シナリオガイド
成功率0%! 狂気に支配された軍団が北カナンへと迫る!
シナリオ名:Perfect DIVA-悪神の軍団-(第3回/全3回) / 担当マスター:
寺岡 志乃
●前回までのあらすじ
ある日、蒼空学園をなぞの銀髪赤眼の少年が襲いました。少年はドゥルジと名乗りました。激闘の末少年はコントラクターたちによって倒されましたが、少年の一部がヒラニプラのシャンバラ教導団研究施設へ運び込まれていました。
後日、密林で少年が現れた無人遺跡が発見され、蒼空学園生徒で組まれた調査隊が向かったのですが、遺跡から現れたなぞの少年・少女たち(ドルグワント)の襲撃を受けてしまったのです。遺跡内部へ隠れた彼らを救出するため、救出隊が組織され現地へ向かいました。
彼らが密林でドルグワントと死闘を繰り広げるなか、シャンバラ教導団施設ではなぞの爆発事件が起こっていました。遺跡のスーパーコンピュータールドラは松原 タケシ(まつばら・たけし)の体をのっとり教導団へ侵入、アストーの石を取り戻すことに成功しました。
教導団は捕縛したタケシから敵の目的が北カナンの世界樹セフィロトにあることを聞き出します。
そして遺跡へ向かった者たちは、敵がセフィロトとリンクさせようと創りだした人工の神子・アストレースがミイラであることを知りました。
アストレースは5000年も前に死亡していたのです。
かつてこのダフマにいた科学者・アンリによってプログラミングされたルドラ。5000年を経て目覚めた彼は、狂っていたのでした……。
●遺跡(ダフマ)内部〜4階・『繭』
――ここは……
睡眠漕から当惑げに身を起こしたアストーは、きょろきょろと周囲を見渡しました。そしてすぐにそこが『繭』内であることに気付きます。
「目が覚めたか」
「ルドラ? まさか……目覚めたの!?」
そう口にして、初めて聞いた自分の声にハッとします。
「今の声……わたしの…?」
「今目を覚ましたのはきみの方だが」
たしかめるようにそっとのどに手をすべらせるアストーにルドラが皮肉げに笑ってそう言うと、入り口のドアが開いてドルグワント覚醒者の1人ティエン・シア(てぃえん・しあ)が入ってきました。
「ルドラさま」2人におじぎをして、報告を続けます。「先ほどダフマ内にもぐり込んでいた者どもの掃討を完了いたしました。すべて密林より外へ放り出してございます」
「早いな。やはりアエーシュマの方がやつらには有効ということか。あれで頭がおかしくなっていなければまだほかに使いようもあるんだが」
「アエーシュマですって!? 夫がいるんですか!?」
「待ちたまえ」
駆け出そうとしたアストーをルドラが制止しました。
「きみと彼を会わせるわけにはいかない。あれは狂っていて、人の判別がつかない状態だ。いかにきみでも八つ裂きにされてしまう」
「そうと知っているならなぜ治してくれなかったの!? わたしのこの声や足のようにすることだって――」
「無茶を言うな。このプロジェクト遂行のためにきみの修正データは用意されていたが、アエーシュマがああなることは想定されていなかった。そもそもやつを目覚めさせること自体想定外だ。実験終了後、ドゥルジともども廃棄処分になるはずだったのをきみがどうしてもと懇願するから残してやっていただけにすぎない」
肉体の不具合のほか、アストーを縛りつけるもう1つの鎖。それが睡眠漕に入れられた夫と息子でした。彼らのためにアストーは科学者たちの言いなりとなって、おそろしい実験にも応じていたのです。
「……息子は……ドゥルジはどこ…?」
「やつはそこだ」
ルドラはモニターの1つをオンにします。そこには隣室に設置されている睡眠漕が映っていました。なかには、5分の1ほどの量の石が入っています。
「今からカナンへ行く。鏖殺寺院の反乱が予想外に早かった。おかげでザリ博士もアストレースの手術を2年早めねばならなかったらしい。そんな状況だというのに、まさかきみが崩壊死寸前であんな場所に囚われていたりするとは思わなかった。おかげでよけいな手間をかけさせられてしまった。
だが準備はすべて整った。あとは国家神を失った世界樹セフィロトに女神アストレースをリンクさせるだけだ」
ルドラの言葉にアストーは困惑しました。それも当然でしょう、彼女はかつてここで何が起きたかを知っているのですから。鏖殺寺院の反乱が起きたのは5000年も前で、カナンにはもう国家神がいることも知っています。
「で、でも、アストレースはもう――」
「きみが務めをはたしたなら、ドゥルジを再結合してやろう」
「務め?」
「どうした? まだ目覚めきれていないのか? きみの力でカナンの防衛を破るんだ。きみはそのために生み出された、このダフマのコントローラーじゃないか」
ダフマ。それは科学者たちの拠点であり、アンリの生み出した最高傑作の1つです。これと同調し、完璧に操れるのはアストーただ1人。それ以外の者は例外なく起動と同時に崩壊死しました。だからこそ、ルドラはアストーを再結合させるべくヒラニプラのシャンバラ教導団まで彼女の石を取り返しに行ったのです。
「準備をしろ、アストー。もうドルグワントは定位置についている」
メインモニターには、遺跡の前に整列した、ヘッドセットを付けたタケシを先頭とするドルグワントの一団が映っていました。タケシの傍らにはミイラ化したアストレースを抱き上げたドルグワントもいます。
「いよいよだ。ついにこの時がきた。
アンリ、きみの果たせなかった夢を、必ずわたしがかなえてみせるからな…」
焼けつくような渇望の響きのこもったそのつぶやきに、アストーは、ああとすべてを悟りました。
(わたしにはアエーシュマとドゥルジがいた。でもルドラ……あなたにはもうだれもいないのね。アンリも、アストレースも。あなたを置き去りにして、いなくなってしまった…)
この地でただ1人。彼が目覚めたときの絶望はどれほど深かっただろう? そしてドゥルジを助けるためとはいえ、ダフマを動かして彼を目覚めさせてしまったのは、自分なのだ。
アストーはゆっくり階段を下りて、下のフロアへと歩を進めました。
「アストーさま」
そこにいたティエンに、アストーは微笑を浮かべます。すべてをあきらめたような、どこか悲しげな笑みでした。
「あなた、お名前は?」
「……ティエン・シアと申します」
「そう。ティエン。あなた、どことなく昔のあの子に似ているわ。
お願いがあるの。1度だけ「母さん」と呼んでくれない?」
そう言って、アストーはティエンをふわりと抱き締めました。
「……お母さん…」
「――ありがとう」
ティエンから離れたアストーを目指して、天井部から数十のラインがするすると伸びてきます。アストーの背面部にプラグが埋まっていくにつれて、ダフマがかつての輝きを取り戻していきました。
(ねえダフマ……ルドラ、アエーシュマ、そしてドゥルジ…。もう、これですべてを終わらせましょう)
「さあ、アストー! 開け! カナンへ通じる道を!!」
熱にうかされたようなルドラの歓喜の声が『繭』じゅうに響き渡りました。
●北カナン〜首都キシュ
よく晴れた日の午後。
世界樹セフィロトの木陰で小鳥やリスたちとたわむれているイナンナ・ワルプルギス(いなんな・わるぷるぎす)の元へ、とまどったような表情を浮かべた神官たちが歩み寄ってきました。
「イナンナさま、先ほど国境の神官兵たちから念話が届きました。なんでも、突然上空に黒い穴が出現したということです」
「え?」
イナンナは集中して国境へと意識を飛ばします。そこには彼らの言うとおり、黒い円形のものが浮かんでいました。光を一切通さない、まるで穴のような……。
いぶかしんでいると、突如そこから現れたレーザー光が国境の監視塔を貫き、一瞬で蒸発させました。続いて降りそそいだ光は次々と駐在する神官兵たちのいる宿舎や門などを破壊していきます。それはどう見ても何者かによる恣意的な攻撃でした。
「なんてことを!」
立ち上がった彼女の元へ、今度は血相を変えた女神官ニンフルサグが走り寄ります。
「イナンナさま! キシュ上空にも黒い穴が出現しました!!」
直後。
国境に降りそそいだレーザー光など比でない、まるで滝のような巨大な光を見て、イナンナは見えない何かを支えるように両腕を天へ向かって伸ばしました。
北カナン上空へ張られたイナンナの結界とレーザー光が拮抗します。それを見て、ニンフルサグが周りの神官に向かって叫びました。
「わたしたちの力をイナンナさまへお送りするのです!! 早く!!」
突然の出来事に神官たちは混乱しながらもその場にひざをつき、一心不乱に祈り始めました。
亀裂のような穴が、黒煙を上げるのみとなった国境近くの空間に出現します。
そこから現れたのは、骨と化した龍――死龍――に乗ったタケシと、ドルグワントの一団でした。その数、数百。なかには、ドルグワントに覚醒したパートナーたちの姿もありました。
「やれ、アストー」
ヘッドセットのマイクに向かってタケシがつぶやくと、上空の穴から黒い六角柱のような物が落ちてきて地に刺さります。
側面に入り口のようなものが開き、そこから顔のない操り人形(パペット)が続々と現れたと思うや、手にした剣を生き残りの神官兵に向かって振り下ろし始めたのでした……。
国境からもたらされる報告に女神官長は青ざめます。そして決意しました。
「イナンナさまやわたしたちは北カナンの上空に防御結界を張るだけで精一杯です。応援を乞いましょう」
担当マスターより
▼担当マスター
寺岡 志乃
▼マスターコメント
こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。
今回のシナリオは『Perfect DIVA-悪神の軍団-(第1回/全3回)』、『Perfect DIVA-悪神の軍団-(第2回/全3回)』の続きで第3回目となります。
また、『酷薄たる陥穽―蒼空学園編―(第1回/全2回)』、『酷薄たる陥穽-シラギ編-(第2回/全2回)』の流れを汲んでいますが、独立した話となっていますので前作を知らなくても問題なく参加することができます。よろしくお願いいたします。
第2回で2~4階にいた方たちはアエーシュマに発見され、全員密林より外へ放り出されています。(5階アストレース居住区にいた方たちは発見されていません)
また、タケシの身元照会によって第2回までの遺跡救出隊と教導団襲撃はリンクしました。第2回までに知り得た内容は全員共通となっています。
以上のことを踏まえた上でアクションがけをお願いします。
●遺跡について
アストーによってバリアが全面に張られています。これはとても強固なもので、1回目のときに張られていたものとは比べものになりません。また、遺跡外壁部にあいていた穴も修復されています。
ドルグワントは『繭』に数名いるだけで、各階にはいません。1~3階には操り人形(パペット)が徘徊していて、剣をふるってきます。数が非常に多く、少数であたると押し負ける可能性があります。
4階には以下の罠がこの順番であります。
・無限回廊……正しい通路は隠されていて、人の目を錯覚させます。ただ歩いているだけでは永遠にたどり着けません。
・毒ガスおよび毒針、高出力レーザー……探知レーザーが張られていて、これにひっかかると通路の両側からランダムにどれかが作動します。
・五柱守護神……通路の四方および中心にある柱を支える機晶姫です。グレートソードを手に、フェイタルリーパーの技を用いてきます。彼らを1体でも倒すと通路は支えを失って、遺跡は『繭』以外すべて崩壊します。彼らが柱を離れた瞬間から崩壊は始まります。できる限り早く彼らの動きを封じて柱へ戻す必要があります。
・アエーシュマ……最速・最強のドルグワントです。狂っていて敵味方の区別もつかない状態です。説得および精神系魔法は一切効果がありません。こぶし、エネルギー弾、バリアを用います。その威力、スピードはこれまでのドルグワントとはけた違いです。最低限、ゴッドスピード等速度アップを図るスキル・アイテムがないと、かなり厳しい戦いになるかと思われます。
●北カナンについて
タケシ、ドルグワント、ドルグワントに覚醒したLCたちが進攻しています。目的は世界樹セフィロトです。
ほかにも国境各地でパペットが暴れています。これは黒い六角柱ポットから現れていまして、ポット内には遺跡とつながる転送装置と彼らを操る電波受信装置があります。これを破壊しない限りパペットは供給され続けます。
北カナン神官軍がともに対処にあたります。彼らは神官(プリーストの能力を使い、メイス、ラウンドシールドを装備)と神官戦士(ナイトの能力を使い、ハルバードを装備)で構成されています。頼もしい味方ですが、イナンナとカナンを守るためなら覚醒したLCにも攻撃をします。
●ドルグワント化したLCについて
ルドラ、アストーに忠実な配下の者と化しています。彼らを護ること、そして彼らの命令は絶対と考えています。彼らの邪魔をする者は、たとえコントラクターであろうと排除しようとします。パートナーロストになる、という考えは彼らにはありません。ひたすらルドラたちを護り、その命令に従うことに意識が固定しています。MCのことは、全く記憶にないか、とるに足りない存在となっています。この設定は自由に決めてください。
スキル、アイテムは使用できます。反射速度や肉体の強度はLCのままです。思考が変化しただけと思ってください。
また、このシナリオ限定で、ドルグワント化している間だけは真空波とエネルギー弾とバリアが使えます。
ただし、バリアの強度、エネルギー弾の強さは真正ドルグワントほど強力ではありません。バリアは1種類の形にしか張れず、数度攻撃を受ければ砕けます。バリアを張っている間攻撃はできません。全身か盾型か書いておいてください。なければ盾型になります。
正気に返すことができた場合、それ以降この技は使えません。
また、精神ネットワークは構築されていませんので真正ドルグワントと意思疎通はできません。他の覚醒したLCとも会話はスキル使用か口頭になります。
ルドラから通達が出ているため真正ドルグワントから攻撃はされませんが、会話したり協力を頼むこともできません。
(ドルグワントが勝手にサポートする場合はあります)
●ドルグワントについて
タケシの周辺に数十名います。高速攻撃をし、エネルギー弾とバリアを使用します。バスタードソードを所持しています。
バリアは魔法・物理両方に効果があり、厚さを自在に変えることが可能で、小さくなればなるほど強力な攻撃を受け止めます。全身を覆う状態が最も薄い状態ですが、それでも中距離からの片手銃の弾丸は貫通しません。また、常に張り続けることはできず、エネルギー弾による攻撃の際は解除します。
基本的なことであれば自己判断して動きますが、自我はなく、会話はごくまれにルドラとしかしません。全員がテレパシーのような思念波でつながって常にフィードバックしており、全体を把握して敵に対処することが可能です。
彼らはロボットのようなものですから、精神系魔法は一切効果がありません。殺気も発していませんので感知系スキルにも引っかかりません。
●死龍について
全長20メートルの骨の龍(竜ではない)です。左の鉤爪に握られている龍珠が弱点です。これを切り離すか、なかにこもっている力を使い切れば崩壊します。
水龍で、飛空しており、上空から高圧力の水を槍のように飛ばしたり氷結系の魔法を用いて攻撃してきます。流動する水がバリアのように全身を防御しています。ただ飛び込んでもはじかれます。
●操り人形(パペット)について
身長170センチ前後の人形です。顔もなく、楕円と円だけでできた骨組のような体に剣と盾を握っています。体内に埋め込まれた装置で動いているだけなので精神系魔法はききません。殺気も放っていませんので探知系魔法にもひっかかりません。物理攻撃のみをします。強度はそれほどないのですが、とにかく数がたくさんいます。
●NPCの立ち位置について
タケシはアストレースを連れて北カナンへ進攻しています。ドルグワントの指揮官として命令を出し、攻撃してきます。また、自身もドルグワントの能力を使います。ただし反射速度や肉体的強度は人間のままです。
リーレンはタケシが精神崩壊したため、意識不明状態で蒼空学園に保護されています。
イナンナは世界樹セフィロトのある庭に面した礼拝室へ移り、そこで神官たちと防御結界を張り続けています。
ニンフルサグは礼拝室でほかの神官たちと一緒に祈り、イナンナへ力を送り続けています。
アストーは『繭』で遺跡防御と北カナン攻撃をしています。イナンナの力が崩れたら一気にキシュをグラビトン砲で破壊するつもりです。ただし、この攻撃を長時間続けていたら彼女の肉体がもたず、崩壊死します。
ドゥルジは『繭』の隣室で崩壊しています。
※彼らは必ずしも登場するとは限りません。アクションがかからなかった、あるいは展開上不必要と判断した場合は登場しないこともあります。
※カナンが舞台ですが、イナンナ、ニンフルサグ以外のカナンNPCは登場しません。させようとしても失敗となります。
注意点
1.アストーが人型になりましたので強振動は止まり、LCの体調不良は治っています。
2.今回から参加される方は、LCをドルグワント覚醒者にすることができます。覚醒後行方不明になっていたのをこの戦闘中に見つけた、ということになります。
3.第1回で石に浸食された方たちは、もう操られることはありません。これはアストーがそういうことをきらう性格だからです。石に浸食されていることに気付いても、彼女は何もしません。
4.ルドラを止めるにはプログラムを書き換えるか、破壊するかです。再プログラミングするにはテクノクラートの技術が必要です。
5.このシナリオはバリバリのシリアスバトルシナリオです。判定はいつも以上にシビアにいきます。できないものはできないし、結果として行動不能の大けがにつながる場合もあります。戦闘でコメった行動をするときには十分お気をつけください。
それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。
▼サンプルアクション
・遺跡で戦う
・アストーを説得する
・北カナンで戦う
・イナンナをサポートする
・パートナーを説得する
・タケシを助ける
▼予約受付締切日
(既に締切を迎えました)
2012年07月07日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2012年07月08日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2012年07月12日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2012年08月09日