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夢の中の悲劇のヒロイン~ミーミル~

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シナリオガイド

ミーミルの優しさが自身の幸せを奪ってゆき、最後に待つのは……
シナリオ名:夢の中の悲劇のヒロイン~ミーミル~ / 担当マスター: 有沢楓花




【ご注意】
誠に勝手ながら、こちらのシナリオではLCの参加を一人までに制限させていただきます。


 ――蒼空学園の図書室。

「人魚姫って最後には泡になってしまうんですね……可哀想です」

 『人魚姫』の絵本を閉じたミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)は、瞳に涙を浮かべていました。

「王子様を助けたのは自分なのに、人間になるために声をあげちゃうから、想いが伝えられないんだよね」
「マナミンだったら人魚の姿で王子様にアタックするけどなぁ」
「マナならしそうだよね!」
『運命の人』には、本当の自分を好きになってもらわなきゃ意味無いもの」

 高原 瀬蓮(たかはら・せれん)がミーミルを慰めると、小谷 愛美(こたに・まなみ)が持論を展開します。その微笑ましい様子にミーミルにも笑顔が戻りました。
 今日も今日とて御神楽 環菜(みかぐら・かんな)にちょっかいを出しにきたエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)ですが、今日はミーミルも一緒です。
 たまたま校長室の前を通り掛かった愛美が、環菜とエリザベートの遣り取りが終わるまでミーミルのお世話をすることになり、彼女の元に遊びに来た親友の瀬蓮と図書館へ繰り出し、ミーミルに童話を読んでいます。
 愛美達のテーブルには、地球製の絵本や童話が置かれています。

「さっき読んだ『幸福な王子』もハッピーエンドとは言い難いわよね」
「でも、自分の身体を飾る宝石や金箔で困った人たちを助けるのですから、私は偉いと思います」
「うん、偉いとは思うけど……『運命の人』との出会いはないのよね」
「マナったらそればかりじゃない。だったら、『眠れる森の美女』はどうかな? 王子様と運命的な出会いをするよ?」
「最後は王子様と結ばれますし、素敵な終わり方ですよね」
「運命的な出会いかも知れないけど、知らないうちにファーストキスを奪われるのはちょっと、ね……」
「マナ、注文多すぎだよ!」
「私はやっぱり人魚姫かな。でも、泡にならないで人魚のまま王子様にアタックするの!」

 愛美は自分を先程までミーミルに読み聞かせていた各童話のヒロインに投影させていました。
 瀬蓮が突っ込みを入れると、その遣り取りがおかしいのか、ミーミルは顔を綻ばせます。

「でしたら、実際に童話のヒロインになってみてはどうですかー?」

 そこに現れたのは、星槍の巫女エメネアです。その脇には古びたハードカバーの本を抱えています。
 エメネアは十二星華の一人、天秤座(リーブラ)のティセラに攫われ、洗脳されていましたが、生徒達の活躍で正気を取り戻し、蒼空学園で養生しています。

「童話のヒロインになってみるってどういうことなの?」
「この間、図書館の遺跡で見付けたのですが、この本はどうやら好きな夢を見られる女王器らしいのですよー。しかも、その夢は具現化して現実になるらしいのですー」
「ということは、マナミン、人魚姫になれるの!?」
「なれるようですよー」

 エメネアの持つハードカバーの本に3人の視線が集まります。
 愛美は人魚姫、瀬蓮は眠れる森の美女、ミーミルは幸福な王子の夢を見ることにしました。
 それぞれ、ハッピーエンドになることを夢見ながら……。



 ――翌日。

「これはどういうことですかー!?」

 イルミンスールの入口からエリザベートの叫び声が聞こえました。
 入口前の広場には、昨日までにはなかったお姫様の像が高く聳え立っていたのです。
 しかし、全身を覆っていたと思われる金箔は粗方剥がれ落ち、何かが嵌っていた両眼や王冠は空洞になり、みすぼらしい姿をしていました。

「なんでミーミルがこのような姿になっているのですかー!?」

 エリザベートが騒いでいるのは、このお姫様の像がミーミルを象ったものだからです。

「これ、騒ぐでない。娘が心配なのは分かるが、落ち着いて調べられぬではないか! 母親たるもの、こういう時こそどっしりと構えるものじゃぞ」

 空飛ぶ箒に乗ってお姫様の像に近づいていたアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)が、上空からエリザベートを嗜めます。
 エリザベートは不承不承黙ると、アーデルハイトの様子を心配そうに見つめています。

「ふぅむ……」
「大ババ様、何か分かりましたかぁ〜?」
「……寝ておる」
「はぁ!?」
「ミーミルは寝ておる、と言ったのじゃ」
「寝ている〜!? こんなになって寝ているというのですかぁ〜!?」

 アーデルハイトの思い掛けない言葉に、エリザベートは素っ頓狂な声を上げます。

「強力な呪いによって悪夢を見せられているようじゃな……見たところ、童話の幸福な王子ならぬ幸福な王女の王女役のようじゃ。呪いにより、ミーミルの見ている夢がこうして具現化しておるのじゃろう」
「大ババ様、ミーミルに掛けられた呪いを解くことはできないのですかぁ〜? このままだと可哀想ですぅ〜」
「解けぬことはないが、下手に解こうとするとミーミルはずっと幸福な王女役のまま目覚めぬ可能性もある。眠っているということは、同じ夢を繰り返し見続けておると考えられる。今夜夢の内容に直接介入して目覚めさせるしかないのじゃ」
「この子は優しいですから、自分がボロボロになっても人を救おうとしてしまうのですねぇ。それは物語としては良いかもしれませんがぁ〜、私はこの子を救いたいですぅ」

 空飛ぶ箒でミーミルに近づいたエリザベートは、冷たい彼女の頬を愛おしげに撫でました。
 その後、校長室にミーミルを救う依頼が貼り出されました。


 その夜、八時頃。校長室の中に、依頼を受けた生徒達が集まります。
 エリザベートは生徒達の前でこう言いました。
「よく集まってくれましたぁ。救う方法ですがぁ、大ババ様によるとぉ、ミーミルの夢の中に入ってぇ、物語をハッピーエンドにぃ、しなければならないそうですぅ」
 夢を具現化する女王器ということなら、ミーミルが夢から目覚めることを望めば、その影響から逃れられそうだということです。もっともミーミルは、これが夢だということすら分かっていないかも知れないですが。
「このまま眠っていればぁ、いつか物語は終わりになるかもしれませんがぁ、その時にはミーミルが……」
 現実の像と化したミーミルは、もう大分ぼろぼろです。もし女王器が物語を忠実に再現するのならば、最後には悲劇が待っているでしょう。エリザベートは不安を隠せない表情です。
 彼女に代わりアーデルハイトが説明を続けます。
「夢の中に入れるよう、薬を作っておいた。じゃが夢は夢でもこれは悪夢。物語の“登場人物”になれば、ミーミルが目覚めるまで、おまえ達も目覚められん。ほっておけば衰弱する。まぁ万が一の時は、私が無理矢理おまえ達を目覚めさせるつもりじゃが……ツバメを失った王子の最期を考えると、最終手段じゃ」
 試験管の中に入った怪しげな液体をアーデルハイトは生徒達に渡しました。
「大ババ様ぁ、私も行くですぅ〜!」
「ダメじゃ、おまえに何かあってはイルミンスールの樹が心配じゃ。さて──飲むも飲まぬも任せよう。それともここで待っているかのう?」


担当マスターより

▼担当マスター

有沢楓花

▼マスターコメント

 お久しぶりです、もしくは初めまして、有沢です。

 こちらのお話では、童話の悲劇のヒロイン「幸福な王子」のお姫様版のミーミルを助けるのが目的です。
 舞台は夢の中のザンスカール、物語冒頭から始まります。そして夢は物語をほぼ忠実に再現するのですが……。

 皆さんはツバメ役になり、困っている人を設定してミーミルの身体を覆う金箔やサファイア、ルビーなどを分け与えていってください。
 しかし、金箔や宝石を全て分け与えてしまえば、童話の結末と同じになってしまいます。それではミーミルは目覚めません。
 どのようにハッピーエンドに持っていけばいいか、皆さんで考えてみてください。

 また勝手ながら、現在マスターの処理能力上の問題で、参加されるLCは一人までに制限させていただきます。
 誠に申し訳ございませんが、ご了承の程宜しくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・ツバメ役になり宝石を運ぶ

・ミーミルを説得する

・ツバメを保護する

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2010年02月25日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2010年02月26日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2010年03月02日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2010年03月15日


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