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森の聖霊と姉弟の絆【後編】

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森の聖霊と姉弟の絆【後編】

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シナリオガイド

今度こそ、救いたいんだ。
シナリオ名:森の聖霊と姉弟の絆【後編】 / 担当マスター: 黒留 翔

 ――灰色の島、古代遺跡内部。
 そこは暗く湿っぽい空間でした。明かりといえば大小様々な機器類が発する人工的な光が、その内部を淡く照らしているのみなのです。
「……時間ですか」
 アラート音と共に、モニター上のカウントダウンタイマーが赤く点滅し始めます。
「でも、僕は間に合いましたよ。……姉さん」
  ソーン・レナンディは視線をモニターから床上に安置された人間一人大のカプセル――その中で眠り続ける銀髪の女性――へと移し、疲れたような微笑を浮かべました。
「カプセルが機能しなくなれば、今まで食い止めていた肉体の損傷が始まる。でも僕はもう、ハガルを生かすために必要なものを全て揃えましたから。あとは転生ポッドの調整さえ終えれば良いんです」
 そう呟くと、ソーンは壁沿いに設置された大がかりな装置の方へと足を進めます。
 黒く背の高い筐体の左右には繭型のポッドが一つずつ縦に置かれており、それらは多様なケーブルによって互いに繋がれているのです。ソーンはその筐体の表面を指でなぞって正面にある小さな窪みの場所を確認すると、青白い機晶石をそっと押し込みました。
 すると機晶石を嵌めた窪みから放射線状の光が走り、筐体から微かな機械音が漏れ始めます。それを確認してから、ソーンは手元にせり出してきたパネルに指を走らせました。
 その時。
「……ソーン。今日モ、外ノ様子ヲ確認シテ来マス」
 背後からかけられた声に振り向くと、銀髪の女性型機晶兵の姿がありました。
「もうその必要もないと思いますが、貴女がそう言うなら……。でも、何かトラブルに巻き込まれるようなことは避けてくださいね。H-1、貴女の身体に傷が付くのは困るんですよ。……それと、早めに戻ってください。貴女が帰って来るまでには、こちらの調整を終えておきますから」
 ソーンの言葉に頷くと、H-1と呼ばれた女機晶兵は踵を返して歩き始めます。
 
 そして、暗がりから地上に出た彼女は、村へと続く道の先に小さな人影を発見したのでした。


■■■■■

 ――その、視線の先。

「……本当に行くんだな? リト」
 カイ・バーテルセン(かい・ばーてるせん)は隣で黙り込んだままの少女にそう問いかけます。灰色の空から吹き降ろすような風が、彼女の黒髪を乱していました。
「……うん」
 リト・マーニ(りと・まーに)は、通りの先を見据えたまま首を縦に振ります。その表情は険しく、どこか沈んでいるようにも見えました。
「そうか。ただ、無理だけはするなよ。族長も心配してるんだからな」
「うん……そうだね」
 抑えたような声でそう答えると、リトは自らの拳をぎゅっと握りしめて歩き出しました。その背中を見つめながら、カイは隣島の廃屋で読んだソーンのメッセージを思い返して、一瞬だけ顔を曇らせます。そして何かを打ち消すようにほんの少しかぶりを振って、リトの後を追うのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

黒留 翔

▼マスターコメント

 黒留 翔です。
 いよいよ正念場。森の聖霊シリーズも今回で最終話(予定)となりますので、気合を入れて担当させて頂きます。

 今作は前編からの続きとなっておりますが、後編から新たに参加していただくことも可能です。
 また、今回のシナリオでは登場人物が命を落とす可能性がございます(PC除く)。スプラッター的な要素はありませんが、場合によっては複数人が絶命することもあり得ますので苦手な方はご注意ください。
 なお、その死を回避または阻止する場合には、「誰を一番助けたいか」を考えた上でアクションを書いていただくのがおススメです。不特定多数を相手にするものよりは、対象を特定の人物に絞ったアクションの方が、成功判定が出やすくなります。



■これまでの出来事■
 
 マスターページに経緯など時系列順にまとめてあります。必要な方はお手数ですがそちらをご確認ください。
 シナリオ中に明らかになったことのみを載せておりますので、不要な方はお読みいただかなくても結構です。


■登場人物&用語等■

・リト・マーニ……弟の魂が宿る【緑の機晶石】を奪還するため遺跡に向かいます。「弟を殺したのは貴女だ」というソーンのメッセージに、何か思う所があるようですが……?

・カイ・バーテルセン……【緑の機晶石】のことよりもリトの方が気掛かりなので、本当はあまり遺跡に向かわせたくないと思っています。遺跡内で危険に巻き込まれた場合には、まず彼女を逃がすことを優先します。

・ソーン・レナンディ……以前『煌めきの災禍』として封印されていたリトをさらおうとした上、【緑の機晶石】を奪っていった青年です。遺跡の奥に引きこもった彼の目的は、姉の命を救うことだったようですが……。

・ハガル・レナンディ……ソーンの姉で唯一の理解者でもあった彼女は、疫病が蔓延した際も医者として最期まで灰色の島に残り、薬の開発を行っていました。帰島したソーンの腕の中で意識を失って以降、何年もの間カプセルの中で眠り続けています。

・H-1……ハガルによく似た姿の女機晶兵です。現在彼女の中に感情や意志といった「心」に相当するものは存在せず、「ソーンを護り助けること」のみを自らの行動原理としています。何かを感じ取ることは出来ませんが、言葉を理解することは可能なようです。

・『灰色の棘』……かつてソーンに命を救われたチンピラ5人衆は、カイらと共に灰色の島までやってきました。現在の彼らに悪事を働く気はないので、指図すればそれに従ってくれます。

・緑の機晶石……リトの弟・ヴィズの魂が宿っている機晶石です。『煌めきの災禍』事件以来ソーンに強奪されたままですが、リトはその奪還を固く誓っています。



■行動可能な範囲と注意点■
 
 前編の舞台であった港町にやり残したことがある方は、そちらでも行動していただけます。 
 また、前回同様『フラワーリング』内におけるアクションも可能ですが、その場合MC・LCは共に集落内に居るものとして扱わせていただきます。どちらかが灰色の島で他方が集落、というアクションはNGとなりますのでご注意ください(港町についても同様です)。

 以下PL情報として、灰色の島及び遺跡について簡単に触れておきます。
 灰色の島に存在する集落はソーンの育った村のみですが、こちらも現在は無人となっています。前編にて薬の入手に成功しているため疫病に罹患することはありませんが、通常時はそのリスクが極めて高いので島に渡航してくる人もいない状態です。そのため基本的にはカイ&リトらと別ルートによる入島は困難であり、薬のない状態で灰色の島を訪れた場合には疫病によるペナルティを受けることになるため、おススメ出来ません。
 【村について】
 村は船着き場から延びる通り沿いに広がっており、そこから真っ直ぐに進むと遺跡のある崖に突き当たります。ソーンとハガルはかつて船着き場近くのあばら家に暮らしていましたが、ハガルが女医として働くようになると診療所を職場兼住居として使うようになりました。
 【遺跡について】
 地震で崖が崩れた際に地上部も少し露出はしましたが、基本的には地下となります。何層かには分かれていますが、ほぼ一本道の地下遺跡です。内部は暗いので足元にお気を付けください。

▼サンプルアクション

・遺跡探索

・ポッドの破壊

・診療所を調べる

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年09月04日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年09月05日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年09月09日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年09月23日


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