空京大学

「ようこそ、パラミタ大陸へ」
　蒼空学園の校長として御神楽　環菜（みかぐら・かんな）は、体育館に集まったオリエンテーリング参加者を歓迎の言葉で迎えた。
　不安と期待を胸にパラミタへ着た若者たちの視線が彼女に集まり、環菜は今日迎えたこの日に喜びを感じていた。
　そうして粛々とした雰囲気で今回の説明を始めた矢先に、その事件は起きた。
「新入生諸君！ようーこそ、パラミタへ。この血塗られた大陸に足を踏み入れた己が愚かさを後悔するがいいわ。お前らが味わうのは恐怖のオリエンテーリングよ」
　突如、会場へと乗り込んできたのは鏖殺寺院の下級ダークプリースト　クラマ（かきゅうだーくぷりーすと・くらま）だ。
　オリエンテーリングの情報を掴んでいた鏖殺寺院では、シャンバラに新戦力が増えることを妨害するため罠を張っていたのだった。
　蒼空学園の新入生である成瀬　一（なるせ・はじめ）や司　会（つかさ・かい）たちの活躍で会場はなんとか守ったものの、準備のために現地入りしていたメンバーたちは数千という敵の大部隊に包囲されたままで孤立していた。
　事態は緊急を要したが、敵の戦力に対抗する部隊を編成している時間は残されてはいなかった。

「このオリエンテーリング会場にいるもの全員に告げます。直ちに準備にかかり、現地で敵の包囲された仲間を救い出しなさい」
　環菜は壇上から生徒たちへと呼び掛けた。
　仲間を助けるために会場の新入生たちと案内役だった生徒をそのまま使って作戦行動に移すという、環菜の起死回生の奇策だった。
「でも、僕たちみたいな新入生が行っても足手まといになるだけじゃ……」　
　実戦経験の乏しい成瀬が不安を口にしたが、環菜は彼に言い聞かせた。
「聞きなさい。いい、成瀬一。あなたたち新入生に多くを期待しないわ。ただ、このパラミタに選ばれたあなたたちを、いま待っている仲間がいるのよ。後悔したくないなら、剣を取って」
「……僕はもう卑怯者でいたくない。環菜理事長！　成瀬一、これより救援部隊に参加します！」
　成瀬は震える身体を勇気で奮い起こし、救出部隊への参加を決めた。
「いい、一人の仲間も失わずに帰還すること。キャンプのメンバーも、救出に向かうあなたたちの誰一人が欠けても許しません！」
　環菜から出されたのは単なる命令はではなく、切実なる願いとも言えるものだ。
　さらなる事態に対応すべく第二次救出部隊の編成も進められ、環菜のパートナールミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）を指揮官とする後発部隊として他の学園の戦力も加えた陣容を整えていく手筈も整えられていった。



　一方、現地では既に敵の襲撃による事件が起きていた。
　暗黒洞窟の入口がゴブリンたちによって爆破され、中にいた洞窟班とキャンプは連絡を取れないまま分断されてしまっていた。
　キャンプにいた山葉　涼司（やまは・りょうじ）や花音・アームルート（かのん・あーむるーと）は救出に向かうが、崩落の規模が大き過ぎて手の出しようがなかった。
「なんだ、この荒らされようは……」
　仕方なくキャンプに一度戻った涼司たちの目の前には、留守の間にゴブリン部隊によって荒らされたキャンプの光景が広がっていた。
　キャンプの食料に夢中になるあまり、撤収し損ねたゴブリン兵の食いしん坊　ゴブ太（くいしんぼう・ごぶた）から敵の大部隊の情報を知らせれたメンバーは愕然とした。
「守ることも逃げることも無理なら、攻めるしかありません。まさか敵だってこの少人数で攻めるとは考えていないはず」
　花音の提案で、涼司は小谷　愛美（こたに・まなみ）、マリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）たちと共に囮になり、仲間がベースキャンプに戻る時間を稼ぐ捨て身の行動へと出た。
　ゴブ太の機転にも助けられ作戦は成功したが、今度はそのゴブ太が裏切り者としてお調子者　ゴブリン隊長（おちょうしもの・ごぶりんたいちょう）に捕まってしまうのだった……

　キャンプに迫る数千というゴブリンの大部隊を前にして、事態はもはや一刻の猶予のない状況へ現地の仲間たちはさらされています。
　圧倒的な劣勢をはねのけるには、仲間との協力プレイで生き残り、頭を使って敵を欺きつつ脱出をしてください。
　最終的な脱出には、洞窟の別の入口から入って仲間と合流してバデス台地から抜け出す必要があります。
　戦闘を楽しむだけのシナリオでなく、野戦病院としてのエイドステーションや洞窟から脱出するためのダークドラゴン探し、ゴブ太の救出劇も合わせて楽しんでください。

　ボランティアで参加している他校の生徒も大勢います。現地スタッフ、もしくは救出部隊に有志となって参加できます。みなさん、窮地に陥っている仲間と一緒に逃げきってください。

　蒼空学園主催のオリエンテーリングで起こったイベントですが、敵の大部隊に対応するため有志の他校生徒も参加可能です。

　今回のシナリオは包囲網からの脱出劇がメインですので、戦闘シーンだけでなく、暗黒洞窟に取り残された部隊の救出や負傷者の治療があったりと非戦闘系キャラの出番も多くあります。
　撤退戦ですので戦闘シーンは圧倒的不利の状況で展開されますので、単に戦うのではなく、仲間たちと協力プレイで助けあい、「逃げる」ためのアクションをいろいろと考えていただければと思います。
　エイドステーションもありますのであえて負傷者になって看病されたり、戦闘中に騒いだりして迷惑をかけるだけなんていうのもありです。
　
　また今回から参加される方のために、先だって行われた朗読劇「新たなる絆」や前回のシナリオ「【2020春のオリエンテーリング】準備キャンプinバデス台地」の内容に関してもリアクション内で触れていきます。
　ですので上記に参加していなくても、包囲された現地メンバー、救出部隊として新たに参加しても楽しめる内容になるのでご安心ください。
　

・包囲された仲間を救い出す。

・現地キャンプでの負傷者の治療や看護、食糧の配給

・暗黒洞窟の主であるダークドラゴンに会って、助力を頼む

・囚われになったゴブリンのゴブ太を救い出す。

・攻めよせる大部隊からキャンプを守る