天御柱学院

　白百合のごとく輝かしいオーラを放つ、女性だけが生活する百合園女学院。
　その金銀で作られた豪華な門の前に、ポツンと立っている少年がいました。


　少年の名前は、ドン。
　「ゆる族」という種族に生まれた彼は、見た目はうさぎにしか見えず、とても愛らしいと評判です。

　……けれど、ドンの様子はとても寂しそうです。



　「ご主人さまぁ……早く帰ってきてくださいねぇ……」



　ドンのご主人の名前は、佐東　彗兎(さとう・すいーと)という、薄桃色の髪の毛とくりんとした瞳が可愛い美少女です。

　彗兎は本入学する学校を決めかねていて、女の子同士でなら生活に抵抗が少ないだろうと言うことで、
　体験入学の手始めに百合園女学院へやってきたのでした。


　ところが、パートナーとはいえ男の子であるドンは、百合園女学院の門をくぐることを認めてもらえませんでした。　
　彗兎も、まさかドンと一緒に学校へは入れない事態になるとは思わなかったのか、信じらない表情でした。



　数分前、涙も枯れるかと言うほど泣きじゃくるも、とうとう彗兎とドンは離れ離れになってしまったのです。



　ドンは、数分前に女学院の中へと入っていってしまった主人の彗兎を恋しがり、小一時間は門の前に立ち尽くしています。
　生まれてからずっと主人と一緒に生活していたドンにとって、いまは、離れる前に彗兎に言われた言葉だけが絶対でした。




　――イルミンスール魔法学校で待っててね。あの学校の校長先生はとっても若いから、きっと可愛いあなたを快く滞在させてくれるはずよ――





　その言葉を支えに、ドンはこぼれそうになる涙と鼻水を拭きます。

　そしてすがる気持ちで、いぜん彗兎とよく遊んだイルミンスール魔法学校の森の集会所へ向かいました。

　
　お久しぶりです。
　そして初めまして、さくら　まうと申します。
　日常的な題材を扱ったシナリオ第３弾目をお送りいたします。

　ストーリーのジャンルはコメディとなっております。
　初挑戦のジャンルなので、くすりと笑っていただけるお話が書ければ幸いです。



　今回のお話のメインは、少女・佐東　彗兎……ではなく、パートナーでゆる族の少年ドンくんです。
　またお話の舞台は、イルミンスール魔法学校の敷地内にある「森の集会場」を拠点として始まります。
　皆様が元からそこにいてもよいですし、外部から集会場にやってきたという設定でもＯＫです。

　彗兎が体験入学を終了するまでの１週間、みなさんはイルミンスール魔法学校に滞在しているドンくんの遊び相手・話相手になって下さい。



　ただ、ひとつ注意してほしい事項があります。

　ドンくんは、とてつもないかまってちゃんですので、彼の行動には細やかに対応しなければいけません。
　またドンくんは少し世間常識に疎いため、認識間違いや理解の難しい表現を口にすることがありますので、
　その都度、みなさまの“華麗なる対処”が必要になります。


　原則として、ドンくんには常時ふたりが付き添って相手をしてあげて下さい。
　ずっと同じ方がふたりでもいいですし、別の人が変わりばんこになってもかまいません。

　あえて相手にせず傍観することも可能ですが、必ずそのぶんのフォローが必要になります。


　ドンくんは自分から積極的に行動することが苦手なので、そういう時はなにをすればいいのか、
　行動のきっかけを示してあげるといいかもしれません。

・ドンくんのお世話役に徹する

・ドンくんに自分の特技などを見せる

・ドンくんの行動をひたすら待つ

・森の中を探検に行く