嘆きの邂逅~悲喜の追録~ リアクション公開中! |
シナリオガイド忘れ物を取りにいこう。大切な人を、迎えに行こう。
シナリオ名:嘆きの邂逅~悲喜の追録~ / 担当マスター:
川岸満里亜
○ ○ ○ 「優子さん……優子さん……優子、さん……」 自分の名前を呼びながら、泣いている少女に、神楽崎優子は手を伸ばしました。 彼女の衣服はボロボロで、小さな体は傷だらけでした。 彼女を癒したいと思うのに、優子は少女の体に触れることが出来ませんでした。 「……すまない。だけど、何も悲しむことはない。シャンバラは建国された。キミが戻って来た時には、平和が訪れているはずだから」 必ず迎えに行くよと、少女に優子は語りかけます。 「違う……違う……っ」 闇の中に溶けるように、少女の体は薄れていきます。 「私は、悲しくはないんです。皆をこうして守ることができて、優子さんを皆のところに返すこともできて。傍にいてくれる人もいて……。だから、これは私の気持ちじゃないんです」 彼女の――アレナの目からは大粒の涙がとめどもなく溢れていきます。 「これは、優子さんの気持ち。心の奥に固く封印してある感情。自覚のない、あなたの心――」 アレナが優子に手を伸ばします。 だけれど、アレナの手も、優子に触れることはできませんでした。 「優子さんの傍にいたい、です。見ているだけじゃなくて、ちゃんと力になりたいです。一緒に護りたい、です。私達の世界のために戦ってくれている人達を――」 ぽたぽた、涙をこぼしながら、アレナは声を絞り出します。 「あなたを、まもりたい、です」 その言葉を最後に、彼女の声も体も、闇の中に溶けてしまいました。 闇の中に一人、優子は佇み続けます……。 腕時計のアラームの音で、神楽崎優子は仮眠から目覚めました。 (……最近、同じ夢ばかり見ている気がする。アレナの、夢……) 額に手を当てて、目を閉じ考え込みますが、夢の内容を思い出すことは出来ません。 ただ、泣いているアレナの姿だけが、脳裏に残っていました。 「神楽崎いるかー!」 突如、優子の私室に男性が入ってきました。――パートナーのゼスタです。 「鍵、かってあったと思うが?」 ガウンを羽織り、剣を持って優子は起き上がりました。 「合鍵持ってるに決まってるだろ。ここは俺の部屋でもあるからな」 ここはロイヤルガード隊長に就任した時に与えられた、優子とパートナーの私室です。 「一人じゃ広すぎるだろ? 俺もたまにはここで寝泊りするか」 しかし、ゼスタはこれまで一度も、ここを利用することはありませんでした。 「タシガンに立派な私邸をいくつも持ってるんだろ、キミは」 優子は鏡台へ向かい、乱れた髪を梳かします。 「なんか機嫌悪いな……。ところで優子チャン、週末の予定は?」 ゼスタはにっこり微笑みを浮かべます。 彼はとても機嫌が良いようです。 「これから空京で警備体制についての会議だ。週明けには戻る」 「ふーん。なるべく早く戻ってきた方がいいと思うぜ? プレゼントがあるんだ」 「貰う理由はない。遠慮するよ」 優子は大きくため息をつきました。ゼスタからのプレゼントは微妙なものが多いのです。 「俺からってわけじゃないし、期待していいと思うぜ? とにかく早く帰ってこい。予定、キャンセルできるのなら、しちまえよ」 ゼスタの言葉に、優子はいぶかしげに眉を寄せました。 「何かあったら、すぐ連絡しろよな。俺達はどこにいても、繋がってるんだから」 携帯電話を手に、ゼスタは楽しげに笑いました。 「…………」 優子はブラシを鏡台に置いて、ポーチを手に取りました。 (離れていても、パートナーとはどこか繋がっている。そして離宮は封印されている間も、僅かに時間が流れていた。……アレナも、夢を見ているのだろうか。同じ、夢を……) それから充電していた携帯電話を手に取って、少しの間眺めた後、ポーチの中に入れました。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こちらのシナリオは去年夏に完結をした、「嘆きの邂逅」の離宮、アレナ・ミセファヌス関連のお話です。 ▼サンプルアクション ・後片付けをする ・アレナを迎えに行く ・遺体を運び出す ・優子の傍にいる ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2011年01月24日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年01月25日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年01月29日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年02月16日 |
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