シナリオガイド
滅びた村を狙う死霊術師。さあ、この地に平穏を取り戻そう!
シナリオ名:【カナン再生記】風に舞いし鎮魂歌 ~彷徨える魂を救え~ / 担当マスター:
風間 皇介
「こんなにも寂しい場所が続くなんて……本当にここが、少し前までは緑豊かな大地だったと言うのかしら……?」
西カナンを通るマルドゥーク道。そこを歩きながら篁 光奈(たかむら・みつな)が呟きました。
この辺りは有志達の努力によって、先日ようやく街道の整備が終わったばかりです。
その街道を歩いているのは多数の商人や冒険者達。
カナンに滞在しているはずの父と長女の下を訪れる為にやって来た光奈もその中の一人でした。
「全く酷いもんだよな。元の状態に戻るまでどれだけかかるもんだか」
「そもそも戻るという保証も無いがな。この道を伸ばすだけでも結構な苦労があったもんだ」
旅人達からそんな声が聞こえてきます。
彼らの中にはかつてのカナンを知っている者達もいるのでしょう。荒野の続くこの状況を嘆く声がほとんどでした。
その時、光奈の隣を歩いていた篁 八雲(たかむら・やくも)が何かを感じ取りました。
「ねぇ、お姉ちゃん。何か聞こえない?」
「えっ? ……私には皆さんの話し声しか聞こえないけど」
「ううん、違うよ……あっち。向こうの方から誰かの声が聞こえる」
八雲が指を差したのは街道から少し外れた方角でした。そちらをじっと見てみますが、特に誰かがいる様には見えません。
「本当に誰かの声なの? 八雲ちゃん。風の音を聞き間違えただけじゃ――」
「気のせいじゃないよ、聞こえるんだ。――こっち!」
「あ、八雲ちゃん!?」
いつもは弱気で大人しいのに、突如何かに導かれたかの様に走り出す八雲。光奈や何人かの冒険者も慌ててそれを追いかけます。
そうして少し走った頃、八雲は岩の陰に倒れている男性を見つけました。男性はうつ伏せに倒れ、ぴくりとも動きません。
――そう、全く動かないのです。
八雲が男性に手を伸ばすと、そこには冷たい感触しかありませんでした。それを受け、光奈が顔を伏せます。
「いつから倒れていたのかしら。残念だけどもう……」
「そんな……確かにこっちから声が聞こえたのに」
悲しみに顔を歪める八雲。そこに、どこかから声が聞こえてきました。
「――誰か、俺を助けてくれ」
「えっ?」
「今の声は……? これが八雲ちゃんが聞いた声?」
「う、うん。でもどこに……」
辺りを見回す一行。すると、既に事切れているはずの男性の所に同じ姿をした半透明の男が現れました。
「ああ良かった。俺の言葉がやっと届いた」
どうやら霊体――いわゆる幽霊のようです。彼は自身の声に気付いてくれた人がいた事に安堵し、状況を説明しました。
男の名はクリフ。ここから街道を外れて少し行った先にある小さな村、イズルートの村人でした。
イズルートは農業で保っていましたが、大多数の村の様に昨今の砂漠化と蝗害(こうがい)により生活基盤を破壊されていました。
それに追い討ちをかける様に疫病が流行りだし、その治療に走り回った村唯一の薬師であるクリフの妻もついに病に倒れ、亡くなってしまったそうです。
そして、他の村に助けを求める為に出てきたクリフ自身も病には勝てず、先日この場で果ててしまったのでした。
「あの時点で一番病状が軽かったのが俺だったんだ。その俺がここで倒れた今、村はどうなっているのか……」
全てを語ったクリフが肩を落とします。どうやら彼が現世に留まっているのは、村という未練があるからの様でした。
「死んだ身でずうずうしいとは分かっている。でもお願いだ。俺の代わりに村を助けてくれないか?」
こうして八雲と光奈、そして同行している冒険者達は村の現状を確認する為、そして彼の亡骸を村で埋葬する為、イズルートへと向かう事にしたのでした。
「へぇ……いい素体が沢山いるじゃないか。こんな田舎には期待してなかったけど、中々の掘り出し物だね」
八雲達がイズルートへと向かい始めた頃、村では一人の少年が周囲を見下ろしていました。
彼の名はラウディ。征服王ネルガルの腹心である女神官アバドンに私兵として雇われたネクロマンサーです。
イズルートには既に埋葬する体力が残っていた者すらいなかったのでしょう。
病に倒れた彼らの亡骸は家に、外にと残されていました。
「さあ、君達にはこのボクが新しい生を与えてあげるよ。フフフ……」
ラウディが胸元の蒼い宝石がついたペンダントに手をやり、何かを呟きます。
すると、死していた村人達の亡骸が次々と立ち上がりました。意思は無く、その目に輝きもありません。
「なるほど、この宝石……さすがあの女が持っていたマジックアイテムだけの事はある」
村中の亡骸を使役出来た事に満足げに頷くラウディ。そこに、村へと近づく者達の姿が目に入りました。
「おや……滅びた村にやって来るとは酔狂な連中だ。まぁいい。せっかくだからこいつらの力を試す為に、ボクが相手してやるとするか」
不敵な笑みを見せるラウディ。その眼は赤く、怪しい輝きを見せていました――
担当マスターより
▼担当マスター
風間 皇介
▼マスターコメント
皆さんこんにちは。風間 皇介のシナリオ第四弾となります。
今回は滅びた村に平穏を取り戻す為、亡骸を利用しようとするネクロマンサーと戦う話になります。
【カナン再生記】のサイドストーリーとなり、抽選上の有利不利はありません。どの学校の方もどうぞご参加下さい。
なお、登場NPCについての補足はマスターページにあります。そちらもご参照下さい。
いつもどおり、篁家に対する交友関係もご自由にどうぞ。
まず状況説明を。
舞台は西カナンにある小さな村、イズルートです。
残念ながらこの村は砂漠化と疫病により、既に全ての村人が亡くなり滅びてしまいました。
八雲達は行き倒れになっていたクリフや他の人を弔う為に来ましたが、そこでラウディと戦闘になります。
ラウディは白髪赤眼の少年で、死した村人達の亡骸をカナン正規軍の戦力として利用しようとしています。
彼が首から提げているペンダントはアバドンが所有していたマジックアイテムで、それによりラウディは村中の亡骸を同時にアンデッドとして使役するほどの力を得ています。
このペンダントを奪取、或いは破壊しない限り、アンデッドを打ち倒しても再び立ち上がって来るでしょう。
また、ペンダントがラウディの手元にある間は、「アンデッド:レイス」や「ゾンビ馬」などの使用を試みても、彼に主導権を奪われてしまいます。
注意して下さい。
(ペンダントの影響が無くなればPCの指揮下に戻ります)
なお、既に彼が宝石と契約している為、ペンダントを奪取してもPCが使える訳ではありません。奪ったと同時に消滅します。
ちなみにラウディの周囲には四体のレイスが彼を護るように待機しています。
この四体はペンダントの奪取、破壊を妨害しますし、仮に奪取されてもラウディの影響下からは外れません。
時間が経てば復活もするので、ラウディ本人を倒す際の障害になるのは間違い無いでしょう。
その他、アンデッドの使役に伴い、ラウディはアンデッド自身の力を強化するマジックアイテムを各所に隠しています。
その効果がある状態だと、アンデッドの力が増す為に苦戦を強いられる可能性もあるでしょう。
弱体化を試みるならそれを探し出し、破壊して下さい。
マジックアイテムは札の様な物で、近くまで寄る事でいかにもな怪しい力を感じ取れます。
隠してある場所はアンデッドとなった村人が倒れていた=亡くなった場所です。
全ての村人がベッドの上で亡くなったとは限りません。色々探してみて下さい。
対ラウディ戦に参加する方は必要であれば直接対決(サンプルアクションの【1】)とペンダント奪取(同【2】)でMCとLCが別行動をとっても構いません。
ただし、一人が「奪取」と「ラウディとの直接対決」を両方やる事は出来ません。
どちらかを試みたら、反対の時は周囲の牽制に回って下さい。
また、八雲達の最終目的は村人を弔う事にあります。
アクション欄が余ったらで結構ですが、PCなりの弔い方があればご記入頂ければ最後に描写出来るかもしれません。
(展開及び執筆状況によっては描写出来ない可能性もありますので、あくまでおまけ程度に考えて下さい)
イズルートの村人が死兵として使役され続けるのか、それとも無事に弔う事が出来るのか。
残されたクリフの魂を救う為にも、是非貴方の力をお貸し下さい。
▼サンプルアクション
・【1】八雲と共に、ラウディ及び彼を護るレイス達と戦う
・【2】ラウディの持つ宝石を破壊、又は奪取する
・【3】光奈と共に村中に散らばるアンデッド達と戦う
・【4】アンデッド強化の札を探し出し、破壊する
▼予約受付締切日
(既に締切を迎えました)
2011年02月26日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2011年02月27日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2011年03月03日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2011年03月22日