天御柱学院

　紅葉シーズン。
　それは、芦原島の山中にある温泉旅館風船屋（ふうせんや）にとって一番の稼ぎ時でした。

　しかし……、

「女将さん……すいません」
「うっ……おぬしもか」

　風船屋の女将音々（ねね）は、今しがた受け取ったばかりの辞表に、心底からの嘆息をこぼしました。
　彼女は１０代前半の黒髪の小柄な少女ですが、その悲哀に満ちた落胆ぶりには深い哀愁がありました。
　
　最近、宿の周りに凶暴なモンスターが出現するようになり、
　身の危険を感じた従業員たちが次々に辞めてしまっているのです。

　そんな状態ですから、もうそろそろ紅葉が始まる時期だというのに、お客さんの予約も減っていく一方で……、
　音々は困り果てていました。

「やっぱり、ウチの力では、やってかれへんのじゃろうか……？」

　実は、空京に本社を構えるリゾート開発会社から旅館買収の申し出があり、
　このままでは、その話に乗って旅館と温泉を売り払うしかありません。
　
「けど、ウチの代で風船屋を人に渡したとなれば、亡くなった先代女将――お母はんに申し訳が立たへん。
　なんとかしやな。……しかしのぅ。
　この週末も赤字やったら、もう、風船屋を売却するしか……」
「女将さん」

　いつもは無口な板前の源さんが、スッと一冊の雑誌を音々の前へと差し出しました。

「これは……パラミタ在住の地球人向け雑誌？」
「ここに求人と広告を出しやしょう。
　従業員もお客もコントラクターだったら、モンスターを怖がるなんてこたぁ少ないでしょう。
　コントラクターが従業員であるというのは宿の売りにもなります。
　それに、もしかしたら、モンスターの問題を解決してくれる方が居るかもしれない」
「なるほど、その手じゃ！」

　音々は早速、雑誌に求人と広告の掲載をお願いしたのでした。


　＝　＝　＝

＜アルバイト求人ページより抜粋＞
　週末、風船屋で働いてみませんか？
　三食＋寝泊まり＋温泉露天風呂付き　コントラクター優遇。
　初心者でも大歓迎！

※宿周辺にモンスターが出没します。
　モンスター退治の経験がある方もお待ちしております。


＜広告ページより抜粋＞
　風船屋においでませ！
　宿周辺でモンスター出没中につき、今度の週末はコントラクターの方のみに大出血サービスな料金プランを実施！
　今だけのお得な料金プランで、紅葉を眺めながらの温泉露天風呂を楽しんでみませんか？

はじめまして、ミシマナオミです。
みなさまに楽しんでいただけるよう、精一杯がんばります。どうぞよろしくお願いします！

このシナリオは、学校の所属関係なくご参加いただけます。

なぜか突如、周りに現れるようになったモンスターに悩む宿を繁盛させるも、潰してしまうも、みなさま次第。
腕自慢のモンスター退治志願者も、週末にせっせと稼ぎたいアルバイト希望も、まったりと温泉旅行を楽しみたいお客様も……、
とにかく、風船屋のために一肌脱いでくださる方、急募です！

■出没するモンスターについて
凶暴なパラミタ猪、凶暴なパラミタ虎、凶暴なパラミタ熊などが周辺をうろついています。

・客の平和を守る！

・バイトやりまーす

・のんびり楽しみたい

・散策しようかな