【原色の海】アスクレピオスの蛇(第2回/全4回) リアクション公開中! |
シナリオガイド海底の濁りは海を穢し、地上の真実をも覆い隠す。
シナリオ名:【原色の海】アスクレピオスの蛇(第2回/全4回) / 担当マスター:
有沢楓花
樹上都市での戦いから、一夜が明けました。 * 一方、ヴォルロス。 フェルナン・シャントルイユ(ふぇるなん・しゃんとるいゆ)の別邸に、村上 琴理(むらかみ・ことり)は来ていました。 「どういうこと、と言われましても」 「……だから……おかしいのよ。だから、思い出してほしいの」 琴理はトントン、と指でテーブルを叩きます。 気落ちしているにしたって、ぼんやりとしているパートナーの様子がおかしいのです。ただ、それだけではないのです。 「だって知らない人を殺害する理由なんてないでしょう? 利害関係もない。あなたは殺してなんかない……」 琴理は紙を広げました。ヴォルロス議会で発行されている新聞のひとつです。 「でも、もし、もしもジルド・ジェラルディさんが犯人だとして、何故そんなことをする必要があるの?」 新聞の隅には、死体が港から揚がったという記事が載っていました。若い女性ですが外傷が酷く人物の特定はできなかったということです。 「あの時顔は潰されてなかった、そうでしょう?」 「……うつ伏せだったので、はっきりとは分かりませんが、出血の様子からして……おそらく潰されてはないと……。ですが、もし……証拠隠滅であれば不自然ではない気も……」 実は琴理は、思うところがあって今朝その現場に行ってきました。それがフェルナンが『殺した』と思われるソフィー・メイスンであろうと確信したのは、彼女が身につけていた衣服が質素なものの、ヴァイシャリー産の布だったからです。 「ところで、ここに置いておいた筈の書類は……」 ぼんやりと、それでも仕事をしたいのか、フェルナンが問えば、琴理はサイドテーブルの上に目をやりました。確かにそこに置いてあったはずの書類……ですが、今は影も形も見当たりません。 「ここです」 ──そう、声がして、琴理は思わず首だけで振り向いてしまいます。 そこに立っていたのはレジーナ・ジェラルディ、フェルナンの婚約者でした。お手洗いにと席を外しましたが、帰ってくるのは予想より早かったようです。 彼女は別のサイドテーブルから書類を取ってフェルナンに渡しました。華奢で繊細そうで、帽子を室内でも目深に被ってはいましたが、今日は調子が良いのか問いかけには応えるし、一人で歩くこともできます。 (これがフェルナンの言う「別人のような違和感」の正体……?) 確かに、彼女自身も不思議に思っていました。昨日調子が悪いという時と、今では受ける感じが違います。むしろ百合園の合同忘年会で後姿を見かけた時と同じ印象を受けました。 琴理はいぶかりながら彼女を見ますが、フェルナンはレジーナに苦笑するだけでした。 「……ここ数日、物忘れがひどいようです。……置いた筈のものが別の場所にあることは良くありますし、買い物に出かけても、その場所に再び行けば、全く初めてのような扱いを受けたり……。 それに実は、今朝も出かけたのですが……ひどくぼんやりとして……」 琴理はびくりとしました。新聞の隅には新たな死体が港に揚がったと書かれています。死体は泳げない男性でした。男性が誰かに突き飛ばされ、水しぶきが上がり、その誰かが逃げ去るのを作業員が見ています。それはフェルナンが丁度出かけていた時間に起きた出来事でした。 その時フェルナンは、レジーナを馬車で迎えに行くところだった、というのです。もしや自分が再び殺人を犯したのではと疑っている。それが彼が元気のない理由──自身を疑っている原因なのです。 「きっとお疲れなのでしょう。私もご心配ばかりお掛けしましたから……ごゆっくりお休みになってください」 レジーナは優しく言います。彼女は今日、この別邸に宿泊する予定になっています。 琴理は逡巡した末、この家に自分も泊ることにしました。レジーナに何か奇妙なものを感じはしますが、その証拠がなければフェルナンも納得しないでしょう。何より彼は今、自分自身の記憶や感情に自信が持てないでいるのです。 ところで、ジェラルディ家の門を見上げている一人の女性がいました。彼女・白百合会の会長アナスタシア・ヤグディン(あなすたしあ・やぐでぃん)は、相変らずジェラルディ家を怪しんでいるのです。 「……こういう時は、やっぱり『変装』ですわね」 彼女は普段と違う化粧をし、すっぽりとフード付きのローブを被っていました。手には大きなカバンがあり、中には魔術の材料が収まっています。出身がエリュシオンだけあって魔法だけならそう引けを取りません。 商人(実際そう見えるかは疑問でしたが)としてジェラルディ家に売りつけに行くついでに、あれこれ探ってしまおうという訳でした。以前と同じように忍び込んだとしても、この前あっさり見つかって、使用人として潜入した契約者に助けられたのですから、もし同様なことがあれば捕まってしまうと思ったのです。 「隙を見て部屋を調べられればいいですわね。そうでなくとも、何に興味があるかくらいは分るはずですわ!」 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、有沢です。 ▼サンプルアクション ・海底洞窟で怪物たちと戦闘 ・殺人事件の謎を暴く ・苗木の行方を追う ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2013年05月04日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2013年05月05日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2013年05月09日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2013年05月23日 |
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