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ナラカの黒き太陽 第三回 終焉

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ナラカの黒き太陽 第三回 終焉

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シナリオガイド

誰がために、その力はあるのか
シナリオ名:ナラカの黒き太陽 第三回 終焉 / 担当マスター: 篠原 まこと

「ナラカの太陽を、消す」
 それが、レモ・タシガン(れも・たしがん)の出した結論でした。

「どういうことだ」
 カールハインツ・ベッケンバウワー(かーるはいんつ・べっけんばうわー)が説明を求めます。
「僕とカルマの能力は、ナラカに浮かんだあの塊が持つエネルギーを、パラミタまで引っ張り上げること。同時に、その穢れを祓い、機晶エネルギーに似たものとして利用可能にできるってことなんだ」
「それはわかってるさ。で、奴らはお前たちを使って、穢れはそのままにしたまま、パラミタにそのエネルギーを大量に送り込んで破壊しようって魂胆なんだろ」
「それは、そうだよ」
 レモは頬杖をつき、テーブルの上に置いた紙に簡単な図を描きながら口を開きました。
「地下世界のこのエネルギーの塊を、一挙に地上に溢れさせれば、爆発に似たことになると思うよ。たぶん、タシガンは雲海に消えるし、パラミタ全体もほとんど吹っ飛ぶんじゃないかな。残ったところにしても、穢れが蔓延して、ナラカと同じようになるかもね」
「…………」
 さらりと説明してみせるのは、それだけの覚悟があるからなのだと、カールハインツには伝わっていました。なので、口に挟むことなく、レモの言葉を待ちます。
「もちろん、僕とカルマはそうしないし、させない。その時点でこの計画はある程度頓挫するけど、いずれ似たようなものをソウルアベレイターは考え出すと思う。だったら、いっそ……あのエネルギーを吸い上げて、無力化させてしまいたいんだ」
「できるのか?」
「理論上は可能なはずなんだよ。カルマと僕とでエネルギーを吸い上げて、無害な形で放出させ続ける。あの太陽だって、エネルギーは有限だ。いつかは消えるはずだよ。……ただ、そのためにどれくらい時間がかかるかはわからないし、……もしも途中で暴走したら、爆発するかもしれないね」
「その力を、なにかに使うことはできないのか?」
「……できないとは言わない。でも、僕はしたくない」
 レモはそう、首を振りました。
「ジェイダス様が探し続けていたものなのはわかってる。……もっといい利用方法もあるかもしれないとも、思う。だけど僕は、もともとこの力は、パラミタにあってはいけないものだったと思ってる」
 ウゲンがどういうつもりでこの装置を作ったのか、今となっては誰にもわからないことです。
 ただ、レモは覚えていました。
「おもちゃなんだって、言ってたよ」
「おもちゃ……?」
「ウゲンがね。――装置は使い方次第で、良いものにも悪いものにもなる。僕はそれを置いて行くから、果たしてそれを人がどう使うのか、僕はただ面白く見物するだけさ、って」
 いかにもウゲンらしい発言に、不快げにカールハインツは眉をひそめました。
「悪魔の置き土産を、うまく使おうとしても、どこかに罠があるよ。きっと」
 自嘲まじりに、レモはそう言いました。自分自身もまた、その悪魔の置き土産なのだと、そう言いたげに。だから、カールハインツは。
「……まぁ、ひとつは良い土産だったけどな」
「なにが」
「お前だよ」
 そう言うと、真剣にレモを見つめました。
「……ありがとう、カール」
 少し照れたように、レモははにかんで笑ったのでした。それに。
「問題は、共工様にどうお願いするかだよね。たぶん彼女も、それなりに考えがあって僕を呼んだんだと思うから。それに、ルドルフ校長にもちゃんと伝えたいし、カルマにも直接、早く会いたいしね……」
 今はまだ、カールハインツもレモも、タングートの珊瑚城にとどまったままです。
 果たして三人にどう伝えるべきかは、レモはまだ悩んでいました。
 そしてカールハインツも、レモに尋ねることができませんでした。
 ……ナラカの太陽というエネルギー源をなくした後、レモとカルマは、果たしてどうなるのか、ということを。


「ソウルアベレイターのところに行きます」
 花魄の出した結論に、料理人仲間たちは一様に驚きました。
「どうして? せっかく、紅華飯店も軌道にのってきたところなのに」
「でもそれは、私だけの力じゃありませんし。私……教えてもらったんです。私にも、なにかできるってことを」
 そう言うと、花魄はぎゅっと震える両手を握りしめました。
「怖いけど、でも、私、店長を助けに行きます!!」
 彼女は強い決意を抱いている様子です。しかし。
「でも、どうやって?」
「……それは、えっと……これから考えます……」
 どうにもまだ、やる気が空回りしている様子です。


「どうすんの? ねぇ、どうすんのよぉ〜〜!!!」
 ニヤンはじたばたと暴れながら、ドレスの裾を跳ねさせました。
「うるさいわね」
 ぼそりと呟くラー・シャイに、「あんたも失敗したんじゃない! 料理人には逃げ出されるし!」とニヤンはくってかかります。
「まぁまぁ……というか、貴方まだあんな趣味続けてらしたの?」
 ナダが二人をなだめ、「もう、奥の手を使うしかないんじゃないかしらん?」と提案しました。
「……たしかに、もうこうなったら、それしかないかもね」
「奥の手?」
「あの太陽そのものを、浮上させるのよ」
「え。で、できるの??」
「なるべくなら、そりゃやりたくないわよ。疲れるし。けど、こっちも全力でかからなきゃしょうがないでしょ」
 ラー・シャイが巨体を揺らしてため息をつきました。
「あの装置があれば、それも楽でしたのにね。正直、残念ですわぁ」
 そう嘆きつつも、ナダは酷薄な笑みを浮かべました。
「全て、あの太陽の養分になっていただきましょうよ」
 三人はそれから、実際の作戦についての話し合いを始めるのでした……。


 ナラカの中空に浮かぶ巨大な黒い塊は、ただ、不気味に沈黙をし続けています。
 そのエネルギーをめぐる、最後の決断が、いよいよ下されようとしていたのでした。


担当マスターより

▼担当マスター

篠原 まこと

▼マスターコメント

 いよいよ、最終回です。
 現状の補足です。
1)タングートの都は復旧作業中です。
2)カルマはルドルフが保護し、レモが住んでいた部屋で暮らしています。
3)ソウルアベレイターたちがタシガンにあけたゲートは今も不完全な封印のままです。
4)店長はナラカからの脱出を試み、前回ラー・シャイがゲートの封印を破壊したときに、密かにタシガンへと逃げ出しています。ただ、その後の行方はわかりません。タシガンの民が、ちらほら白黒の獣を見たと噂しているようです。

その他のNPCに関しては、マスターページをご参照ください。

 ソウルアベレイターたちの作戦としては
・ニヤンはタシガンを攻めます。ゲートをさらにタシガン市街にまで広げ、一般人を巻き込もうとしています。ルドルフがその防衛に当たります。
・ナダとラー・シャイはナラカの太陽そのものをナラカから上の世界へと押し上げていこうとしています。イメージとしては、ブラックホールがあがってくるような感じです。成功すればタングートは消滅、タシガンとその周辺地域もすべて巨大な穴があき、消え去ります。しかし、途中でレモの作戦に気づけば、直接レモたちを攻撃してくるかもしれません。


 今回、最後ということで、特例として「ナラカの太陽という巨大なエネルギーの塊をどうするのが一番良いと思うのか」については、アクションに書いていただくこともできます。その意見はルドルフが集め、手紙としてレモに渡されることになります。ダブルアクションとはいたしませんが、あくまで「手紙」ですので、レモとのやりとりは描かれません。ご了承ください。
(【レモと装置について話す】というアクションのときは、きちんと描写いたします)

以下、ご注意です。

・ダブルアクションはご遠慮ください。「共工と話し合ってから、レモと一緒にタシガンに戻り、レモの護衛をする」などはダブルアクションになります。必ずひとつの行動で、アプローチをお願いします。
・このシナリオでは、同性愛描写がある場合があります。ご了承ください。


▼サンプルアクション

・タシガンを守る

・共工を説得する

・店長を探す

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年07月20日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月21日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月25日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年08月09日


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