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魔女と傭兵と封じられた遺跡

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シナリオガイド

遺跡都市の最深部。そこに眠るものは……?
シナリオ名:魔女と傭兵と封じられた遺跡 / 担当マスター: 河上 誤停

 
「穂波。あんた、本当に行くのか?」
 ニルミナスの村。その東側の入り口。熾月 瑛菜(しづき・えいな)は村を出発しようとする藤崎 穂波(ふじさき・ほなみ)にそう聞きます。
「大丈夫ですよ瑛菜さん。アルディリス……遺跡都市の最深部は確かに危険ですが、ちゃんと準備しましたし協力してくれる契約者の方もいますから」
「違うよ穂波ちゃん。瑛菜おねーちゃんが言ってるのはそう言う事じゃなくて……本当に自分が死ぬ為の方法を探しに行くの?」
 アテナ・リネア(あてな・りねあ)は悲しそうな顔でそう言います。
「……あぁ、私がどういう存在か聞いたんですね」
「アーデルハイトからね。大体の契約者は知ってると思うよ」
 穂波の確認に瑛菜は頷きます。
「別に恵みの儀式を終わらせても私が死ぬわけではないですよ。ただ生きられなくなるだけ」
 だからと穂波は続けます。
「誰も死なずに恵みの儀式を終わらせる方法を見つけてきますよ」
「……リリィがあんたの行動を喜ぶと思う?」
 この村の村長であり恵みの儀式の要の片割れであるミナホ・リリィ(みなほ・りりぃ)ならと瑛菜は言います。
「喜ばないでしょうし悲しむかもしれません。……でも誰かの死を忘れてしまう今のミナホお姉さんをそのままにしていることより私にとって悲しいことはありませんから」
 だからこれは自分のわがままだと穂波は言います。
「そっか……ならあたしも手伝うよ」
「うん。アテナも手伝うよ」
「……よろしいんですか?」
 二人の言葉に穂波は不思議そうな顔で聞きます。
「わがままなんだろ? だったら止める理由はないさ」
「これがリリィちゃんのためって言ってたら瑛菜おねーちゃんは止めたと思うけどね」
 わがまま――穂波個人の願いであるならと。
「本当はそれでもあんたのために止めるべきなんだけどね」
 でもと瑛菜。
「一般論であんたの願いを無下にできるほどあんたのこと知らないわけじゃないし……自分のわがままであんたを止めれるほどあたしはあんたを知らないから」
「……本当に瑛菜さんは不器用で……優しい人ですね」
 そう言ってありがとうございますと穂波は頭を下げます。
「詳しい説明は遺跡都市に向かいながらしますね。ただ、その前に私の目的と注意点を」
 そう前置きして穂波は言います。
「私の目的は『恵の儀式を終わらせる方法を見つけること』。そして一番大きな注意点は――」
 そこで穂波は自分を落ち着けるように大きく息をつきます。

「――遺跡都市に眠る三番目の遺産……最後の魔女を決して目覚めさせないでください」



「リーダー、契約者たちがそろそろ遺跡都市の最深部に突入する頃です」
 遺跡都市の某所。黄昏の陰影と呼ばれる傭兵団の男はその団長にそう伝えます。
「そうか、なら、それに合わせて私たちも侵入するとしよう」
「けどリーダー。どうしてわざわざ契約者たちが突入するのを待つんです? 『こっちの魔女』の力を使えばあの封印も容易になくせますよね?」
 男はリーダーに質問します。
「確かに奴らに封印を解いてもらわずとも『こっちの魔女』の力を使えば封印はなくせただろう」
 だがとリーダーは続けます。
「『こっちの恵の儀式』は始まって間もない。力を使う魔女二人もその力を振るうのになれていないのだ。……何が起こるか分からない遺跡都市の最深部に挑むのに魔女の力頼りきりになるのはさけたい」
 だから契約者たちに露払いをしてもらうとリーダーは言います。
「もしも気づかれて邪魔されたらどうするんです?」
「その時はその時だ。『こっちの魔女』の力を試した上できつそうなら撤退する」
 なぜならと。
「三番目の遺産は確かに欲しいが……急ぐ理由もない。今回無理なら魔女の力がなじみ、契約者たちを排除した後でもいい」
 リーダーはそう言うのでした。


「さてと……私も行くとするかの」
 穂波や瑛菜たちが出て行くのを隠れて見送り、アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)はそう言って彼女たち同様に村を出ます。
「『衰退の魔女』『滅びの魔女』『歪みの災禍』『粛清の魔女』……全くもって不吉な呼び名を持ってるものじゃが……実際に会ってみないとなんとも言えんの」
 会ったことのない一人の魔女のことを思い浮かべてアーデルハイトは言います。
「あの男が死んで以来ぱったりと干渉をしなくなったようじゃが、死んではいないようじゃし……名の通り災禍となるか鍵となるか見極めんとの」
 ニルミナスの今後を考えた上で放置できる存在ではないとアーデルハイトは思っていました。
「おそらくあの遺跡都市のどこかにおるじゃろう……あの都市で起こる大きな出来事があれば観察しているはずじゃ」
 つまり、穂波たちが遺跡都市の最深部に挑むのであれば、その様子を近くで観察しているはず――
「――まぁ、見つからなかった時は見つからなかった時じゃがの」



 こうしてそれぞれの思惑を持ちながら遺跡都市の最深部へと三者は向かうのでした。



担当マスターより

▼担当マスター

河上 誤停

▼マスターコメント

初めての方ははじめまして、前回参加してくれた方はお久しぶりです。河上誤停です。
今回は問題発生シナリオになります。いろいろな思惑が飛び交う遺跡都市の最深部でのシナリオになります。
今回に限ってはプレイヤー全体の目的は設定されておりません。
NPCたちの目的に同調し協力するか、反対をし邪魔をするか。契約者自身の目的をもって行動をするか。
ニルミナスシナリオの大きな分岐点になります。そのため、エンド判定フラグについてもガイドにて記載しています。


■藤崎 穂波について
『器の魔女』と呼ばれる遺跡都市アルディリスの遺産である少女です。ありとあらゆる技術を持ち、力さえあれば理論上可能であればありとあらゆることを可能にします。
ただし、彼女自身はほんの少しの力しか体内に留めておけず、その供給は『恵の儀式』によってのみなされます。
仮に『恵の儀式』が終われば現状彼女は永遠の眠りにつきます。
それを理解したうえで彼女は『恵の儀式』を終わらせようと、誰も死なずに終わらせる方法を遺跡都市の最深部で探そうとしています。

■瑛菜・アテナについて
瑛菜とアテナも穂波に協力して『恵の儀式』の終わらせ方を遺跡都市で探します。
ただしそれは『恵の儀式』を終わらせるべきだと結論づけたわけではなく、ひとまず終わらせる方法を手に入れて選択肢を増やしておくのは悪くはないと考えての行動です。
実際に終わらせるかどうかは当事者であるミナホや穂波、それに近しい契約者、村に住む人たちが決めるべきだと考えています。


■傭兵団『黄昏の陰影』について
契約者を憎むものたちが集まった傭兵たちです。普通の人間でありますが、契約者に負けないよう鍛えた技術・戦術は侮れないものがあります。
現在とある地球の組織に雇われており、彼ら自身の目的と組織の目的が合致したこともあり『アルディリスの遺産』を求めています。
彼ら自身が集めた情報と組織がもともと持っていた情報により『恵の儀式』を再現することに成功しています。

傭兵団が現在求めているもの
『器の魔女』(藤崎 穂波)
『正邪の角』(ユニコーンとバイコーンの角を調合した『魔女の呪い』を一時的に無効化する道具。所持者:アーデルハイト)
『?の魔女』(アルディリスに眠る最後の遺産。詳細不明。遺跡都市の最深部にいる)

■アーデルハイトについて
姿を消した『粛清の魔女』を探して穂波たちとは別行動で遺跡都市の最深部に向かいます。
彼女的には見つかればいいな程度で、今回で見つからずとも後々見つかれば大丈夫だろうと思っています。
したがって彼女一人では今回『粛清の魔女』が見つかることはありません。他の契約者の協力があれば接触できる可能性が大きく上がります。

■ミナホ・リリィについて
ニルミナスの村長にして『繁栄の魔女』と呼ばれる『恵の儀式』の要の片割れです。
ですが、現在以前より精神が幼くなっており、事件じゃ役に立たないし、荒事はもともと役に立たないのでお留守番です。

■遺跡都市の最深部について
多数のトラップが設置されています。トラップ自体は契約者の力を持ってすれば解除するのは難しくありません。
ただ、トラップと同時に機晶技術で創られたガーディアンと魔法技術で創られたキメラ(どちらもレベル90相当)が徘徊しています。
遺跡都市の最深部は真っ暗闇のため、ガーディアンは熱源探知、キメラは嗅覚・聴覚で敵を察知します。視覚は利用していません。仮に熱源探知や嗅覚・聴覚に引っかからないなら彼らの真正面を通ることができます。
ちなみにキメラは痛覚を切るため同時に触角もほぼ使えない状態です。触れたりしなければ触角で見つかることはありません。
ガーディアンもキメラも倒すことは可能ですが倒しすぎると以前の古代竜クラスの守護者が出てきます。勝てる可能性はほぼないのでアクション判定の大きな邪魔になります。
ただし、重要なところに入るにはガーディアンやキメラを倒さないといけない場合があります。
一人のPCで罠と敵を同時に対処することはできません。MCとLCで役割分担するか、他のPLと協力が必要です。

■ニルミナスシナリオエンディングへの今回の影響
『恵の儀式』の魔女の死以外の終わらせ方を見つける→ベターエンドフラグの上昇・バッドエンドフラグの低下
『恵の儀式』の魔女の死以外の終わらせ方が見つからない→ベターエンドフラグの低下・バッドエンドフラグの上昇
『?の魔女』の契約者や村側の保護→バッドエンドフラグの上昇
『?の魔女』を傭兵団側が手に入れる→ハッピーエンドフラグの上昇・バッドエンドフラグの上昇
『?の魔女』の殺害→ハッピーエンドフラグの大幅低下・バッドエンドフラグの大幅低下
アーデルハイトの『粛清の魔女』への接触→ハッピーエンドフラグの上昇・バッドエンドフラグの低下・ベターエンドフラグの上昇
『正邪の角』が傭兵団に奪われる→バッドエンドフラグの大幅上昇
藤崎 穂波が傭兵団に連れされれる→バッドエンドフラグの大幅上昇・次回開校イベントへの影響あり
???を見つける→ハッピーエンドフラグの上昇・ベターエンドフラグの低下(???が何かはこれまでのニルミナスシナリオでアゾートやアーデルハイトがヒントを出しています)

バッドエンド:ニルミナス滅亡エンド
ベターエンド:リアクション『ミナスの願い』のような結末
ハッピーエンド:誰も死なないエンド

今回はあくまでフラグの上昇低下だけです。実際の判定は開校イベントの後、最後の問題発生シナリオで今回の結果と加味して行われます。
同じベターエンドやハッピーエンドでもPLの行動次第で細部は変わっていきます。
アクション次第では全く新しいハッピーエンドエンド(現在大きく二つ可能性があります)が生まれるかもしれません。


▼サンプルアクション

・恵の儀式の終わらせ方を探す

・アーデルハイトに協力

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年05月31日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年06月01日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年06月05日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年06月17日


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