葦原明倫館

「ジューンブライドの時期も、終わりますわね……」
　ロスヴァイセ邸にて。ヴァレリア・ヴァルトラウテは黄昏ていました。
「ついこの間フリューネ様が結婚なさいましたし、キロス様も結婚……はできていないようですけれども、一応結ばれたようですし。
　わたくしもそろそろ、王子様に出会いたいものですわ」
　生粋の箱入り娘だったヴァレリアですが、この一年間様々な人々を見てきて、そしてフリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）やユーフォリア・ロスヴァイセに教えられて、ある程度の常識は身につけてきていました。
　キロス・コンモドゥス（きろす・こんもどぅす）に婚約を迫ったこともあるヴァレリアですが、今はすっかり落ち着いて、いつか現れるであろう王子様を夢見ていました。
「誰か、攫って頂けませんかしら……」
　まだ少し常識はずれなところもあるようですが、許容範囲内です。
「そういえばちょうど一年前のこの頃、プールに行きましたわね。……そうですわ、海に行きましょう！
　ええと、水着はどこにしまってあったかしら……」

　こうしてヴァレリアは水着を引っ張り出すと、一人、海に向かったのでした。

「さて、海に着きましたけれど……」
　ヴァレリアがやってきたのは、パラミタ内海のとあるビーチでした。
　夏の時期ということもあり、海辺は潮干狩りやバーベキューを楽しむ人々で賑わっています。
「ええと、私の王子様は……」
　きょろきょろとヴァレリアが周囲を見回した瞬間、

「逃げろおおおおおおおおっ！！！！！」

　背後から叫び声が上がりました。
「まあ、なんでしょう……？」
　不審に思ったヴァレリアが振り返ると、リヴァイアサンとオルトロスが海から姿を現しました。
　リヴァイアサンにいたっては、種の中でもかなり巨大な部類に入るでしょう。
「まあ！」
　突然のことに、思わず目を見開くヴァレリア。

「なんという絶好のチャンスでしょう！」

　突進してくるリヴァイアサンに、ヴァレリアは満面の笑みを向けました。
「私をリヴァイアサンから助け出してくれた方を、今度こそ私の王子様に致しましょう！」
　ヴァレリアは突っ込んできたリヴァイアサンの頭にひらりと乗っかりました。
　そして、喜んで攫われてしまったのでした。

　初めましての方は初めまして、そしてこんにちは。八子　棗（やこ　なつめ）と申します。

　一年ぶりにヴァレリアが暴走しましたので（？）、対処をお願いします。
　以前の関連シナリオ（王子様とプールと私や【琥珀の眠り姫】シリーズ）の参加者の方はもちろん、どなたさまもぜひぜひ海を楽しんでいってくださいね！

■ヴァレリアについて
　本名：ヴァレリア・ヴァルトラウテ。
　シャンバラ古王国時代に禁呪を施され、琥珀の棺の中で五千年の眠りについていた『琥珀の眠り姫』です。
　箱入り娘のため色々と知識不足ですが、やたらと行動力はあります。

■被害状況について
　海辺にある海の家周辺には、まだ被害が出ていないようです。
　潮干狩りやバーベキューを楽しむことができますが、リヴァイアサン等が退治されないと、そのうち被害に遭うでしょう。

■モンスターについて
　リヴァイアサンは通常の召喚獣のものと比べてもかなり巨大なものです。
　また、オルトロスは海の中に隠れているだけで、数体いることが確認されています。

■ＮＰＣについて
　今のところキロスに連絡はついており、ヴァレリアを追ってパラミタ内海の近くに来ているようです。
　しかし、キロスは婚約者との浮いた噂が立っているため、それを快く思わない連中に狙われているとの情報も入っています。
　フリューネとユーフォリアにも連絡は入っているため、二人との合流は可能です。

■ヴァレリアの婚活（？）について
　ちなみに、ヴァレリアを助けた方は、もれなくヴァレリアに求婚されます（性別問わず）。受けるも断るも自由です。


　今年も暑いのではないかなと思うので、思う存分涼んでいって下さいね。

・ヴァレリアを助ける！

・どんな状況下だろうと、海を楽しむ！

・キロスをおちょくりに行く！