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願いが架ける天の川

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シナリオガイド

大切な人と願う? 大切な人に願う?
シナリオ名:願いが架ける天の川 / 担当マスター: 有沢楓花

 2024年の7月7日のお昼。
 ヴァイシャリーの郊外にある見晴らしの良い丘に、大きな大きな笹が運び込まれていました。
「ここから細い川が見えるでしょう。あの川は、昔はもっと幅の広い川だったそうなんですよ。サルヴィン川程じゃないですけどね」
 笹の太い部分を腰のところで支えながら話しているのは、一人の地味な守護天使の青年でした。
「その昔、この川の両側にそれはそれは仲の悪い二つの村があったんです。
 あんまり仲が悪くてちょくちょく喧嘩になるので、近くの庵に住む魔法使いが見かねて、川を氾濫させましてね……二つの村は暫く行き来できなくなったんです」
 彼が開けた場所に笹を横たえようとすると、笹の真ん中を持っていたフェルナン・シャントルイユ(ふぇるなん・しゃんとるいゆ)がもう少し右に、と声を掛けた。守護天使は位置を直しつつ、
「でも犬猿の仲のはずの二つの村にも、恋仲の男女がいてですね……そのおかげで会えなくなって泣き暮らすようになったんです。
 村人たちは二人を見て可哀想になったんですね、仲直りをしたいと思うようになりました。そこで魔法使いに会いに行って訴えたわけです。魔法使いも情にほだされたんでしょうね、喧嘩をしない、という誓いを立てさせ、時が来たら氾濫が自然に治まるようにしたんです。
 その後二人は二つの村を繋ぐ象徴となったんです。その後この辺りじゃ、川を渡る竿にした笹に、願い事を吊るすようになったそうですよ」
「……まぁまぁロマンチックな話ですわね?」
 彼らの先頭で百合園生を引率――逆に、引率されてるような気もする――白百合会会長アナスタシア・ヤグディン(あなすたしあ・やぐでぃん)が振り向いて頷けば、守護天使は満面の笑顔で付け加えました。
「――という設定を今考えました」
「…………は?」
 思わず遠慮ない声が出たアナスタシアに、会計の村上 琴理(むらかみ・ことり)が呆れたように言いました。
「駄目ですよ会長。こちらに留学したとはいえ、守護天使さんは内海の中央部のご出身ですよ。ヴァイシャリーに詳しい方が不自然です」
「そうですわよね。……ええ、そうでしたわ。そうですわ。
 ……こんなことをしているからいつまでも守護天使なのですわ!」
「守護天使以外の何になれって言うんですか」
 アナスタシアに軽く冷たい目で見られて、守護天使は気圧されながらぷいと横を向いた。
「そう、そのすぐ拗ねているところがいただけませんわね。さっきの作り話のように、前向きな願いごとをなさった方が宜しいのではなくて?」
 言い合いになりそうな二人を、フェルナンがとりなそうと、
「まぁまぁ……この丘は地元では『星降る丘』、あの川を『星流れる川』とも呼ぶようですから、的外れでもないようですよ。昔の人々は川で星を鑑賞するようなことがあったかもしれませんね」
 そう言って、笹を立てました。
 まだ何も吊るされていない笹の葉ですが、これから夜にかけて賑やかになるでしょう。
 笹の周囲には有志の生徒たちによって、素材になる星形の短冊や折り紙、提灯などが用意されていきます。

 ――笹の葉に星形の短冊に願い事を書いて、小さな天の川を作ろう。
 ――大切な人と願おう。大切な人に、願おう。

 百合園女学院生徒会主催の、共に星を見る一夜の企画でした。
「校長もあの方も、いらっしゃれたら良かったのですが……。今は無事に百合園に戻って来られるように、と願いましょうか」
「あらフェルナン、それだけでいいの? 自分の願い事もしなきゃね」
「琴理さんこそ、私が仕事変わりますよ。今日は待ち合わせがあるんじゃないですか?」
「ち、違うわよ。だからフェルナンがね、仕事以外の、たとえば――」
 琴理の言葉に、守護天使がにやにやして割り込みます。
「そう、たとえば恋人同士になれますように、とか、もっと進展しますように、とかですね。
 ここまでの道ですが、せっかくなのでのんびりコースとどきどきコースをご用意しました。のんびりは今来た普通の道ですね」
「会長としては一応聞いて差し上げますけど……何ですの、どきどきっていうのは?」
 胡散臭いものを見る目つきを隠しもしないアナスタシアでしたが、彼は今度はめげませんでした。
「肝試しコースです。木々が茂って岩場があったりして暗い道です。ここまで来る途中に仲を深めてもらうんですよ。
 ほら、ちょっとキューピッド(天使)っぽいですよね! イイ男には余裕と思いやりがあるんだってこの前古城の冒険で学びましたよ!」
「私、もう何も言いませんわ……」


 こうして、七夕の宵は始まったのです……。


担当マスターより

▼担当マスター

有沢楓花

▼マスターコメント

 こんにちは、有沢です。


 今回は七夕シナリオです。
 ヴァイシャリー郊外の丘周辺が舞台です。開けた場所の小高い丘に笹を立て、そこから徒歩で少し行ったところに川が流れています。
 七夕あたりの夜には、満天の星空が見え、穏やかな流れの川には星が不思議と映りこんでいるようにきらきらします。
 時間は、七夕の夕方から夜中にかけてとなります。
 百合園女学院生徒会主催とはなっていますが、他校の生徒も歓迎しており、知人・友人も多く招かれています。そのため簡素ではありますが、座るためのベンチや毛氈、緑茶や麦茶とちょっとしたお茶菓子くらいは用意されています。

 『蒼空のフロンティア』終了間近ですが、皆さんは何を願って、どのようになりたくて、どんな願いを短冊に託すのでしょうか?
 大切な友人同士や恋人、もしくは一人で。願ったり、肝試ししたり、お化けになって脅かしたり、してみてください。


 また、こちらは公式NPCをお誘いいただけるシナリオになりますが、以下の点を全て満たす場合に限らせていただきます。ご注意ください。
 ・外出できる状態・状況のNPC
 ・かつ、以前有沢が担当したことのあるNPC
 ・NPC分のLCの追加(※ガイドの守護天使と有沢個人担当のNPCを誘う分には必要ありません)
 を、お願いいたします。

 それでは、皆さんのアクションをお待ちしています。


 余談ですが、先日、実は某守護天使が存在自体が偶然の産物……生まれない筈だったことを知りました。本当はルミーナになる筈が男性の守護天使になってしまったそうです。公式NPCだったのに開始何年も種族イラストだけの存在だった理由が遂に……。
 また実は、キャラクエで二度、彼のイラストをお願いしたのですが、二度目は別の守護天使イラストになっていた不憫の人でもあります。
 沢山関わっていただいてありがとうございました。

▼サンプルアクション

・願い事をする

・肝試しする!

・オバケになる

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年07月05日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月06日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月10日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年07月23日


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