シナリオガイド
明かされるシェヘラザードの目的。そして陰謀が動き出す!
シナリオ名:【ぷりかる】蘇る古代呪術研究所 / 担当マスター:
相景狭間
「……出てきなさいよ、そこにいるんでしょ」
暗い夜。百合園女学院に程近い橋の上で、シェヘラザード・ラクシーは闇の中に問いかけます。
そこには、あるのは暗い闇だけ……いや、その中に微かに瞳の輝きが見えます。
「流石だ。気配を全て消したつもりだったのだが」
「こっちに来て分かったけどね。お前達、井戸の中のカエルなのよ。実力者に囲まれてれば、お前達程度見破る眼力なんてすぐよ」
シェヘラザードの軽口を、闇の中の男は沈黙で返します。
「……その意見については、同意する所もある。世界がこれ程広いとは、思ってもみなかった」
シェヘラザードと男は、互いに黙ったまま睨み合います。
そのまま、少しの時間がたって。捻じ曲がった杖を持った男が、闇の中から進み出てきます。
「だが、どちらにせよやるべき事は変わらん……その命、頂くぞシェヘラザード!」
「アタシと呪術合戦しようって事ね。受けてたってやるわ!」
しばらくの後、倒れる男を前にシェヘラザードは呟きます。
「でも、おかしいわね。こんな所まで追いかけてくるなんて……わざわざアタシを殺しにくるにしたって……ん?」
シェヘラザードが見つけたのは、男の懐から見えている羊皮紙。
それをスルリと掴みだしたシェヘラザードは、ためらいもなく広げて読み始めます。
段々読み進めるうちに、シェヘラザードの顔は真剣な色を帯びていきます。
「そう、そういう事……本気なのね、ドニア……」
そう言うと、シェヘラザードは羊皮紙を握り締めて百合園女学院を見上げます。
脳裏に浮かぶのは、プリンセスカルテット……そして、学び舎の仲間達。
「今の段階で巻き込むわけにもいかないわよね。誰か信用できる奴……出来ればタフで、巻き込んでもいいやって思えるような……」
■■■
「……というわけで、お前しか浮かばなかったのよ」
「ほう」
イルミンスール魔法学校の実践魔法学教室。
珍しく教室で授業中だったアーシア・レイフェル(あーしあ・れいふぇる)は、ジト目でシェヘラザードを見つめます。
「正義の為にアタシに力を貸して欲しいのよ、アーシア。お前先生だから無駄に知識も多いし……確か、それなりに強かったわよね?」
「うんうん、力を貸して欲しいって割には一個も褒めようとしない辺りに正直さを感じるわー。殴っていいかな」
腕をブンブンと振り回しながら近づいてくるアーシアにシェヘラザードはちょっとずつ後ずさりながら、慌てて一枚の羊皮紙を差し出します。
「こ、これを見てもそう言っていられるかしら!」
「は? 何よ」
言いながらも、アーシアはシェヘラザードから受け取った羊皮紙に目を通します。
胡散臭そうに羊皮紙に目を通していたアーシアの目は、段々と真剣な色を帯びていきます。
それは、シェヘラザードが羊皮紙に目を通したときと同じか……あるいは、恐れすら垣間見える色でした。
「水晶骨格……? あの女王器がシボラにあるっていうの?」
「あるっていう噂はあったわ。でも誰も使い方が分からず、場所も封印されていると聞いてたわ」
女王器「水晶骨格」。
それは、シボラの複数の部族に伝わる女王器の一つです。
全ての水晶ドクロの原型であるとも、やがてあるべき人間の素体であるとも言われています。
しかし、誰もその実物を見た事はありません。
多数の噂がありながら、その実物は何処にもなし。
そんな類のものでありながら、「ある」と言われてきたのには……その全ての噂、伝承に一つの共通点があったからです。
水晶骨格を目覚めさせてはならない。あれは、人の罪の姿である。
その意図する所は不明です。
しかし、恐るべき何かが隠されている事は間違いありません。
「古代呪術研究所、か……確かにあの遺跡なら、何かしらのヒントがあってもおかしくはない……けど」
「こうしてる間にも、奴等はきっと遺跡に向かっているわ。ねえ、お願いアーシア。アタシに力を貸して!」
アーシアは、しばらく何かを考え込むように俯きます。
そして、少しの沈黙の後……表情を緩めて、シェヘラザードへと向き直ります。
「仕方ない、かあ……まあ、先生に任せなさい」
■■■
古代呪術研究所。
そこに繋がる階段の前で、アーシアとシェヘラザードは数人の男達に出会います。
「む」
「ほぅ」
アーシアと体格のいい男は、互いを見てそんな言葉をもらします。
「ガルデか……ネバーランドの奴が、こんなとこで何やってんのさ」
「どうもこうもねえよ。こんな所に洒落た酒場でもあるように見えるかよ?」
「ネバーランド!? あの悪の組織ね!?」
いち早く反応したシェヘラザード。
理想追求機関ネバーランド。太陽の塔事件に関わっていた組織の名前は、シェヘラザードにとっても記憶に新しいものです。
「そういうことね。お前達、シボラに……アタシ達の問題に手を出してるのね」
「ああ、お前さんがシェヘラとやらか。まぁ、平たく言えばそういうこった。どんな理想だろぉと、支援するのが俺達の活動なんでな?」
「許すと思う?」
「許される必要性はねぇよ……そんな事よりよ、俺をナンパしてるヒマがあるのかい?」
ガルデと呼ばれた男はそう言うと、地下へと向かう階段に目を向けます。
「……それもそうね。行くわよ、アーシア!」
アーシアの手を引っ張るシェヘラザード。
アーシアは引っ張られながらも、ガルデを睨みつけます。
「アンタみたいな奴が出張ってるって事は……なんか面白い玩具でも見つけたってことね? この疫病神が」
そう言うと、アーシアはシェヘラザードに引っ張られるままに階段の下へと消えていきます。
その姿を見送ると、ガルデは小さく呟きます。
「ヘッ、言ってやがれ……どうせてめぇ等は、生きてそこから出られやしねえんだからな」
ガルデ達の気配が消えてから、少したって。
階段を少し下りたところで留まっていた二人は、携帯を取り出して何処かにかけはじめます。
「ああ、もしもし? 私だけど。今回はガルデが絡んでるみたい……そうそう、あの筋肉バカ。じゃあ、手筈通りに増援お願いね」
こうして、アーシアとシェヘラザードのコンビは古代呪術研究所の内部へと向かいます。
そこで待つのは何なのか……今はまだ、分からないままに。
ただし、分からないなら分からないなりに、それなりの保険をかけて……ではありますが。
担当マスターより
▼担当マスター
相景狭間
▼マスターコメント
こんにちは、相景狭間です。
今回も、よろしくお願い致します!
■探索について
古代呪術研究所の探索になります。
地下に続く階段を下りると繋がっている地下迷宮です。
足場はしっかりしていますが、灯りの類はありません。
塔の中には侵入者を排除する古代兵器「魔操兵」が配置されています。
侵入者には手に持った各種武器で容赦なく襲い掛かってきます。
各種の部屋には古代の呪術に関する文献や研究の跡が残されていますが、意味のあるものが未だ残っているかは分かりません。
未踏破空間も未だ多くあり、その多くは固い扉で封鎖されたままとなっています。
また、ネバーランド副機関長ガルデの手により、内部に潜む襲撃者に有利な造りに改造されてしまっています。
なお、古代呪術研究所内部は侵入者防止の為の特殊な魔法「魂の刃」がかけられており、入る時には最大で二人ずつしか入れません。
また、契約者とパートナーは一組につき一人ずつしか在室する事が出来ません。
LC追加の際には、一人までが最大となります。
内部での他の方との協力は可能です。
■その他の要素について
内部には、シェヘラザードの命を狙う刺客がいる可能性が非常に高いです。
また、古代の呪術の研究成果か何かなのか、簡単な魔法を使用する異形の怪物も歩き回っているようです。
■アーシア先生について
シェヘラザードとコンビを組んで探索しています。
▼サンプルアクション
▼予約受付締切日
(予約枠が残っている為延長されています)
2012年09月16日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2012年09月17日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2012年09月21日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2012年10月03日