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続・夢幻図書館のお仕事

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シナリオガイド

図書館の平和を守るため――「虫干し」と「鏡設置」を急げ!?
シナリオ名:続・夢幻図書館のお仕事 / 担当マスター: YAM

 現世世界で失われた非生命体の「霊的存在」(生命体にとっての『魂』と同等のもの)が存在する異世界、【非実存の境(ひじつぞんのさかい)】
 現実の世界の人間には、夢で偶然に辿りつくことができるかできないか、の朧な世界です。
 ここに、アレクサンドリア夢幻図書館はあります。
 現世で失われた多くの古書禁書の霊的存在を蒐集し、「夢で訪れた人がここで得た情報を(無意識下にでも)知識として蓄えられる」ような夢の中の図書館にする――司書クラヴァート・ヘイズルケインのそのような理想のもと、まだまだ施設としては未完成のこの館の整備は、遅々とした歩みではありますが進められていました――


 *******


「――最近、夢で図書館を訪問してくれる方がちらほら増えてきたんです」
「「……よかったじゃないですか」」

 夢の中で夢幻図書館に来た杠 鷹勢(ゆずりは・たかせ)魔道書 パレット(まどうしょ・ぱれっと)は、クラヴァートの言葉を聞いてやや戸惑いながら返事しました。
 そんな風に来館者が増えることはクラヴァートの悲願であるはずなのに、何故か彼が暗い表情をしているからです。
「……えぇ。よかったんですけど……」
「何か問題でも?」
「はい。
 ……理想が現実となって初めて、こちらの心構えの不備に気付いたのです」
 クラヴァートは浮かない顔のまま答えました。


 *******


【問題1】 禁帯出文庫への侵入者

「誰もが、夢の中でこの図書館を利用してくだされば……確かにそう考えていました。
 しかし、ご存じの通り、この図書館は、あらゆる時代のあらゆる国から、あらゆる人にアクセスされる可能性があります。
 来館者の中に禁断の知識を求める魔道士がいて、ここにある“現実世界で失われた書物”を求めているとしたら……
 場合によっては非常に危険なことです」

「考えたくないことなのですが、すでにその兆候があるのです。
 ――ここにいらっしゃる大概のお客様は、偶然夢の中で流れ着いてきた方々です。
 夢から覚めてもここのことを具体的に覚えている、という可能性は非常に低いでしょう。
 ただ、読んだ本の知識が無意識下で知識として蓄えられることはあるでしょうけど。

 しかし、ごく少数の特定の人間は、この場所についてかなり本質に近い部分を知覚しているようで……
 その上、己の夢をコントロールする術を身に付けているらしく……
 不定期にですが、何度も、しかも何かしら具体的に目的を持った様子でやってくるのです。
 私も気を付けるようにしているのですが、なかなか一人では間が行き届かないことが多く……」

「無論、こちらも全くの無策というわけではありません。
 館の一番奥に禁帯出文庫を設け、悪用される恐れのある本にはそこに移動してもらい、司書である私の許可なしに近付けないよう、結界を作りました」

「――しかし、奥部の蔵書の証言によると、こちらの結界を破り、忍び込んでくる者がいるようです。
 明らかに、何か特定の本を探している様子だった、といいます。
 多分、私よりも魔道士としての実力が上なのでしょう……」


対策:

「そこで、館の中でも古株の上級呪術書の力を借り、これを作りました」
 そう言って、クラヴァートが出してきたのは、壁にかけるタイプの鏡――全身が映る姿見です。

「この姿見には禁呪が施されています。
 覗き込むと、ほんの2、3秒ではありますが、見た者の『一番見たくない己の姿』が映し出されるのです。
 ――単なる“嫌な自分”ではありません。
 人が無意識下で認識することを避けている、それほどに普段は思いもしないような、最もグロテスクな自身の肖像だと考えてください。

 侵入者は恐らく、夢の中で己を思い通りに動かす術を行使するため、精神をかなり難しいバランスで研ぎ澄ませているはずです。
 そこに、この姿見に映った自身の姿で衝撃を与えれば、バランスが崩れ、術が解けて目が覚めます。そうすれば相手は図書館から消えます」

「この姿見の禁呪は、現実世界に肉体を持つ者の視線を感知して作動するので、私やここの書物には悪影響はありません。
 また、禁帯出文庫周辺の結界とセッションして作動を開始するので、壁にかけるまでは普通の鏡です」

「できれば契約者の方々に、蔵書庫とその周辺の動線等を見て頂いて意見を頂き、
 侵入者撃退に効果的な場所を何ケ所か選出して、この姿見を設置したいのです」


「――ただ、壁に設置してからは、契約者の方も迂闊に覗き込んではいけないので、かなり気を付けての作業になりますが……」


 *******


【問題2】 本の『蟲』

「こちらも――いえ、こちらの方が、一般の方々には深刻な問題かもしれません」

「最近、『本の虫』に関する書物だという双子の魔道書くんたちがやってきたのです。
 その彼らの話で明らかになったのですが……

 この図書館の本の中に『蟲』が潜んでいて、増殖を始めているようなのです」

「……えぇ、読んでいる人間を本の虜に……いわゆる『本の虫』にしてしまうという蟲だそうです。
 双子君たちの話では、現実世界ではこの蟲は、単に読む者を本に釘付けにすることでその意識や時間を浪費させる、というだけの存在らしいのですが……
 この【非現実の境】、つまり意識だけの世界では、読む者の意識体をそのまま本に引き込んでしまうらしいのです。
 蟲に魅入られ、来館者が現実世界で目覚めなくなる――そんな事件が幾つか起こっているらしくて。
 それで双子君たちはそれが『蟲』の仕業ではないかと考え、ここに行き着いたらしいのです。
 実際、蔵書たちの間でも、館に入ってきた人間で出ていくのを見ていない者もいる、などと噂になっていて……」

「双子君たちによると、本に引き込まれた意識は、時間の経過とともに、本と一体化していってしまうそうなのです。
 蟲は本に潜んでいる間は不可視の存在なので、一般の方が気付くのは至難の業です。
 早急に対処が必要です……!」


対策:

「それで、双子君の協力によって、『虫干し』をすることになりました」

 虫干しは、館内の空中庭園で行われます。
 「本の蟲」に関する知識に長けた双子の魔道書の指示のもと、蟲を追い出す結界を庭園全体に張り、ここに本を並べて、蟲をいわば燻り出す、というのです。
 追い出された蟲は、双子が捕まえて責任を持って処分するという話です。
「蟲が本から出ていけば、中に引きこまれた人の意識も解放されるそうです」

「ただ、この蔵書の量です。さすがに人手がないと……
 蟲が潜んでいる本でも、外から見た感じは他の本と変わりません。
 また、蟲の存在は潜まれた書物自体も自覚できないらしいのです。
 人の意識が引きこまれた本は、様子が少し変わるらしいですが……」

「とにかく、現実世界での弊害が広がる前に、蟲を退治しなくては……!」

担当マスターより

▼担当マスター

YAM

▼マスターコメント

 こんにちは、YAMです。
 再びのアレクサンドリア夢幻図書館です。いろいろとトラブルが起こっているようなので、お力をお貸しください。

 以前と同じように、この図書館へは、初めての来館者は魔道書の夢を通っていくことになります。
 以前に一度でも来たことのある方は、それぞれ自分の睡眠の中で夢の道を通って到達することになります。


【禁呪の鏡(問題1)】
 本文通り、壁にかける姿見タイプの大きさの鏡です。
 クラヴァートが説明している通り、壁にかけるまでは普通に見ても問題はないですが、壁にかけると周辺の結界と反応して禁呪の力が発動し始めます。
 クラヴァートは、書庫近辺で書庫入口に至るまでの道筋で、効果的に侵入者の目につくように配置したいと考えています。
「壁に取り付けたらうっかり見たりせずに速やかに書庫の近くから立ち去ってください」とのことです。

 契約者は一般の来館者とは基本的に違う方法で来館していますし、この件については予め話を聞いているので、うっかり見てしまっても驚きで目が覚めるということには(必ずしも)なりません。
 が、そういうアクションを取っていただいても結構です。


【不審な来館者の見分け方(問題1)】
 禁断の知識を悪用とする人間は困りますが、たまたま立ち寄って本に興味を持つ人たちを締め出したくはないとクラヴァートは考えています。
 訪れる人間は「夢の中の意識(の具現化)」なので、どこかぼんやりとしてふらっとした身のこなしなのが普通です。
 逆に、何か目的があるようなしっかりした足取りで館内を歩いているような者は、何らかの超常的な方法で己の夢をコントロールしてまでここに来ている可能性が高いので、注意が必要でしょう。


【蔵書の異常を判断する方法(問題2)】
 蟲は、取り憑いている本を開けなければ、人に影響を及ぼすことはありません。
 が、取り憑いているかどうか、外見で判断するのは至難の業です。一般来館者にはできません。
 この図書館では、蔵書が意思や感情を表に出すことがありますが、本文の通り、蟲が己に潜んでいても自覚できていないことがほとんどです。 
 但し、蟲によって読んだ人間の意識が引きこまれた書物は、意思も感情も表に出さなくなり、何となく陰気な雰囲気を纏ってくるようです
 また、引き込まれた者の意識が書物に混じり出し、その本の文中に何の脈絡もなくその人物の感情や記憶などの情報が出てくるということが起こります

 本の蟲は魔法生物です。
 その力はさほど強くはなく、契約者がまともにやり合って後れを取るというものではありませんが、油断していて不意を突かれたり、取り憑いていた本に強力な潜在魔力があったりすると、契約者でも引き込まれてしまうかもしれません
 本に引き込まれてしまうと、内部からはどうすることも出来なくなるようです。
 蟲が虫干しによって本から追い出されれば、中に囚われていた人も解放されます。
 蟲は本の中にいるうちは不可視ですが、本から飛び出すと見えるようになります。蜘蛛に似た、長い脚を持つ黒い虫だという話です。
 虫干しでも燻り出されますが、感性の鋭い個体になると、結界に近付いた気配を感じて飛び出すこともあります。このため、書物の運搬中も注意が必要です。
 なお、結界は書物の中の蟲にだけ作用するので、人や書物には何の影響もなく、出入りにも差し障りありません。


【禁帯出書庫内の書物に蟲は憑いているか】
 一応、双子の魔道書が、以前に書庫内の書物はチェックして、蟲はいないと判断してはいます。
 ただ、そのチェック時よりやや時間が経っており、蟲は館内で増殖している可能性もあるので、絶対に安心とは言えないかもしれません。
 気になるようでしたら、確認するアクションをかけるのもよいでしょう。
 但し、周辺に設置される鏡と、蟲に引き込まれることには注意を。
(前述にもありますが、強い魔力を秘めた本に潜んだ蟲は、それに乗じて引き込む力も強力になります)


【NPCの動き】
 本の蟲に詳しい双子の魔道書は、以前「ブラックブック・マーケット」というシナリオにちょこっとだけ登場していますが、特に知らなくても問題ありません。
 人型になると瓜二つの、6、7歳くらいに見える子供。書物としては前後編の2冊です。
 元気でやんちゃな兄の『ゼン』、兄と同じくらい元気だけどやや人見知りがちの弟『コウ』です。
 本に潜む虫に関しては多大な知識を持っています。また個人的に、その虫を捕まえて集めるのも好きだったりします。
 蟲を追い出すために空中庭園に張る結界は彼らが作ったものです。2人が中心になって虫干しを進めることになります。

 鷹勢とパレットは、鏡設置に協力しながら、さりげなく不審者発見にも乗り出す様子です。
 鷹勢は不審者に気付く助けになればと白颯を連れてきています。
 他に、イルミンスールのがぐれ魔道書達(マスターページ参照)も手伝いに駆り出されています。
 基本的に(より人手が必要な)虫干しの方に協力し、空中庭園と書庫を往復して本を運搬するようです。

 どちらの問題も重要案件のため、司書クラヴァートは状況に応じてどちらの現場にも現れ、臨機応変に動きます。

▼サンプルアクション

・禁呪の鏡を設置する/うっかり鏡を見てしまった!

・禁帯出書庫に近付く不審者を見張る

・虫干しを手伝う

・うっかり本に引き込まれた!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年08月30日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年08月31日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年09月04日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年09月17日


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