葦原明倫館

「ひぎゃうぇおおぉぉえあうぅぅかふぁいはしふぁうえぇぇぇぁあすぇぁおかすぅそんくまーーーーーッ！！」

　シャンバラの某所、某日。
　それまで静かだったとある住宅街に、突然奇妙な絶叫が響き渡りました。

「一体何事だ？」

　つんざかれた耳を押さえつつ、千種　みすみ（ちだね・みすみ）が現場に現れたとき、部屋のなかではぷしゅうぅぅと黒煙を頭から吹いて倒れている更科　太郎（さらしな　たろう）と、花妖精のジョニーが立っていました。

「大丈夫、もう叫ばないから」
「いや、それは叫べないんじゃ……」

　けろりと言うジョニーの手に握られた棍棒という鈍器を見ながらみすみは反論しかけましたが、見ればあきらかでしたので、すぐにあきらめました。

「で。こいつは何を叫んでいたんだ？」
「さあ？」
「さあ、って。理由も聞かず殴りつけたのか？　――はっ！　まさか、おまえ」
「ジョニーが何かしたから叫んでたんじゃない。うるさいから止めただけ。
　ただ、何かなくなったとか盗まれたとか、そんなことつぶやいてたのー」
「失せ物か。なら、それを見つければ解決だな」

　やれやれ。とんだお騒がせだ、と白目をむいて倒れたままの更科太郎を見下ろして、みすみはため息をつきます。
　探すには、まず起こして何がないのかを聞き出さなければいけません。
　しかし起こしたとたんにまた叫ばれると厄介だな、と考えていると、更科太郎が「ううう……」とうめき声を発しました。

「……が……。……が、ないと……もう……ピヨが…………ない…………」
（ん？）

　もしかしてこれは、と何かに思い当たったときです。
　ジョニーがぽんと手を打ちました。

「ジョニー、いい考えが浮かんだ。みんなに手伝ってもらうといいのー。手は多い方がいいもんね？」

　そして言うが早いか、ジャイアントビッグピヨを呼び寄せます。

「あのね、手分けして太郎センセーの探し物を見つけてあげてって、ピヨたちに連絡してほしいの。太郎センセーは半狂乱になってるから、気絶してるうちにできるだけ早くね」

　さすがジャイアントビッグピヨはサイズが並のピヨと違うだけあって、並のピヨにはできないことができます。
　ジョニーの言葉はあっという間にシャンバラ中のピヨにテレパシーで伝わりました。

「さあこれでいいの」
「ケータイ使えよ」
「だってそれだと１人ひとりとお話ししなくちゃいけなくて、時間かかっちゃうじゃん」
「一通かよ。そして事情の説明は一切なしかよ」
「だってジョニー、知らないものー」

　だめだこいつ……とみすみは思いましたが、最近ジョニーと一緒にいるせいで感化されてきているのか、これもまた思っただけで、とりたてて反論することはありませんでした。
　さっそくみすみのケータイに、ピヨを通じて連絡を受け取った者たちからの着信が続々と入ります。
　わけが分からないよ、と口々に言う彼らに向かい、みすみが言えるのはこれだけでした。

「まあ、その、アレだ。
　がんばって見つけてくれ」

　こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。
　このシナリオは、イラストレーターの更科雫さんの納品イラストが５００枚を突破したことを祝しての記念シナリオとなります。

　このシナリオでは更科さんのピヨの入ったイラストを持っていない方も参加できますが、以下の特殊ルールをご理解の上ご参加いただきたいと思います。


１．更科太郎先生宅のジャイアントビッグピヨを通じて各自のピヨに連絡がいっています。
　　ピヨの入ったイラストをお持ちの方は自分のピヨから聞いていますが、それ以外の方は「どうしてこのことを知ったか」という理由が必要になります。

２．このシナリオに限り、ピヨはシナリオに設定するバストアップに描かれているピヨの数だけ登場させることができます。複数いる場合は「ピヨ１号」「ピヨ２号」でもいいですから、名前をつけておいてください。リアクションは文字ですので固体識別ができなくなります。なければただのピヨになります。
　　また、それぞれピヨに特徴があった場合それも描写しますので、アクション投稿時にイラストをそのバストアップイラストにしておき、アクション締め切り後３日間はイラストを変更しないでください。

３．バストアップのなかでピヨが何かしていたとき、それを必殺技としてアクションに組み込むことができます。
　　例）仲間を呼んでいる、怪光線を発射している等

４．バストアップのなかでピヨが何か持っていたとき、それを武器としてアクションに組み込むことができます。

５．「３」「４」のことをイベントカット等ほかのイラストでやりたいときは、そのイラストのアドレスの末尾をアクション欄に書いておいてください。
　　例）ｅｗ××××××××（イベントカットの数字）

６．上記「１」〜「５」のいずれも注意が守れていない場合は、そのアクションは不採用となる可能性が高いです。お気をつけください。



●事件についてＰＬ情報
　更科太郎先生は、愛用の黄金のペンタブレットを盗まれました。
　更科太郎先生が「今の自分があるのはこれのおかげだ」と言っているのを耳にして、これがあると魅力的なピヨが描けて、自分も更科太郎先生のような人気絵師になれると考えた男の仕業です。
　事実、とても大切にしていたペンタブレットでしたから、更科太郎先生の受けたショックは大変大きなものです。
　あれがないともうピヨが描けない、ピヨたちに命を吹き込むことができない、と落ち込んでいます。
　再びピヨが描けるように、ピヨたちを総動員して、更科太郎先生愛用の黄金のペンタブレットを取り戻しましょう。

　上記のことを踏まえた上でＰＣのアクションを考えてもいいですが、コメディですから、もちろん何がなくなったのか分からない状況のまま、きっとこれがなくなったに違いない、と勝手に推理して動く！　と、面白おかしく状況を引っ掻き回すこともアリかと思います！







　それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

・犯人から取り戻す

・ピヨをもふる

・黄金のペンタブレットはわたしのもの！

・更科太郎先生を看護する