空京大学

　あるとき、空京にあるテレビ局の女子アナウンサー、卜部　泪（うらべ・るい）の下に一通のＦＡＸが届きました。
「こ、これは……大変です！」
　それを見るなり、泪は局を飛び出し、持ち前のフットワークで各校へ依頼を張り出しました。

　送り主は泪の後輩にあたるジャーナリスト、トレイシー・イエローという人物です。
　彼女は現在、空京新聞を発行する空京新聞社でデスクとして務めています。
　ＦＡＸの内容は、以下のようなものです。

『前略、救援求む！
　現在、空京新聞社は鏖殺寺院のメンバーを名乗る者により、占拠されています。
　我が社の社員は監禁され、また印刷所も彼らによって押さえられ、一切の報道活動ができない状態です。
　この事態を解決できるのは、契約者だけです。どうか、助けてください！』

　空京新聞は特に若い世代に人気のある新聞で、パラミタの開発や、契約者たちに好意的な記事を書くことでも知られています。
「そういう姿勢が、鏖殺寺院にとって目障りだったみたいです。彼らは今後、契約者を褒め称えるような報道を一切やめることを要求しています」

　そう言う泪は、なぜか取材の準備をしています。
「実は、あのＦＡＸには続きがありまして……」

『おかげで、もし解放されても取材が足りなくて記事が作れない状態です。
　だから先輩、記事を作ってください！
　契約者たちが我が社を解放する様子を取材して、それを次の空京新聞の記事として使わせてください。
　先輩ひとりでは手が足りないでしょうから、記事を作ってくれる契約者の力を募ってください』

　どうやら空京新聞は自社のピンチをネタにして記事を作るつもりのようです。
「トレイシーはいい子なんですけど、ちょっと過激というか……派手な記事を作りがちなのが玉に瑕なんです」

　さて、泪の調べによると、新聞社を占拠した鏖殺寺院は多くが銃やコンバットアーマーで武装しているようです。
　リーダーは中年の男で、テクノクラートのような言動が見られたようです。

　また、彼らは空京新聞の印刷所も占拠していますが、こちらはリーダーの目が届かないせいか士気が低く、必ずしもこういったやり方に賛同しているわけではないようです。
　うまくやれば、印刷所は説得や交渉によって解放できるかも知れません。

「どうか、トレイシーと空京新聞を助けてください！」

　こんにちは、ゲームマスターの丹野佑です。

　本シナリオの主旨は、以下の2点です。
１，思想犯によって占拠された新聞社を解放する
２，その様子を取材し、新聞記事とする

　卜部　泪の依頼により、空京新聞社、およびその印刷所を鏖殺寺院から解放することが目的です。
　依頼は各校に出されていますので、どの学校の生徒も気軽に参加できます。

　空京新聞は空京市内にある新聞社で、社風は革新派。契約者やパラミタ開発に好意的な新聞社です。
　ひとつのビル全体を社屋としていて、鏖殺寺院はその中に立てこもっています。周囲の交通などにも影響が出ています。

　印刷所は市街からは離れた場所にあります。
　こちらを占拠しているのも同じ鏖殺寺院のメンバーですが、こういった実力に訴えるようなやり方に反発を覚えている者も居るようです。

　また、機能が停止している空京新聞は、この事件をネタに記事を作ろうと考えています。
　泪やフリージャーナリストに依頼して、新聞社を解放するPCたちを取材しようとしています。
　そのため本シナリオ中、PCの周囲には常にジャーナリストが居ます。もちろん、PCがジャーナリストとなって取材しても構いません。

　リアクションの本文中で、PCたちの活躍が新聞記事風に紹介されます。
「自分のPCをこんな風に記事にして欲しい！」「取材を受けているのでいつもよりかっこよく振る舞う」といったことをアクションに含めるのも楽しいと思います。

・鏖殺寺院と戦う

・捕らえられている社員を救助する

・鏖殺寺院と交渉する

・契約者を取材する