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Welcome.new life town 2―Soul side―

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シナリオガイド

甘すぎる男と謎の少女。――8月11日は始まりの日。
シナリオ名:Welcome.new life town 2―Soul side― / 担当マスター: 沢樹一海

「わ、私も行くんですか?」

 ツァンダの住宅街で前を行くファーシー・ラドレクト(ふぁーしー・らどれくと)を追いかけながら、アクア・ベリル(あくあ・べりる)は戸惑いを含んだ声で言いました。今日は、とある事情で空京に入院していたラス・リージュン(らす・りーじゅん)が退院する日です。ファーシーは彼を迎えに行くつもりらしいのですが、そのとある事情に浅からず関わっているアクアとしては行き辛いことこの上ありません。入院して間もない頃に一度行ってはいるのですが、いいから帰れと言われて即退室してそれっきりです。
 どんな顔をして訪問すればいいのかなど、もう解らず。
 どんな態度を取ればいいのかはもっと解らず。
 そんな諸々を知らないファーシーは、どこへ行くにも一度は渋るアクアのこと、いつも通りと気にしません。
「そのつもりだけど……あ、それとも何か予定あるとか?」
「そ、それは、別にありませんが……」
 明るく尋ねてくる声に、アクアは消極的に答えます。ですが視線を逃がし、ベビーカーの中のイディア・S・ラドレクトと目が合って、そこで、彼女は閃きました。
 今日は、無目的にツァンダに来たのではありません。明確な理由があっての訪問であり、彼女のハンドバッグには小さな紙袋が仕舞われています。
 袋の中身を脳裏に思い描きながら、アクアはファーシーに言いました。
「わ、私にはありませんが貴女達には在るでしょう! 今日は、その子供の誕生日なのではありませんか?」
 そう。今日はイディアの誕生日です。何度目かではなく、生まれてから1年が経った――初めてともいえる誕生日。薬臭い場所になど行っている場合ではありません。
「うん。だから、この子の誕生祝いも一緒にやろうかなって」
 ですが、ファーシーはけろりとそう即答しました。当然ながら、先刻承知であったようです。
「一緒に……。病院……いえ、空京でですか? あ、貴女はそれで良いんですか……?」
「? ばぶ」
 何が? というようにきょとんとして、イディアはアクアを見上げます。特に異存は無いらしい最後の希望に溜息を吐いて、彼女はバッグから紙袋を取り出しました。中には白いコサージュが入っています。
「……プレゼントです。多分似合うと思いますよ」
「良かったわね、イディア。……あれ?」
 娘に微笑みかけていたファーシーは、ふとベビーカーを押す手を止めました。処はラスとピノ・リージュン(ぴの・りーじゅん)の住むマンションの前。彼女の目の先、エントランス正面を陣取るようにして、小型飛空艇らしきものに乗った少女が建物を見上げて困った顔をしています。ピノよりも更に幼い――小学校低学年位の見目でしょうか。紫陽花の色に近い、多少グラデーションのかかった紫の髪を頭の両脇で縛っていて、長さが短い所為かそれぞれの髪束は何となく猫の耳を思わせます。その彼女は、1人でどこかから聞こえる少年の声と話をしていたのです。ですが、男の子らしき姿はどこにも見えません。
「うーん、どうしようか、ミンツくん」
「いないもんはしょうがねーだろ? 帰ってくるのを待つ……ってもいつになるかわからんし、とりあえずイルミンの方に行くか?」
「そうだね、それでダメならヒラニプラに行って……そこで泊めてもらおうか」
 ミンツという名前の少年の姿は、やっぱり見つけられません。
 何とも妙な状況に不思議そうな表情を浮かべながら、ファーシーは少女に声を掛けます。
「ねえ、どうしたの? それに、今の男の子の声って……」
「え? あ、ま……!」
 振り向いた少女はファーシー達を見て束の間絶句し、慌てたように飛空艇の中でばたばたとしました。「イルミンは中止だな」という少年の呟きが聞こえる中、彼女は焦った様子で説明します。
「あ、えっと、ま、ま……迷子っていうか……ここに住んでる人達に会いに来たんですけど、いないみたいで……それで、別の知り合いのお家に行こうかって話していたんです。だ、大丈夫なので……」
 言い訳めいた口調でそう言ってから、少女は一瞬泣きそうな顔になりました。それから、ぐっ、と表情に力を込めてからファーシー達に聞きます。
「あ、あの、ここにラス・リージュンとピノ・リージュンっていう兄妹が住んでると思うんですけど、2人がどこに行ったか知りませんか?」
「? あ、2人の友達? 2人はね……」

「ここが、空京か」
 同日、ラスの父親であるサトリ・リージュンは新幹線を降りて外に出ると、迎えに来たシグ・シアルに及び腰で何かを伺うように訊ねました。シグはサトリが地球で家族4人、平凡に過ごしていた頃からの付き合いです。隣の家に住んでいて、歳は離れていますが彼とサトリは馬が合ってすぐに友人になりました。子供達の相手もよくしてもらっていた、気の置けない相手です。
 その彼からラスが入院したと聞いて、こうして飛んで(上って)来たのですが――
「……ほ、本当にリンは来てないんだよな?」
「安心していい。彼女に今回の事は伝えてない」
 前を向いたまま、シグはそう答えました。空京の病院にはピノもいます。パートナー化の影響として一時は意識不明になったピノでしたが、今は回復してすっかり元気を取り戻しています。
 ラスの母親であるリンを呼べば必然的にピノと鉢合うことになります。娘の死を受け入れられていない彼女がその状況に遭遇した時、誰にとってもいい結果にはならないことは目に見えています。
 今はその時期ではない、とシグはそう考えていました。
 ですが、サトリの方は――
「そ、そうか……。って、安心してる場合じゃない。ラスは大丈夫なのか?」
「今日が退院だと言っただろう。一応連絡だけ、と思ったんだが……まさか仕事をキャンセルしてすっとんでくるとは思わなかったよ」
「当たり前だ。ラスは俺の大事な息子だからな」
 ――サトリの方は現実を正しく認識し、『人』を『人』として見ることができる男です。少々臆病で問題から逃げる癖はありますが、一通りの事情説明はしてありますしピノと会わせても大丈夫でしょう。

「え、ええっ!? 入院!? ピノさんがですか!?」
 話を聞いた途端、少女は飛び上がらんばかりの反応をしました。若干、青ざめているようにも見えます。
「ううん。入院したのはラスの方だけど。ピノちゃんは元気よ」
「あ、そうですか……」
 少女はほっと息を吐くと、胸の前で両拳を握って強い瞳でファーシー達に言いました。
「と、とにかく、2人とも病院にいるんですね! 私も行きます。一緒に行ってもいいですか?」
「うん、いいわよ。あ、ところで……」
 ファーシーが首を傾げた意味が分かったのか、「そ、そうですね」と少女はまた慌てたように視線を彷徨わせ、それからこう名乗りました。
「え、えーと、私、フィアレフト・キャッツ・デルライドっていいますっ! フィー……とかフィアって呼んでください!」
「フィー?」
 その自己紹介に、ファーシーはイディアを見下ろします。フィアレフトは更に続けてこう言いました。
「はい! あ、あとこの飛空艇はミンツくんっていいます! よろしくお願いします!」
「よろしくな! ま、ぼちぼち仲良くやろうぜ!」
「え? じゃあ、さっきの男の子の声って……」
 見開いた目をぱちぱち瞬かせるファーシーの隣で、アクアも驚愕と共にミンツを見詰めました。会話機能の付いた飛空艇の存在など、ついぞ聞いたことがありません。
(小型飛空艇が喋っている……!? こんな物を持っているなんて、彼女、何者なんでしょうか……?)

担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

※本シナリオのリアクション公開は下記表示とは異なり10月23日を予定しております。あらかじめご了承ください。※

非契約者である普通の地球人をパラミタ各地に招待し、契約者達の生活風景を見てもらおう。というテーマのシナリオ……(?)のテーマがほぼ消失しているストーリーバージョンです。

参加制限はありません。フリーバージョンにご参加いただいた場合でも、問題なく参加可能です。

シナリオ内の日付は2023年8月11日となります。イコール、イディアの誕生日もこの日です。夏祭りシナリオから慌てて逆算して決めた正式日です(笑)
舞台は空京。
物語進行順としてはシグとサトリが待ち合わせ、ツァンダの病院でNPC全員集合→空京のどこか(ファーシーはノープラン。多分、どこかの閑古鳥が鳴いているレストラン)で誕生祝い、となる予定になっています。


●ゲストキャラクター及び新キャラクタープロフィール●

・サトリ・リージュン
リージュン家に婿養子に入った日本人。結婚前の名前は「砂糖 覚」。実家は沖縄のサトウキビ農家。婿を選んだ理由は読みは平凡なのに字面は全く平凡ではない名字から逃れたかったから。彼の旧姓を知る者からは「さ↓と↑う↓」さん。旧姓を知らない者からは「サトさん」と呼ばれる。新名字との語感からか「リ」を忘れられる(省かれる)ことが多い為、「サトリさん」と呼ばれると喜ぶ。
基本的に、へたれ。息子&娘LOVE。子離れは全く出来ていない。
妻も変わらず愛しているが、変貌してしまった彼女と同居していた当時に自我が崩壊しかけて逃亡。シグを通して生活費だけは振り込んでいるが、会いに行く勇気は無いらしい。つまりへたれ(しかしやる時は(?)やる。一目ぼれしたリンにストーカーまがいの猛アタックをかけて恋人となった)。
見た目はラスを20歳くらい老けさせた感じ。現在は実家でサトウキビを育てたりサトウキビ営業をしたりして生活している。ガイド当日は、サトウキビ会議をキャンセルしてパラミタに来訪した。
(リンについてはマスターページを御覧下さい)

・フィアレフト・キャッツ・デルライド
綴りは「FIAREFT・CATS・DERLIED」。喋る小型飛空艇、ミンツと一緒に“どこかから”パラミタに来訪。ミンツには各種小型飛空艇の機能が全て組み込まれていて、自律飛行も可能。未使用時には変形して犬型になる。実はこちらの犬型が大元で、飛空艇に改造される前は機晶ドッグだった。
彼女の言葉は確かな真実であり、同時に完全な真実とは言えない。

また、こちらのシナリオでは地球人追加は必須ではありません。
ただ、不可というわけでもなく、追加自体は可能なので一応下記にルールを載せておきます。


※特殊ルール※
LC枠1つにつき1人分、普通の地球人を追加することが出来ます(LCを追加した分、複数人可能です)。

LCの欄には必須項目として
「名前」
「MCとの関係」
「性別、外見性別」
「性格」
「年齢」
「髪色、髪型、簡単な容姿」
を記入してください。後半部分は描写する為というよりは私がイメージする為のものとなりますが、ご協力よろしくお願いします。
上記の必須項目の下に、地球人のアクションをお書きください。

こちらのシナリオは主舞台が「空京」になっている為、アイテム「小型結界装置」は必要ありません。LC枠の追加のみお願いいたします

◎MCを地球人枠とする事も可能です◎

この場合、MC枠に描写してほしいLCのアクションを。
そのLC枠に地球人のアクションをお書きください。
それぞれの1行目には、そのアクション欄が“誰用”なのか明記をお願いします。
(描写対象LCがMC扱いになるという事です。MCとLCでは文字数に違いがありますので、少々ややこしくはなりますがよろしくお願いします)
注:MCの欄に地球人のアクションを書くのは不可といたします。

地球人枠として使用した場合、リアクション中にそのMCLCは登場しません。

※NPCについて※

<公式NPCについて>

このシナリオでは、公式NPCを誘う事が可能です。公式NPCについてはこちらを参照ください。

公式NPC1人につき、LC1枠をご使用ください。

・NPC枠となるLCの欄には「○○を誘います」とお書きください。
 基本的には、この一文のみで問題ありません。
(個別で公式NPCを登場させる場合は、どうしても描写量が多くなる為の措置となります。ご了承ください)
 NPCのアクション=行動 を書いてしまうと、確定ロールになってしまいますのでご注意ください。

・公式NPCとの関係称号は必須ではありませんが、なるべくセットしてご参加ください。関係称号が無い場合は、アクション失敗の可能性もあります。

また、公式NPCであっても、『すぐに来ることの出来ない場所にいる』NPCは呼び出せません。

以上になります。それでは、よろしくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・サトリと初対面する。

・イディアの誕生日を祝う

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2013年09月19日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月20日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月24日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年10月31日


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