空京大学

　シャンバラ地方の中央に広がる荒野の直中を、ドジック・カイゼルハンドは歩き続けました。
　強烈な日射しが容赦なく彼をあぶり、吹きすさぶ熱風がくちびるを干からびさせていきます。
　テントなどの大荷物を背負った彼には、ことさらに堪えるでしょう。
「あそこが戦場か」
　陽炎の向こう側に揺らめいて見える稜線を見据えて、そう呟きました。
　彼が向かっているのは「アトラスの傷痕」。
　草木もほとんど生えていない険しい山並みで、ひとつ突き抜けた大山からは真っ黒な噴煙が棚引いています。
　そのふもとに埋もれているという廃墟を発掘するのが、彼の目的でした。
　時折、山陰から姿を現わす巨大な影はドラゴンたちです。彼らは古来より一帯を住処にしているのです。

　日も傾きかけた頃、ドジックは山のふもとから岩肌を仰ぎ見ていました。
　切り立った崖の中腹あたりから、広い範囲に渡って斜面が流れ落ちたようになっています。
　これは明らかに人の手によって造られた地形であることが分かりました。
　意図的に山裾を土砂で埋め尽くしたのでしょう。
　どれほど前にそうなったのかは分かりませんが、既に崩れた斜面は自然に還っています。
「どうやら、ここいら一帯が調査対象みたいだな」
　荷物を降ろした彼は、長い生活を送るためのテントを組み始めました。
　納得がいくまでこの地に留まり、補給を続けながら発掘に望むつもりなのです。

　ドジックは各学園に情報を流して、共に発掘を楽しむパートナーを募集しています。
　彼は３６才の男性。未来人のスペランカー（洞窟探検者）。
　身長は１７５センチで、体重は８５キロ。がっしりとした体格です。
　安全ヘルメットに黒髪の細い三つ編みお下げを潜めています。
　ヘルメットには「穴があったら掘り進めたい」という信条が未来語で手書きされていて、朱色のＨＵＤ付き安全ゴーグルを身につけています。
　そのほか、防刃軍手。肩に担ぐのは古式ゆかしいラジカセ風通信装置（ＧＰＳ代わりのレーダー発信器）。
　仕事道具の得物として「超硬度プレクトラム（馬鹿でかい爪楊枝）」を用いて、大地にビートを刻み（穿孔＝穴を掘り）ます。
　波羅蜜多実業高等学校に在籍と言い張っており、空京で立ち寄った仕入れ処では「未来の原始人」とあだ名されています。


　果たしてこの地には、何が眠っているのでしょうか？

　こんにちは、剣　祐名です。
　どうぞよろしくお願い申し上げます。

　今回は、土砂に埋もれた施設の発掘を行うのが目的となります。

　誰でも参加することができます。



■周辺の様子について

　シャンバラ中部に位置する「アトラスの傷痕」は荒野のど真ん中にあり、古くからドラゴンが生息しています。
　彼らを刺激すると襲われる危険がありますので、充分にご注意ください。

　また、荒野を縄張りとするしがない夜盗の類いや、さすらい人が訪れるかも知れません。

　ドジックはある程度の戦闘にも長けています。
　いざとなったら、戦い慣れしていない人たちをかばって応戦することができますので、ご安心ください。



■どんなものが出土するのか？

　発掘現場からは様々な物を採掘できます。

　今回はお話の進展に際して、大きなイベントを４つ（イベント符号：Ａ〜Ｄを）用意いたしました。
　どれかひとつを選んで出土する瞬間へ立ち会う事ができます。
　参加をご希望される場合には「イベント○に参加します」等とアクションへお書き添え下さい。
　その際には、立ち会うイベントにおいて行いたいアクションをご提出ください。
　※選択されたと思われる符号が記されていない場合は、こちらで推測する努力を試みます。

　下記に挙げる４つに限らず、自由な採掘や行動をとっても構いません。
　何が出土するのかは、お楽しみとなります。

　※イベント符号は、順序不同です。



　▼イベント符号“Ａ”　『　温泉が湧き出す　』

　　　●いやしの湧泉
　　　　・「アトラスの傷痕」の地底で沸かされた水が湧き出します。
　　　　・心身を癒やし、やる気が充実します。
　　　　・長く浸かると湯あたりを起こす場合があります。
　　　　　※更衣室はありません。各自で準備をお願いします。
　　　　　※原則として混浴となりますので、男女を隔てるには相応の対策が必要となります。



　▼イベント符号“Ｂ”　『　土眠中のレイジドラゴン　』

　　　●怒れるドラゴン
　　　　・赤褐色の鱗をまとった竜で、体高３メートル。
　　　　・地を走り回りながら、ファイアー・ブレスを吹き散らすのが大好き。
　　　　・寝覚めが悪いと戦闘になります。
　　　　　うまく機嫌を取らないと、現場がメチャクチャになるかも知れません。
　　　　　※アトラスの傷痕に棲んでいるドラゴンに加勢されると、とても厄介です。
　　　　・おめざ（＝起きがけに与えるお菓子）に目がありません。



　▼イベント符号“Ｃ”　『　噴き出すガスの虜　』

　　　●惚れ薬の効果を発揮します
　　　　・このガスを吸い込むと、たちまち誰かを好きになってしまいます。
　　　　　※惚れる相手についてはこちらで組み合わせを考えさせていただきますが、アクション中に――

　　　　　　当事者「“私の参加したキャラ名”と“相手の参加しているキャラ名”が絡みます。云々」
　　　　　　相　方「“私の参加したキャラ名”に“相手の参加しているキャラ名”が絡んでくるみたいです。云々」

　　　　　　――と、お互いに表明をいただいている場合に限り、その様に恋い焦がれさせていただきます。
　　　　　　惚れたお相手が他のアクションを希望されていますと、その行為へ乱入するという展開となります。
　　　　　　あらかじめご了承ください。
　　　　　　各々の打ち合わせ等につきましては「ごあいさつ掲示板」等をご活用ください。
　　　　　　※必要と思われる内容については、お手数ですが提出されるアクションにお書き添え下さい。
　　　　　　※いずれか一方が参加されていない場合には、他の相手への割り当てを行わせていただきます。



　▼イベント符号“Ｄ”　『　眠れる機晶姫たち　』

　　　●メイドタイプの機晶姫：
　　　　・土砂に埋まった際に故障してしまいました。
　　　　・体高１４５センチ。重量４５キロ＋１５キロ（＝裾の長いスカートに重量があります）。
　　　　・素体となるメイド服の基本色はオレンジと黄色。
　　　　・黒髪のショートボブで、左右の“びん（＝横髪）”を三つ編みにしています。やせ形。
　　　　・白のエプロンドレス、同ヘッドドレス、婦人向け腕時計を装備。
　　　　・酒に酔って幸せそうな表情をたたえたまま背を丸め、たくさんの酒瓶を抱きかかえた格好で出土します。
　　　　　その首には、この辺りで出土する物品にあるものと同じ紋章が刻まれたプレートを下げています。

　　　●執事タイプの機晶姫：
　　　　・土砂に埋まった際に故障したか、あるいは寿命を全うしたものと思われます。
　　　　・老紳士モデル。顔には人間の老い人のように深いしわが再現されています。
　　　　・体高１６５センチ。重量５０キロ。素体の基本色は藍色と墨色。
　　　　・灰髪の短髪刈り上げが、整髪料で固めたようにまとまっています。
　　　　・黒のスーツにネクタイ。
　　　　・片手に、この辺りで出土する物品にあるものと同じ紋章が上ぶたに刻まれた銀の懐中時計を握りしめています。
　　　　・近くからモノクル（片眼鏡）が見つかります。
　　　　・とても厳格そうで、ちょっと近づきがたい感じがします。



　これらのイベント等を経ることによって、発掘現場の真相が明かされていく事になります。



■出土したアイテムなどは所持できるのか？

　発掘が終了した段階でドジック・カイゼルハンドが回収し、すべて学術機関へと引き渡されます。



■二つ名をお贈りいたします。

　本シナリオでの活躍に応じて、二つ名を称号としてお贈りさせていただきます。
　ドジック・カイゼルハンドでいうところの『未来の原始人』のようなものです。
　※リアクション執筆後に検討いたしますので、必ずしもご期待には添えない場合がございます。
　　あらかじめご了承ください。



　それでは皆さまのご参加を、心よりお待ち申し上げております。

・自由に発掘調査

・発掘のお手伝い

・任意の品を発掘

・発掘現場の護衛