空京大学

　蒼空学園の生徒ジゼル・パルテノペー（じぜる・ぱるてのぺー）が死の商人オスヴァルト・ゲーリングの手に落ちてしまったあの事件からやがて一月（ひとつき）が経とうとしていた。
数々のテロリストを顧客に持つゲーリングの危険さを察知した校長達は事件を秘匿し、裏での捜索を開始。
しかしそんな彼らの尽力も虚しくゲーリングの、そしてジゼルの已然所在は掴めないまま。頑なな沈黙を強いられた契約者達は悶々とした気持ちを抱えたまま日々を過ごしていた。
そんな四月のある日。

＊

「ハァイ皆、おねーさんが居ない間も元気にしてたかにゃ？」
　軽快なハスキーボイスに振り向いたトゥリン・ユンサルは、やってきたトーヴァ・スヴェンソンの胸に顔を埋めます。関わった事件の機密性から存在ごと『なかった』事になっている『組織』のメンバーは、お目付役の生徒を伴って空京の駅に集まっていました。
「お姉様の胸に！　そんなうらやま……でもまあ今日は許してやるっスよ」キアラ・アルジェントは頬を膨らましています。
「別に会いたかった訳じゃないけど！　久しぶりで嬉しい訳じゃないけど！」
「素直じゃないなぁ。昨日まで皆に会いたいってピーピー泣いてた癖に。だから皆にココに集まって貰ったんでしょな」仁科　耀助（にしな・ようすけ）の軽口に、トゥリンは真っ赤になって俯きます。
　珍しく年相応らしいやり取りを見せる面々に苦笑しながら、雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）は呟きました。
「――ここにジゼルが居たらな」
「彼女ならもう直ぐ此処に来るよ」
　思わず口をついた言葉に返ってきたのは、雅羅の隣に居るアレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ（あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち）の平坦な声でした。こちらを見た雅羅に、アレクは首に下げていたチェーンを外し、彼女の手に乗せます。白い掌の上で、アクアマリンの欠片が弱々しくも青い光りに瞬いていました。
雅羅が何か言いかけた時、緊迫した声の放送がコンコースの中に響きました。

『緊急放送です！
　近隣に鏖殺寺院が現れたとの情報が入りました。ただちに係の誘導が御座いますので、駅をご利用の皆様、お買い物中の皆様はその場で――』

「パーティーの始まりだな。『狼の時間』だ」
「Ｖｅｒｙ　ｆｕｎｎｙ．（笑えないわよ）」
「Ｉｆ　ｔｈｉｎｇｓ　ｃｏｍｅ　ｔｏ　ｔｈｅ　ｗｏｒｓｔ，Ｓｈｏｏｔ　ｍｅ　ｗｉｔｈ　ｔｈａｔ．」ホルスターに包まれたリボルバーを指すアレクに、雅羅は動きを止めます。
「Ｗｈｅｎ　Ｉ　ｄｉｅ，　ｓｈｅ　ｗｉｌｌ　ｄｉｅ．
　彼女と俺はそういう契約をしたんだ。ジゼル・パルテノペーは兵器になって人を傷つけてまで生きたくはないってさ」
「……誰も死なせないわ」非難にも自戒にも見える雅羅の視線に、アレクは唇を歪ませます。
「分かってるよ保安官。
　誰だって『死にたいなんて思わない』、だろ？」

＊

　焔と煙と粉塵を背に、鏖殺寺院の幹部の一人がこちらへ歩いてくる。恭しく出迎えるのはトレンチコートの男だ。
「最新の機晶兵器、中々使い道がありそうだ。導入を検討しよう。
　さて、次は隠し弾と聞いていたが……期待を裏切ってくれるなよ」
「勿論。
　このオスヴァルト・ゲーリングが最悪の悪夢をプレゼンテーション致します。

　Ｄａｍｅｎ　ｕｎｄ　Ｈｅｒｒｅｎ！
　Ｗｉｒ　ｓｔｅｌｌｅｎ，Ｂｉｏｌｏｇｉｓｃｈｅ　Ｗａｆｆｅ

　ＵＬＴＩＭＡＴＩＶＥ　ＳＩＲＥＮＥ！！！

（紳士淑女の皆様！　紹介致します、生物兵器
　『アルティメットセイレーン』！）」

　高らかに叫ぶテノールに、身長よりも長い金の髪を風に揺らし闇の中から白いドレスの女が現れた。
　決して微笑む事の無い冷たい黒の瞳が、一瞬海の様な青色に輝いたのに誰も気づく事は無い。

■4/16追記
描写としては1キャラになってしまいますが、奈落人1キャラと憑依先1キャラで2キャラクターカウントされます。


　皆様こんにちは、東です。このシナリオで連続していたお話は終わります。
　今回のシナリオは駅にいた雅羅達と一緒に傭兵部隊と鏖殺寺院という名のテロリストを迎え撃ち、デストロイして生物兵器を停止させるのが目的です。
　その辺りをばーんと抑えて頂ければ初参加の方でもお気軽にご参加頂けると思います。
　と、その前に。
　今回百合園女学院の泉　美緒、そして事件に鉢合わせになった天御柱学院の遠藤　寿子がシナリオ前半に登場します。
　以下の内容をご一読なさってからの参加をお願い致します。
　またこれまでのあらすじ、アレク以下組織メンバーについては近々更新予定のマスターページをご覧下さい。

※シナリオは前半後半二つに分かれています。
こちらについてはダブルアクション適用外になるので、アクションは二つとも描写して頂けます。
また、ＬＣ追加は２キャラクターまででお願い致します。※

＊

【シナリオ前半部　※ＮＰＣのみ参加強制イベント。ＰＣはスルー出来ます。】
　駅改札内の服飾雑貨店が立ち並ぶ場所で、鏖殺寺院が乗り込んでくる前に作戦を練りました。
　結果本当に有効か分かりませんが、美緒と寿子の提案が二人の猛烈な押しにより以下の作戦が承諾されてしまいました。

・美緒の提案
「皆様もわたくしのように奇抜な鎧（ビキニアーマー）等をお召しに成ればいいのですわ。
　そうすれば敵の方々は一瞬怯んで下さるんですのよ！」
　という訳で露出度の高い服装やネタに走った服を選んで下さい。
　無理な方は丁重にお断りしましょう。

・寿子の提案
「女装というのは戦闘においてとても効率的手段よね。相手が女だとインプットされた瞬間、敵は態度を軟化させ、その能力性能を半分以下に取下ろしてしまう恐るべき作戦よ（この間某ロボットアニメで観たから間違いないわ！）」
　どんな服が着たいかくらいは選ばせて貰えるようです。
　無理な方は全力で逃げて下さい。※ＮＰＣは強制イベントです。

【シナリオ後半部　※後半部は（ＭＣは特に）必ず参加なさって下さい】
　駅ビル屋上。この夏オープン予定の『バビロンの空中庭園』を模した施設。
水の上に何層も重なる植物が植えられたテラスで成形された空中庭園にて、究極のバイオロジカルウェポン『アルティメットセイレーン』と化したジゼルを連れたゲーリング部隊と鏖殺寺院と戦います。（ただし上記の服装で）

＊

【敵】誰と戦うかアクションに記載して下さい。
『アルティメット・セイレーン』
・瞳は黒く瞳孔が赤い。背中の羽根で守護天使のように飛翔します。見た目は２０代くらいに成長したジゼル・パルテノペー。オーラ三割増、バストサイズも三割増。
・喉に埋め込まれた『アクアマリン』の上位互換『ブラッドストーン』を回収する事で機能を停止させる事が出来ます。
　耀助：そんな事してジゼルちゃんは平気なん？
　アレク：アクアマリンがあるから大丈夫だろ（雑）
・庭園の頂に居て遠距離攻撃してきますが、ゲーリングを精神的に煽る事で近距離攻撃に切り替わります。
　※この間ジゼル・パルテノペーとしての人格は裏側に封印されています。

・攻撃パターン
レウコテアー　　＞セイレーンの羽根で上空に舞い上がります。攻撃が当たりにくくなります。
モルペー　　　　＞円形の小さな音の固まりを刃のように対象に向かって飛ばす単体・全体攻撃。
テルクシエペイア＞セイレーンの傾城の美と蠱惑的な香りに正気を奪われ混乱状態になります。単体攻撃。用途的にはプロボーグの強化版でゲーリングと幹部から目を反らす目的で使われます。※状態異常解除スキルやアイテムで解除可能。
ヒメロパ　　　　＞強力な歌は失われた魂をも復活させる。傭兵や鏖殺寺院兵士をゾンビ化させます。
リゲイアー　　　＞目を見つめ歌を歌うことで対象のＨＰを０にします。食らった場合はシナリオ終わり迄行動不能になります。単体攻撃。
アグラオペーメー＞回復。対象：ゲーリング、セイレーンのみ
パルテノペー　　＞圧力を持った波動による重力系全体攻撃。死にませんが一定時間地面に這いつくばる事になり暫くは行動不能になります。※状態異常解除スキルやアイテムで解除不能。

『鏖殺寺院』
・それぞれ階層ごとに一人ずつ
　幹部・レベル１２０：三名・コマンダー
・噴水広場、第一階層
　レベル３０〜５０　：１００名
・第二階層
　レベル５０〜８０　：２０名
・第三階層
　レベル８０〜９０　：１０名

『ゲーリングの傭兵部隊』
・最上階層
　人数　：２０名
　クラス：英雄クラス
　レベル：１００前後　

『オスヴァルト・ゲーリング』
・最上階層
　アルティメットセイレーンに命令を出しています。
　セイレーンと傭兵達に強固に護られていますが、本人自体はとても戦力とは言えません。
※このキャラクターと関わりのあった組織メンバーはリュシアン・オートゥイユ（故人）で、残りの組織メンバーに話しを聞いても碌な情報は引き出せないと思って下さい。逆に碌でもない情報なら引き出せます。

＊

【ＮＰＣ関係】
雅羅　　：リボルバー式拳銃。弾数無限。
アレク　：大太刀メイン、その他。　※壁に出来ます。※「助けておにーちゃん！」で確実に助けにきます。
耀助　　：クナイ（無限増殖）メイン、忍者刀。　※助けを呼ぶと何処へでもきてサポートします。
トーヴァ：西洋刀。　※助けを呼ぶと可能な限り向かいます。
トゥリン：槍。折れません。不思議。
キアラ　：魔法。　※呼んでもきません。
美緒　　：一般客の皆さんを護る為に避難誘導へ向かいました。後半戦は参加しません。
寿子　　：一般客の皆さんを護る為に避難誘導へ向かいました。後半戦は参加しません。

・対鏖殺寺院！

・雅羅と共闘！

・キマらなかった

・対セイレーン