。付与されている特殊性能は有効です。
・ユニーク化されたもの性能効果は、元のアイテムに依存します。
・「刀を七本装備し、同時に持って戦う」のような実際に出来ないものは失敗し易いです。
・あくまで一対一でのバトルです。アイテムですが従者は無効とします。

『スキル』
・補助以外のスキルは、上掛けすると一度目のスキルが無効になります。
　例：超感覚→氷術（有効）
　　　超感覚→ヒール（有効）
　　　氷術→火術（同時発動無効。順に繰り出される）

『その他』
・アクションは、必ずしも成功するとは限りません。
　またＡをしたらＢをする、というアクションは、Ａが失敗するとＢも出来なくなりますのでご注意下さい。
・自由設定で有利・不利になることはありません。
・装備していないアイテムやスキルは、反映致しません。

＊

【対象ＮＰＣ】
・↑強↓弱
・クラスなどについてはキャラクター頁をご覧下さい。
・ＮＰＣは、相手ＰＣによって独自にハンデをつけるなどをして戦います。
　『武器無しでやって欲しい！』などハンデの指定を頂いた場合、可能な限りで反映致します。
　手加減無用の場合はアクション欄に【手加減無用！】とご記入下さい。（こちらは所謂行殺の可能性が高くなります、ご注意下さい）


『アレクサンダル・ミロシェヴィッチ：ＡＭ』
武器：大太刀
　　　ナイフを使用した近接格闘術を指定する事も可能です。
特徴：オールマイティ
弱点：「右目が見えないとか、そんな設定とっくに忘れたわ」
　※中学二年生の夢を詰め込んだようなチートキャラなので、普通の方法では勝てないと思って頂いて構いません。
　某先生に師事を受けている古代魔法に現代魔法を組み込んだ特殊魔法は、【手加減無用】以外では使用されません。
　

『ハインリヒ・ディーツゲン：ＨＤ』
武器：騎兵銃（カービン）、軽機関銃（サブマシンガン）、散弾銃（ショットガン）
特徴：俊足、近接格闘術
　　　銃剣を使用した（発砲無し）近接格闘術を指定する事も可能です。
弱点：手加減が苦手
　※武器とクラスはプレイヤー側から指定可能です。
　　武器は、ギフトではありません。その辺で買えるものです。
　【手加減無用】にするとコマンダーとワールドメーカーの能力を両方使ってきます。クラス同時行使なんてそんな馬鹿なと思いますが、今回は楽しいからいいかっていう方向でいきましょう……。

『トーヴァ・スヴェンソン：ＴＳ』
武器：レイピア
特徴：正攻法
弱点：正攻法すぎ
　※羽根は光の翼なので、攻撃の範囲内に入りません。

『スヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ：ＳＭ』
武器：刀、脇差し
　　　棒を使用した近接格闘術を指定する事も可能です。
特徴：身体の柔らかさ、手数の多さ
弱点：うかつ、調子に乗り易い
　

『トゥリン・ユンサル：ＴＵ』
武器：槍
特徴：すばしっこい
弱点：力が弱い

『キアラ・アルジェント：ＫＡ』
武器：ワンド
特徴：マジカル一等軍曹キアラ☆特殊魔法
　　　”Lanpa arcobaleno”
　　　えげつない光術。喰らうと一定時間目が見えなくなる。
　　　”Quadrifoglio”
　　　拘束魔法。編み込まれた光りの縄で対象を一時拘束する。縄に捕まりで移動する事も可能らしいが、キアラに使いこなせるのかは微妙。
弱点：「むしろ弱点じゃないところがないんスけど」

※その他のマスター頁に名前の記載のあるマスターＮＰＣにアクションを掛ける事も可能ですが、バトルは出来ませんのでご注意下さい。

・キアラとバトル

・ハインツとバトル

・ＭＣを応援！