空京大学

　葦原城の地下には、もうひとつの城がありました。
　そこにブライドオブシリーズのひとつ、ブライドオブハルパーがあるのでは、と踏んだハイナは、
　生徒たち、そして葦原生徒である安倍　晴明（あべの・せいめい）と彼が共に行動していた四人の葦原生を地下に向かわせたのでした。

　幾多の困難の末、彼らはその最奥、深守閣と呼ばれる場所でブライドオブハルパーを発見するに至りました。
　しかし、それを手に取ろうとした時、突然四階の床が落ちてきて、彼らは崩落に巻き込まれてしまったのです。
　瓦礫が降る中、晴明が見たのは上階にいた葦原生のひとり、大橋　千住（おおはし・せんじゅ）でした。

　なぜあのタイミングで、あの場所に千住が？
　たまたま階上に居合わせただけで、四階の床が崩れたのは他に原因が？
　それとも自分だけ抜け駆けして、手柄を取ろうとした？
　なぜ、助けに来ず踵を返した？
　俺たちは、友達だったはずじゃ？

　いくつもの疑問が彼に襲いかかりますが、それを悩む時間も、答えを出す時間も与えられず、彼は生徒たちと瓦礫の中に埋もれてしまいました。

　天井が崩れ去った数分後。
　瓦礫をどかし、ひとり、またひとりと生徒たちが姿を現し始めました。
　彼らは無事生き延びたのです。突然起こったこの事故の原因を究明することも大事ですが、それよりも大事なのはブライドオブハルパーの回収。
　急ぎ彼らはそれがあったであろう場所を掘り当て、探しだそうとします。
　が、そこにブライドオブハルパーの姿はありませんでした。
　崩落の影響でどこか深くに埋もれてしまったのでしょうか。それとも既に誰かが持ち出してしまったのでしょうか。
　だとすれば、それは晴明が感じた通り、千住の抜け駆けなのでしょうか？
　しかし、肝心の千住はもちろん、残る葦原生、参道　宗吾（さんどう・そうご）、神海（しんかい）、お華（おはな）らの姿も見えません。
　千住と違い深守閣にいた彼らもまた、崩落に巻き込まれ行方不明になってしまったのでしょうか。
　あるいは、ブライドオブハルパーを手に既に地上へ向かったということも考えられます。
　ただ、そう仮定した場合、ふたつの可能性が考えられます。

　ひとつは、総奉行、ハイナ・ウィルソン（はいな・うぃるそん）の指示を受けたブライドオブシリーズの探索隊として。
　もうひとつは、あまり考えたくはありませんが、同じくブライドオブシリーズを集めている鏖殺寺院の一派ブラッディ・ディバインとして。
　言うまでもなく、後者であったならば、彼らは葦原明倫館に潜んでいた寺院側の人間……裏切り者ということになります。
　晴明とあれだけ親しそうにしていた彼らが寺院だとは思い難いですし、その素振りもあまり見受けられませんでした。
　ただ、探索隊の中には、瀬島　壮太（せじま・そうた）やファトラ・シャクティモーネ（ふぁとら・しゃくてぃもーね）のように、その存在を注意していた者たちもいるだけに、可能性がゼロではありません。
　さらに、崩落前、ハイナに化けた秋葉　つかさ（あきば・つかさ）も単身でブライドオブシリーズを狙っていたことが明るみに出、瓦礫に埋もれてしまったとはいえその思想はある意味寺院と同等かそれ以上に厄介なものでしょう。

　はたしてブライドオブハルパーはどこへ消えたのか。
　そして裏切り者は存在していたのか。いたとすれば誰なのか。
　深まる謎を抱えたまま、生徒たちは瓦礫から這い上がり、自分たちが先ほど降りてきたばかりの地上を目指します。
　おそらくその道中、いなくなった「彼ら」に会うことになると信じて。

　しかしその前に、まずは晴明を瓦礫から見つけ出さなければなりません。
　ただ、もし裏切り者が存在するとなると、晴明もそうではないと必ずしも言い切れないのが現状です。
　なぜなら、千住や残りの葦原生といつもつるんでいたのは他の誰でもない彼だからです。
　次々と渦巻いていく疑念の終着点と、なくなったブライドオブハルパーの行方。
　それらを探し当てられるのは、ここにいる生徒たちだけなのです。

マスターの萩栄一です。
本シナリオはペリフェラルシナリオ「【ニルヴァーナへの道】ツミスクイ　突ノ章」の後編となっております。
前回参加された方はもちろん、今回から参加したいという方もどうぞよろしくお願いします。
ちなみにこちらが前回のガイドとなっておりますので、時間に余裕のある方はおさらいしておくと良いかもしれません。

本シナリオは葦原島が舞台ですが、学校の制限はありません。所属に関係なく、どの学校の方もお気軽にご参加ください。
時系列も他のペリフェラルシナリオと被っていないものとするため、
既に他の【ニルヴァーナへの道】に参加している方でも問題なく参加することが出来ます。

なお今回当シナリオでは、アクションのかけ方がややイレギュラーとなるため、注意点をいくつか列挙しました。
よくお読みの上アクションをかけるようお願いします。

【スタート地点について】
前回、地下四階の一部が崩落し、地下五階にいた生徒たちは巻き込まれています。
「瓦礫の中から知人を発見し、共に行動する」「単独で生還を目指す」どちらでも構いませんが、
いずれにせよ地下五階深守閣からのスタートとなります。
（瓦礫から知人を発掘するくだりは既に行ったものとするためアクションに含めなくて大丈夫です）
ただし、前回地上に残って行動していた方のみ、その対象とはなりません。

【今回から参加される方、およびＬＣの追加について】
今回から参加される方は、「前回も皆と一緒に城に潜り、描写がなかっただけで共に行動していた」
という体でアクションをかけてください。ですので前回の情報は一通り知っていても問題ありません。
基本的には、前回参加された方同様にスタート地点は地下五階からとなります。
また、前回参加された方がＬＣを新たに追加する場合も同様の扱いとさせていただきます。
つまり、新たにＬＣを投入しそのＬＣは地上でのアクションをかける、ということは出来ません。
例外として（今回から参加された方にも平等に選択肢を設けるため）掲示板のダイスでの判定があります。
・今回から新たに参加する
・掲示板のあいさつスレッドに書きこむ
・その書き込みの時のダイスがゾロ目である
以上の条件を満たした方のみ、地下五階からのスタートではなく、
「前回は地上で調べ物をしていた」という体でアクションをかけられます。
これは今回からの参加者への措置であり、前回参加された方で新たにＬＣを投入される方に上記の措置は適用されません。

【ＮＰＣたちについて】
前回、安倍晴明を含む五人の葦原ＮＰＣが全員崩落による混乱で行方不明となりました。
（ただし大橋千住のみ晴明が四階にいるのを目撃しています）
千住が崩落に立ち会っていたことで、晴明（および同様に目撃した周囲の生徒）は、
彼らが自分たちを裏切ったのではという気持ちが芽生えています。
五人に絡むアクションをかける方は、彼らが、
「敵」なのか「味方」なのか予想した上で、戦うか行動を共にするか他の行動かを決めてください。
仮に敵にも関わらず味方してしまった場合は利用されたり不意を突いてやられたりする可能性がありますし、
仮に味方にも関わらず敵対してしまった場合は戦力が減ったり後々まで亀裂が入ったりするでしょう。

なお、各ＮＰＣや地下城については前回のガイドを参照するようお願いします。

今シリーズは前後編で展開します。後編である今回は、深守閣から地上へ脱出するまでのお話となる予定です。
全体的にはシリアステイストでいこうと思っています。
なお、アクションがより書きやすくなるようヒント及び晴明以外のＮＰＣイラストをマスターページに掲載しますので、
参考にしたい方はそちらをぜひご覧になってみてください。

・晴明に絡む

・参道宗吾に絡む

・お華に絡む

・大橋千住に絡む

・神海に絡む