空京大学

「先生は、なぜ、オナンが神の怒りにふれたのか、ご存知ですか？」

彼には、この問いかけに、返事をする余裕はありませんでした。
彼、アルフレッド・フライシャー教授は、つい数分前に人を殺してしまったのです。

「おそらくは生涯初の殺人、相手は同性愛の恋人か。自らの罪と未来に恐れおののく、その姿は･･･おや、思いのほか凛としていらっしゃる」

講義準備室にいるのは、教授と彼があやめてしまった恋人、学生のリチャード。そして、故意か偶然か、たまたま今日、この時に部屋を訪れた犯罪研究家を名乗る年齢不詳のゴシックロリータ調の黒いドレスの女？　の生者二人と死体が一つです。

「ゲームをしませんか？
　私が長年の犯罪研究の成果を生かして、この死体も、犯罪の痕跡も、すべてを消してご覧にいれましょう。
　ただし、先生には私がここでその作業をしている90分間、ドア一枚むこうの教室で普通に模擬講義をしていただく。
　もちろん、講義終了までなんびともこの部屋に入れてはなりませんし、生徒たちにあなたの罪を気づかれてもいけません。
　先生の講義開始でゲームスタートです」

教授は、この状況をおもしろがっている様子の女の申し出に驚き、戸惑いながらも、彼女の赤い瞳から目をそらせませんでした。


空京大学オープンキャンパス2020

【模擬講義】　

「百物語の実演と考察 　　語りの座が生み出すもの・口承文学の効用」
アルフレッド・フライシャー　教授（文学部　人文社会学科　東洋民俗学専攻）

定員　契約者50名（と、そのパートナー）
後期からの新講義の予行をかねている為、在校生の受講も可
（東洋民俗学専攻の生徒の受講、特に推奨！）

申し込み開始日　2020年6月13日（土）

開催日　6月下旬　＊受講者に後日連絡

参加資格　空京大学並びに当講座に興味のある者
各自、講義受講前に、体験、伝聞、創作を問わず怪異譚（怪談、奇談、噂、都市伝説等）を一人一つ以上、レポートとして提出すること

フライシャー教授より：夏季の日本伝統文化、古式霊術百物語を行いたいと思います。
当大学の最新技術を使用して、各人に提出していただいた怪異譚を、実際にみなさんに体験してもらう趣向です。
もし、実際に百の怪異が再現された時、なにが起こるのか、私も楽しみです。
勇気と知的好奇心のあるみなさんの受講をお待ちしています。


「みんなで百物語をする授業なんて、やっぱり大学はおもしろいわね。怪談を体験するって、みんなのお話をもとにしたお化け屋敷でも用意してくれてるのかな。くるとくんもちゃんと怪談を一つ提出した？」
「ヴァーナー・ヴォネガット（う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと）ちゃんに、ブリジット・パウエル（ぶりじっと・ぱうえる）さんとマジカルホームズ霧島　春美（きりしま・はるみ）さん。赤羽　美央（あかばね・みお）ちゃんに、黒崎　天音（くろさき・あまね）ちゃん。他にも、いままで一緒に捜査したみんな。それに…」
「あのー、それは、みんな幽霊じゃなくて、生きてる人よ」
「さっき、あまねちゃんが、トイレに行ってる間に、ロビーで窓の外を眺めてたら、みんなみたいな人が歩いてた気がする」
「そっか、みんなもきてるのかな。会えるといいな。でも、いつものメンツが集まると、事件が起きそうな気もするけど、気のせいよね」

空京大学オープンキャンパスを訪れた、少年探偵弓月くるとと、彼の伝記作者兼介助者の女子高生古森あまねは、フライシャー教授の模擬講義が行われる教室へと急ぎました。

その教室のドア一枚むこうの講義準備室に、死者がいるとは知らずに。

こんにちは。かわい家です。

本シナリオは、【2020授業風景】国語。
そして、少年探偵シリーズ第三作めになります。
少年探偵シリーズは、各作独立した連作シリーズですので、本作からの参加でもなんら問題はありません。

本シナリオのジャンルは、怪談風のミステリです。
今回のシナリオは、マスター共同企画参加シナリオということで、内容は授業（講義）とミステリの二本立てになります。
怪異と推理、の二種類のミステリの雰囲気を楽しむが目的のシナリオです。

ＰＣは、空京大学のオープンキャンパスで模擬講義に参加したという設定です。
オープンキャンパス（大学の内容紹介日）ですので、空京大生はもちろん、空京大に興味のある方でしたら、学校、年齢、性別関係なく、どなたでも講義に参加できます。
ただし、講義の出席にあたって、用意していただくレポート！　が必要です。

ＰＣたちが出席する模擬講義は、文学部のフライシャー教授の百物語考察です。
地球やパラミタでＰＣたちが体験（つまりＰＬが創作）した怖い話、不思議な話、どこか奇妙な話をアクション欄に書いて提出していただきたいのです。
ＭＣ、ＬＣ、各一人につき一つの怪異譚です。

さて、怪談を用意するといっても、難しいという方もいらっしゃると思いますので、以下のかわい家製「怪談作成チャート」を利用していただければと思います。

サクっと創ってみんなで楽しむ！　怪談作成チャート　簡易版

一・　いつの話？　１・最近　２・以前　

二・　どこで？　１・自分の家　２・学校、職場　３・外出先　４・心霊スポット　５・夢の中

三・　体験したのは？　１・自分　２・自分以外（友達。知り合い。家族。面識のない誰か）　

四・　なにを？　１・幽霊　２・妖怪　３・悪魔　４・ＵＦＯ　５・得体の知れないなにか

五・　どうした？　１・見た　２・被害にあった（呪われた。襲われた。いたずらされた）　３・捕まえた

六・　四がでてくる理由は？　１・家族だから　２・過去の因縁　３・秘密の事情　４・わからない

作成例：まず、お手数ですが、他のＰＬとの交流をかねて、シナリオ参加者用のあいさつ掲示板に、参加するＰＣであいさつの書き込みをしてください。

その時に表示された二つのサイコロの目の合計数に、６をたした数が、そのＰＣの選択ポイントになります。

例えば、掲示板のサイコロが２と６で合計８だった場合、それに６を足して、１４。

この１４ポイントを余りがでないように、一〜六の六つの選択肢に自由に振り分けます。では、やってみますね。
「最近（一の１）、夢の中で（二の５）、かわい家（自分）は（三の１）、得体の知れないなにか（四の５）を見ました（五の１）。あれは、おそらく死んだ家族でした（六の１）」

１＋５＋１＋５＋１＋１＝１４です。

これを土台にして、ＰＣに合わせて話に色付けをします。

上の話に色付けすると、「昨日、夢の中で、私は得体の知れないなにかを見たの。あれは、亡くなったおじいちゃんのような気がする。そう言えば昨日は、おじいちゃんのお誕生日だったわ。忘れててごめんね」となります。

チャートを使って、あなたのＰＣらしい怪談話を創作してもらえればと思います。

他の参加ＰＬと相談して、ＰＣの仲間同士で共通体験した怪談を創るのも当然ありです。（仲間と一緒にした不思議体験。同じ学校のＰＣで一緒に学校の七不思議を語る。等）
多人数で、一つの怪談を創る場合は、参加ＰＣの人数分の怪異をいれてください。

＊一〜六の選択肢、六つすべてを使って、怪談を作成してください。
＊提出される怪談は、怖くなくてもかまいません。
＊怪談を披露、体験しあって、学生らしいワイワイとした時間をすごしたいと思います。
＊講義では、提出されたレポートを再現（検証）する予定ですので、自分の提出したレポート（怪談）が他のＰＬのＰＣによって体験されることになります。
＊怪異を体験をした場合、ご自分のＰＣがどんな反応するのか書いていただければ、リアクションに反映させられると思います。


続いて、ミステリパートです。

ＰＣたちが教室で講義を受けている間、隣の講義準備室では、刻一刻と死体が処理されていきます。
このまま、誰も気づかなければ教授の犯罪は、ひとまずは、闇に葬られるでしょう。

空京大生以外のＰＣは、フライシャー教授とは初対面ですが、それでも今日の教授の様子は、やはりどこか奇妙なようです。

・腕時計のガラスにヒビがはいっている。

・スーツ、革靴に赤黒いシミがわずかについている。

・髪が乱れている。

・顔色が悪い。

・独り言が多い。

・全体的にどこか落ち着きがない。等々。

みなさんは、上記の点などを糸口に教授の犯罪を暴きだしてください。上に記したもの以外にも、捜査の糸口の創作はＯＫです。

講義開始の時点では、ＰＣたちは誰も教授の犯罪に気づいていません。

講義が進むにつれ、だんだんと事件を暴いていく形になります。

やはり一人での捜査には限界があります。他のＰＣと連携して、物証を集めたり、何度も心理的な揺さぶりをかけたりし、教授を追いつめていくのが、効率的だと思います。
ミステリらしい心理的な駆け引きを積み上げ、教授を自滅、自白させるために、二段、三段構えの作戦で挑んでください。

もちろん、教授に協力し、犯罪を隠蔽しようとするのもＯＫです。

なお、少年探偵シリーズ参加者のみなさんにはお馴染みのゴスロリ服の女が、わざと物音を立てたり、サプライズを起こしたりして、彼女自身が事態を楽しむために、ちょっかいをだしてくることもありえますので、それを捜査や妨害に利用するというテもありだと思います。
しかし、彼女？　は、くるとと同じくらいアテになりませんので、あまり期待しない方がいいでしょう。

注意：今回は講義に参加していただくので、教室内への武器、防具、道具類の持込みは禁止です。
　　　　携帯の電源もオフです。
　　　　講義中は教室から出ることはできません。
　　　　ＰＣたちに犯罪を暴かれるまでは、教授は大学教職員の権限を行使して、自分に不都合な言動をする者を教室から排除しようとします。
　　　　強引に講義準備室に突入する、教授にスキル、特技等をもちいて操る、はＮＧです。それらの手段を使った場合、シナリオはバッドエンドになります。

招待枠の方には、これまでの少年探偵シリーズでの経験、実績を生かして、教授の犯行を暴くアクションに期待しています！

参加者のみなさんのアクションしだいで、百物語が完成するかも、犯罪が暴かれるかも、闇に葬られるかも、しれません。

それでは、教室にて、くるとあまねと、死者と共に、みなさんのお越しをお待ちしております。

・教授の独り言に注目する。

・百物語を完成させて、教室で怪異を起こす！？

・教授のたくらみを成功させる。