天御柱学院

　青く果てない空と太陽の下。
　風に吹かれた白砂が、キラキラと輝く波を砂漠に描いていました。
「……ぅむ」
　白い砂漠を眺めながら、老人は深く唸りました。
「どうしたか？　ジジイ」
　問答無用にジジイ呼ばわりされて、老人が苦々しく後ろを振り返ると、女が立っていました。
　日に焼けた肌をしたスレンダーな女です。
「集まりが少ない……これでは精霊を上手く鎮められるかどうか……
　そいつはともかく、ジジイっつーなと何度言えば伝わるかこのハリガネ娘」
「昔と変わった。私たちのよな旅暮らしが減る減る当然――
　でも、大丈夫。準備できれば人来る。旅ない人たち一杯来る。
　そのためチラシ撒いた。ポスターも貼った。クソジジイ心配すること何もないな」
　女は白い歯を覗かせて笑い、白砂の砂漠の上にステージやテントを作る人々へと視線を巡らせました。
　ふぅむ、とやはり難しげに息を洩らした老人。
　と。
「長老ー」
　老人を、また呼ぶ声がします。
　そうして、彼らの方へと浅黒い肌をした男が駆け寄ってきました。
「警備の人員追加依頼の件なんですが……」
「どうした？」
「ちゃんと依頼申請しといてくれました？　長老」
「……わしゃ、知らんけど……？」
「……は？」
　風が吹き、白い砂をキラキラと運んで行きます。
「長老ー！」
　また、もう一方から老人を呼ぶ声と駆け寄ってくる人物。
「まずいです……どうも、武装スリ集団ってのが今回の儀に集まる客を狙っているという情報が――」
　ついでにもう一人。
「長老ー。すごい話ききましたよー。あ、でも噂の噂なんですけどぉ、ある芸能プロダクションが――」
「長老ッ！！　あなたが任せておけっていうから――」
「どうします？　まずいですよ、これ、まずいですよ、だってスリだけならまだしも武装って――」
「んだぁあああ、もうッ、うっさいわーーーい！！」
「あ、長老が逃げた」
「ちぃい、唾を吐きかけて隙を誘うなんて、なんて大人げないんだ！」

　◇

『チェイアチェレンにおいでませ！！
　あなたもとびっきりのエンターティナーになってみませんか？』
　〜空京に貼られていたポスターより〜

　◇

　シャンバラ大荒野の西の一角に、白い砂の砂漠があります。
　パラミタを放浪しているジプシー達は、ある周期ごとに白い砂漠へ集まり、
　会場を作り、そこで様々な芸や劇、歌や踊りを披露します。
　それはチェイアチェレンと呼ばれています。
　参加資格などは特に無く、
　設けられた会場では誰でも好きな場所で好きな芸を披露することができます。
　そのため、開催のたびに参加目的や観覧目的の人々が多く集まり、会場の周りには沢山の露店が並びます。
　
　チェイアチェレンを主催しているヨマの民は、
　これは土地の精霊を鎮める儀式のために必要なイベントだといいます。
　眠りの浅くなった精霊の上に『楽しい』を満たすことにより、良い夢を見てもらい、
　また静かな眠りについてもらうのが目的なのだそうです。

　その日は昼から会場の各所に篝火（かがりび）が焚かれます。
　そして中央には一際大きな火が焚かれ、土地神を鎮めるための儀式が、
　ヨマの老人らと踊り手によって執り行われます。

　さて。
　今回のチェイアチェレンに関しては、他に以下の情報があります。

■披露する芸について
　基本的にどんなものでもＯＫです。
　芸に必要な小道具・大道具があれば、ヨマの民が貸してくれます。
　物によっては準備できない場合もありますが、意外な物が貸し出し可能だったりするようです。

■武装スリ集団が出没？
　パラミタ各所で暴れている最近話題の武装スリ集団が、
　チェイアチェレンに集まる客を狙っているとの噂があります。
　抵抗や逃亡の際にナイフや銃を使う厄介な連中だという話です。

■警備、急募
　最近、この砂漠では白い金属的な甲殻を持ったモンスターが多く目撃されています。
　それらはシュタルと呼ばれています。
　大人の人間ほどの大きさのコガネムシに似た形のモンスターで、なかなか俊敏です。
　砂中に身を潜めたり、低空ながら空を飛んで、長い刃のような前足で攻撃してきます。

　シュタルたちから会場を守るための警備が不足しているため、
　会場周辺の警備にあたってくれる者を募集しています。
　志願した場合、ヨマの青年たちと西側の警備にあたることになります。

■噂の噂
　大手の芸能プロダクションのスカウトマンがお忍びでやってくる……かもしれない、という噂です。

　いわゆる一つのお祭りシナリオです。
　わいわい楽しんで頂けたら、と思います。


■初めてアクションを書く、という人向けのアドバイス■
　まずは、マニュアルの『マスターシナリオ』内にある――『アクションについて』、『アクション投稿フォーム』、『悪いアクションの例』の三項目と、マニュアルの『マスターシナリオ講座』をご覧ください。

●パフォーマンスを行いたい場合
　著作権に引っかかるような言葉はリアクションに反映できません。
　曲名や歌詞、人物名などに気をつけましょう。

●イベントを観客として楽しみたい場合
　様々な芸事が行われていますし、周囲には飲食物を売る露店もあります。
　自分のキャラクターたちがこんなイベントに行ったら……を存分に妄想してみましょう。
　相談掲示板を覗けば、誰がどんな事をやるのかが分かるかも。

●警備につく場合
　モンスターとの戦闘が主になります。
　装備しているスキルに無い効果を持つ技は、リアクションに反映されないので注意しましょう。
　同様に、装備していない武器は使用できません。

●武装スリ集団を捕まえたい場合
　初めてだと成功させるのは少し難しいかもしれません。
　色々な事をやりたくなってしまうと思いますが、
　ダブルアクションにならないよう気をつけましょう。

●上記以外の行動
　もちろんOKです。
　思いつく事があれば、アクション作成の注意事項に気をつけながら、
　そのためのアクションを練ってみましょう。


■サンプルアクションについて
　アクションが未提出のまま提出期限を過ぎてしまうと、
　リアクションへの描写が一切行われません。（名前すら出てきません）
　アクション提出期間に入ったら、
　サンプルアクションを自分のキャラ用に弄るなりして、
　とりあえず簡単なアクションを提出しておくことをお勧めします。
　その後で、じっくり考えたアクションを改めて提出するようにしましょう。

・イベントを楽しみたい

・モンスターから皆を守る！

・僕こそがエンタメキングだ！