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シナリオガイド

リストレーション再び! 救うべきは悲しき歌姫? それとも――
シナリオ名:ようこそ! リンド・ユング・フートへ 2 / 担当マスター: 寺岡 志乃

    ここはリンド・ユング・フート。
    人の無意識の底にある、知識の源。
    そこを流れる1つの川、1つの夢、それは1つの意識――――――



「ここ、どこだろ?」

 リーレン・リーン(りーれん・りーん)は辺りをぐるっと見渡しました。
 360度、様々な所に本がぎっしり詰まった本棚がふよふよ浮いています。
 浮いているだけではありません。
 飛・ん・で います。
 しかも背景は、どピンクを基調とした七色の壁に、キラキラ光る星のような点々…。
 上も下もなく、前も後ろもない空間。

「あー、そっかぁ。夢かぁ」

 リーレンはあっさり結論づけて、ぽんと手を打ちました。

「どうせ夢なら、おいしーパフェのある喫茶店の方がいいのになー。パフェ食べ放題の夢ならよかったのに」

 でも、なーんか見たことある景色な気がするのよね、ここ。

 とかぶつぶつつぶやきながらどこともなしに歩いていると。
 すぐ先に、ズボンのポケットに手を突っ込んで、周囲を見渡している松原 タケシ(まつばら・たけし)がいました。

「タケシっ、なんであなた、あたしの夢ん中にいるのよ」
「よぉリーレン。なんだ、これおまえの夢か。俺のにしちゃ、すげー少女趣味だと思った」
「あー、あたしもちょっとそう思ったー」

 2人は、わははー、と能天気に笑っています。
 それでいいのか? とツッコミを入れる者がいないので、2人はどこまでもお気楽です。

「……前回と全く同じじゃない…」

 喫茶店の夢だったらよかった、いやいやゲームショップの夢が、などなど。
 変な会話をしている2人を足下に見て、げんなりとつぶやく少女がいました。

「――はっ。あなただれっ?」

 ようやくリーレンが気づき、振り仰いでくれたことにあからさまにホッとして、少女は気を取り直すと、手に持っていたタクトを振って気取ったポーズをとりました。

「あたしはスウィップ・スウェップ。ここ、集団無意識世界の図書館リンド・ユング・フートの筆頭司書よ。
 って、前回も同じこと言ったんだけど、覚えてないの? あなたたちっ」

「リンド・ユング・フート? って……あーーーっ!!

 大声を発し、指差してくるリーレンに、スウィップはあわてて耳をふさぎました。
 大きい音は声でも苦手で、胸がドキドキしてきます。

「思い出したぁ! スウィップちゃん!!」
「あー、そういや本をリストラしたんだっけ」
「そうそう。あたし、それで額から血をプーって吹いてさぁ」

「……あのー、話、進めてもいいですか…」

「あっ、ごめーん」
「わりぃわりぃ」

 こういうところも全然変わってない。
 ぺこぺこ頭を下げて謝る2人に、スウィップ・スウェップはこほんと空咳をして、説明を続けました。

「前回の結果がどうだったか、あなたたちも覚えてるわよね。なにしろあれがあなたたちの記憶になっちゃったんだから」

 そしてあのあと、スウィップ・スウェップはおそるおそる検閲官にリストレーションが終わった本を差し出して、怒り――というより嫌味――が返ってくるのを覚悟していたのです。
 ところがっ!

「ところがよ!? あのいつだって冷静沈着、氷の検閲官が、吹き出し笑ったのよ!「プッ…」って!!!
 信じらんないっ! あんなの初めて見たわ! 無表情以外の表情があの人にできるだなんて! 自分の目を疑っちゃったっ」

「へー」

 その氷の検閲官を知らないリーレンは適当にあいづちを返したのですが、スウィップ・スウェップは口にすることでまたそのときのことを反すうしているらしく、しばらく感じ入っていました。
 よっぽどその氷の検閲官とやらに、普段思うところがあるのでしょう。

「あのー……スウィップ?」

「だからあなたたちリストレイターをもう一度呼ぶことにしたの! また検閲官を吹き出――じゃない、本をリストレーションしてもらおうと思って」

検閲官を大笑いさせればいいの?

「ちっがーーーーーーうってば!!」

 それはあたしの願望だけど、お仕事は真面目なリストレーションなのっ。

「今度の本はこれよ」

 スウィップ・スウェップが伸ばした手の先に、ポゥ……と丸いふわふわした光が現れて、本の形になりました。

「『オペラ座の怪人』? これ、俺知らないなぁ」

 自分に向かってふよふよ漂ってきた本のタイトルを読んだタケシがそう言いつつ表紙を開きます。
 中ではパリのオペラ座で、無名のコーラスガールが自分の楽屋で歌のレッスンをしているシーンがありました。

「げー、オペラ? 俺、こーいうの苦手だ」
「あたしもテレビでやってたの見たことあるけど、何言ってるか全然分かんなかったなー」

「あなたたちにはあんまり期待してないわ。
 でも、あなたたちの知り合いの人たちなら、オペラが苦手じゃなくて、ちゃーんと真面目にリストレーションしてくれるわよね! この前みたいに」

 スウィップ・スウェップは意気込み、スミレ色の瞳をキラキラさせてタクトを振りました。
 さまざまな色をした光のシャワーが流れ星のように降ってきて、その中をクルクルとスウィップ・スウェップが回転しながら上昇していきます。

 くるんぱっ! そんな感じでポーズを決めて

ほかの人たちと一緒に、この『オペラ座の怪人』の知識を修復して! お願い!」

 スウィップ・スウェップはお願いしました。――口で言ってることと心で期待してることは、ちょっと違ってるようでしたが。

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。
 前回に引き続き、お騒がせドリームイベシナです。なぜジャンルが恋愛かというと、三角関係の話だからです。(え? 違う?)

 現在、集団無意識界の図書館リンド・ユング・フートでは、皆さんの無意識における知識を食い荒らす謎の存在が暴れています。そのため、いくつかの書物(知識)が食い荒らされてしまいました。
 その修復をお手伝いしていただくのがスウィップ・スウェップからのお願いです。

 今回修復していただく『オペラ座の怪人』ですが、本の中は現在クリスティーヌが楽屋で1人ひっそりと歌の練習をしています。そこからラストまでがありません。
 リストレイターたちはこの話を知っているはずなのですが、そこから先を覚えていません。全くド忘れ状態です。
 もちろん中には最初から全く知らない人もいるかもしれません。
 ですので、本当に『オペラ座の怪人』の話を知らなくても、想像をふくらませてご参加いただいて全然OKです!


 一応『オペラ座の怪人』の主たる場面は以下のようになります。
 【1】オペラ座の楽屋でクリスティーヌが歌の練習をするシーン。
    ここまではあります。しかしファントムとの出会いのシーン等はありません。
 【2】カルロッタが事故にあい、クリスティーヌが代役となるシーン。
 【3】クリスティーヌとラウルが運命の再会をするシーン。
 【4】クリスティーヌが鏡をくぐり抜け、ファントムによる教育を受けるシーン。
 【5】クリスティーヌがファントムの素顔を知ってしまうシーン。
 【6】ファントムの数々の要求がオペラ座支配人に送りつけられ、それを無視してカルロッタを起用するシーン。
 【7】カルロッタの醜態、シャンデリア落下のシーン。
 【8】ラウルとクリスティーヌの仮面舞踏会でのやりとり、婚約シーン。
 【9】嫉妬したファントムによりクリスティーヌが誘拐されるシーン。
 【10】ファントム対ラウル、ファントム対クリスティーヌ、ラストシーン。

●主要登場人物
怪人……オペラ座の怪人(ファントム・ジ・オペラ)本人。オペラ座の亡霊と呼ばれている、オペラ座の地下に住む天才作曲家&演奏家。
      音楽の天使。クリスティーヌを見出し、教育し、オペラ座のプリマドンナにすることに心血を注ぐ。
クリスティーヌ・ダーエ……オペラ座のその他大勢コーラスガール。才能はあるがまだ原石状態でだれからも注目されていない。
ラウル・シャニィ子爵……シャニィ伯爵家の次男坊。クリスティーヌの幼なじみ。オペラ座で再会する。
カルロッタ・ジュディチェルリ……現オペラ座の筆頭プリマドンナ。
マダム・ジリー……オペラ座のバレエ教師。ファントムの伝令係。
リシャール・フィルマン/ジル・アンドレ……オペラ座の支配人たち。


 この通りの進行でも、はたまたオリジナリティあふれる創作でも、それは皆さんのお好みで構いません。
 このシーンにない場面でもOK!
 どのシーンで何をするか、アクションに盛り込んでください。

 修復の方法としまして、タケシとリーレンに呼ばれてリンド・ユング・フートにやってきた皆さんは、スウィップ・スウェップの用意した扉をくぐり、本の中に入ります。そしていくつかの場面で、登場人物たちを説得したり誘導したりして、お話を作っていただきます。

「きっとここはこうに違いない!」
「この方がいいよね!」
「俺がファントムになる!」

 そんなふうに場面場面を作り上げていってください。
 登場人物になりかわって動くこともアリ! 一度作中で目にしたものなら女性でも男性でも、はたまた犬・鳥にだってなれます!

 服装はスウィップが整えてくれます。そのため武装欄は参照しませんが、アクションによって戦闘となる場合、武器・スキルは呼び出すことができます。
 ここは夢の世界で、皆さんはクリエイター権限を持ちますので、この世界では自由創作が可能なのです。
 でも、あまりに話の本位とかけ離れた荒唐無稽なもの・想像でしか知らないものを呼び出すことはできません。創造は「知っている」ことが条件となります。知らないものはかなりお粗末な出来となります。

 また、スウィップは皆さんのクリエイター権限よりも上のライブラリアン権限を持っていますので、逸脱行為が目にあまると強制排除をかけてきます。くれぐれもご注意くださいね。


 最後に。
 このことにより、現実世界での本作品自体の改編はできません。あくまでこれは人々の無意識下の認識(知識)の創作です。


 皆さんのアクションで作られる『オペラ座の怪人』を、楽しみにお待ちしております。

▼サンプルアクション

・登場人物になる

・登場人物を説得する

・世界を堪能する

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年02月14日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月15日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年02月19日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年03月04日


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