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魔女 神隠し

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シナリオガイド

人体実験に使われる前に誘拐された魔女達を救い出し、少女の野望を阻止せよ。
シナリオ名:魔女 神隠し / 担当マスター: 保坂紫子

 ここ数日、神隠しの様に数えられるほど僅かな人数の魔女が消えています。
 しかし、それに気づいたのは消えた魔女の極々親しい人だけでした。
 誰の耳に届く前に密やかと魔女誘拐事件は起きていました。



「つまり、あなたはトレーネ姉さんとパフュームの居場所を知っているって事ね?」
 イルミンスール校長室の扉を開け放ったシェリエ・ディオニウス(しぇりえ・でぃおにうす)は厳しい眼差しを手引書キリハ・リセンに向けます。
 礼を欠くシェリエを室内に居る人間は誰も咎めませんでした。手引書キリハの説明を聞いていた一同は、何の前触れもなく目の前から消えた姉妹の行方を案ずるシェリエのその焦り方も仕方ないと感じているのです。
「はい。知っています」
 ルシェード・サファイスと共に姿を消した破名・クロフォード(はな・くろふぉーど)の動向を調べていた手引書キリハはここ数日、破名が幾人かの魔女を集めている事、また、その中に契約者が居る事を知りました。そして王 大鋸(わん・だーじゅ)に此等を相談し、攫われた魔女と関係性のありそうなこのイルミンスールの学校に訪れたに至ったのです。
「けれど、それだけです」
「それだけで十分よ。今すぐ助けに行くわ。で、場所はどこ?」
 居場所だけが判明し、他は目的は愚か安全か危険かもわからないと明言する手引書キリハに場所さえわかればとシェリエは頷きました。
「逸る気持ちはわかりますがぁ、その前に明確にしておきたいことがあるんですぅ」
 イルミンスール魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)の言葉にシェリエも手引書キリハも彼女に向き直りました。
「聞けば加担しているのはあなたのお知り合いじゃないですかぁ」
「はい。この誘拐には十中八九クロフォードが協力しています。その確認も取れました。誰がどこで攫われたかも全部。必要であればリストとして提出させていただきます」
「それだけわかっていてどうして此処に来たんですぅ? 望みはなんですかぁ?」
「私達にもこの状態は不都合なんです。なのに私ではその場所に辿り着ける力もないのです。ですから、お願いに参りました」
「お願いですかぁ」
 先ほどまで話していた内容を思い出してエリザベートは小さく唸ります。難しい表情のエリザベートに手引書キリハは自分の胸に右手を添えました。
「この学校の生徒でなければ全くの見ず知らずの私です。無理なお願いとは百も承知ですが、私ひとりではご家族の元に連れ帰ることもできません。どうかお願い致します」
 手引書キリハがイルミンスール魔法学校校長に依頼したのはたったひとつでした。
 事が大きくなる前に攫われた魔女たちを救い出すこと。
 それだけでした。



「なぁ」
 校長室の扉を閉めて、大鋸は声を掛けました。手引書キリハは緊張を緩ませようと両頬に添えた両手を下ろします。
「もしクロフォードが妨害するのであれば、対処はお任せいたします」
「対処って」
「わかる事とわからない事との落差が激しく状況が掴みづらいのです。協力させられている可能性が高いことを信じましょう」
「嫌々って事か?」
 問われて、断言できるような根拠も無い憶測ですがと断りを入れて手引書キリハは答えます。
「私が魔導書故なのかもしれませんが。性格が変わろうとなかろうと、その目的以外に協力させられるのはやはり嫌なものだと感じてしまうんです」
 個人的な感想なので実際は聞いてみなければわからないんですけどね、と手引書キリハは気の落ちた顔で緩く笑い、すぐに口元を引き締めました。
「ただ、敵対した場合が……本当にこの状況は不都合なのです。今は目立たずでしょうが、サファイスの事です。いずれ派手に事を荒立てるでしょう。それだけは避けねばなりません。今後の事も含め奪回できなければ、サファイスの思い通りにさせるよりはいっその事、とは思います」
 言って、手引書キリハは感情も露わなシェリエに振り返りました。



 死臭を隠すように焚き付けられた香は甘く熟れた葡萄の香りに似ていました。
 鼻孔の奥にべったりと張り付いて残る甘さにパフューム・ディオニウス(ぱふゅーむ・でぃおにうす)はうっすらと目を開けました。
「起きたぁ?」
 ぼんやりとした視界一杯に広がった少女の顔に、きょとんと目を瞬き、パフュームは起き上がろうとして体に力が入らないことに気づきます。思考も霞がかって上手く考えが纏まりません。
「ここ、は?」
 屋内であることは確かです。天井と窓の無い部屋でした。調度品も机と椅子が必要最低限しか置かれていない、しかしそれに反比例して広い部屋でした。
 その椅子の一つにパフュームは座らされている様です。
「あたしのおうちぃ」
「う、ち?」
 茶色の巻き毛を長く伸ばした白い装束を纏う少女はパフュームにご機嫌な顔で頷きます。と、離れたところから鈴の音が響きます。
「あれぇ、もう時間? 調べ物してるとあっという間ねぇ」
 音に気づき、数値を書き込んでいた手を止めたルシェードは側で控えさせていたスケルトンにパフュームを連れてくるように促します。
「はーなーちゃーんー。お薬の時間よぉ」
 鈴の音の出処はパフュームが目を覚ました所から然程離れていませんでした。
 椅子に座り交差した腕を枕にして机に俯せている破名にルシェードは足取りも軽く近寄ります。
「まだ拗ねてるのぉ? はなちゃん、自分の悩みが解決しそうだからってぇ、ちょっとぉ、勝手よぉ?」
 ルシェードは机の上に置かれた水差しからグラスに薬液を移し替えて、突っ伏している男の顔を横向けます。少女に脅え支配された顔がそこにありました。
「それにぃ、あたしと手を切ろうなんてぇ、今更じゃないぃ?」
 こんなになってるいるんじゃ、逃げられもできないくせに。と自分を見て怯える破名の頬を優しく撫で付けました。
「大丈夫よぉ、ただの薬だからぁ、飲んでぇ」
「ルシェ……ド、頼む……」
「いやぁよぉ」
 銀色の瞳で訴える破名を許さずルシェードは彼の口にグラスを宛てがい、その喉奥に薬液を流し込みます。
「それでねぇ、もう誘拐はいいかなぁって思うのよぉ。だから次お願いぃ」
 言って、パフュームを隣の椅子に座らせました。パフュームの両頬を両手で挟み、破名の方に顔を向けさせます。
「はいどーぞぉ」
「……頼む、時間を」
 破名は机に投げ出した両腕を自分に引き寄せるとそのまま顔を覆います。
「時間なんてあげてるじゃないぃ。ちゃんと休ませてあげてるでしょぉ? 本当にだらしないんだからぁ。それともなあにぃ? いいのよぉ、あたしはぁ?」
 含みのある言い方に、休息は与えられても一度として眠っていない破名は指の間からルシェードを見つめ、長い沈黙の後、顔を覆う右手をパフュームへと伸ばします。
 パフュームの額の真ん中を人差し指の腹を押し当てた破名はそのまま腕を引っ込めて、机に突っ伏しました。
 「あは」と笑いの息を吐いたルシェードはスケルトンに指示を出してパフュームを椅子から立たせました。
「はなちゃん、寝ちゃダメだからねぇ」
 注意を残し、パフュームと共に別室へとルシェードは移動します。
 破名は一人残されて、伏せた顔の下、口を閉じる力も無く舌を痺れさす苦い薬液を滴らせるままにしています。



 移動した先は魔法がかけられているのかひんやりと肌寒さを覚えます。狭くもない部屋に所狭しと並べられた石の寝台の上には同じような年頃の少女達が横たえられています。
「ってことでここでおやすみしてねぇ」
 スケルトンはルシェードの指定した石の寝台の上にパフュームを横たえさせました。
 ばいばいと片手を振って部屋の扉を締めたルシェードの「じゃぁ、あとお願いねぇ、ソルベちゃん」という言葉を耳にして、パフュームは肺の底から息を吐き出します。
 額の中心が熱を帯びて、痛いくらいでしたが、それ以上に睡魔が襲ってきます。
 寝てはいけないと感じながらいつしかパフュームは隣の寝台で眠りに落ちている姉トレーネ・ディオニウス(とれーね・でぃおにうす)と同じく寝息も密やかに眠りに落ちていきました。

担当マスターより

▼担当マスター

保坂紫子

▼マスターコメント

 はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。
 どうぞ宜しくお願い致します。

 各地から数名の魔女が神隠しのように忽然と姿を消しているそうです。
 が、その事を知っている者は行方不明になった魔女の極々親しい人間だけらしく、事件としてはまだ大きく取り沙汰されていません。
 行方不明になった魔女の中にはトレーネ・ディオニウス、パフューム・ディオニウスと契約者も含まれています。
 彼女たちの救出に王 大鋸、シェリエ・ディオニウスが向かう予定です。
 また、以下はPL情報ですのでご注意ください。

■ルシェード・サファイスの本宅について。
 人の足が遠のく山岳地帯にあります。険しい山の影に隠れるようにひっそりと建てられています。外見は簡素な三階建ての木造建築でありますが建物自体に炎封じの魔法が施されています。
 館周辺と館内での火に属するスキルや武器、アイテム等に制限がかかります。
 ルシェードの本宅というより本拠地ですが、小ぢんまりとして空室ばかりが目立ち、主に使用しているのは大部屋である、二階の研究室と、地下一階の実験室と、二部屋の様です。
 一階は大きなホールになっています。左右には二階に続く上り階段。中央奥は地下に続く下り階段があります。
 三階は小部屋ばかりですがほとんどが空室で、空室はそれを示すように扉が開かれています。

■二階:研究室について。
 壁一面の棚と必要最低限の机と椅子しかありません。
 棚にはそれぞれ本や瓶やと綺麗に並べられています。

■地下一階:実験室について。
 ひんやりと冷たい空気が漂っています。
 また石の寝台が等間隔に綺麗に並べられているせいか、実験室というよりは安置室にも見えなくもないです。
 また、この部屋には守役を倒さないと入れません。

■継ぎ接ぎだらけの少女「ソルベ」について。
 実験室の扉の前に控えている守役です。
 侵入者は問答無用で排除しようとします。
 ルシェードと背格好の似たゾンビにしては見目の綺麗なモンスターです。
 自立思考型らしく、状況の判断は早く、見かけに反して機敏で力もあり、特記するような弱点もありません。
 ゾンビではありますが、額には『真理』を意味する文字が書かれています。
 また、会話は不可能です。
 ブロードソードを二本携帯しています。

■囚われている魔女達について。
 実験室の石の寝台の上に眠るように横たわっています。
 額の中央には破名の施した徴が浮かび、その影響で眠っています。

■ルシェード・サファイスについて。
 研究室で現在は主に書き物をしている様です。
 また、戦闘になればゾンビ、スケルトン等の召喚を行います。
 ゾンビ、スケルトンは火属性と銀が弱点となります。
 また、ルシェードが召喚する限りその数に制限はありません。

■破名・クロフォードについて。
 研究室の机に俯せて居ます。
 現在はルシェードの魔法により、ルシェードを恐怖の対象として捕らえている様です。
 ルシェードが逃げると言い出すまで自分から逃げるような事はしません。し、自分自身を転移魔法で飛ばすのはルシェードへの裏切り行為と思い込んでいるようでもありそれもしません。
 また、水差しに入っているのは人格変更の魔法を長期期間持続させる為の薬です。
●転移魔法について。
 把握している範囲(空間)は研究室のみに留まっています。
 メインプログラム起動中により精度等は上がってますが、疲労困憊故に自分よりも、他者や物を動かしたり、比重が重いものへの対応へは僅かばかりの遅れが生じています。

▼サンプルアクション

・攫われた魔女たちの救出。

・陽動で救出する動きから気をそらす。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年11月23日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年11月24日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年11月28日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年12月10日


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