天御柱学院

「おじさん、そんなところで何してるの？」
　
　雲海の真ん中。彩祢　ひびき（あやね・ひびき）は奇妙な光景に出会いました。
　カメのような巨大生物の背中で、中が空洞になったタル状の突起に、黒ひげの男がハマっているのです。

「お嬢ちゃん、ちょうどいいところに！　助けてくれ！
　この穴のどこかに俺の本体を刺せば、ここから出られるはずなんだ！」

「俺の本体？　おじさん、何言ってるの？」

　確かに、黒ひげのハマった突起にはいくつもの穴が空いています。
　見捨てるのはかわいそう。助けてあげようと思ったひびきですが、黒ひげの言っていることは意味不明です。

「わしは、かの名刀村正そのものなんじゃよ！
　このモンスターの背中に刺されてはや数十年。無念で魂だけが人の姿になってしまったんじゃ。
　わしをここから出してくれたら、魂も本体へと戻ろう。そうしたらお嬢ちゃんがわしを使ってくれ」
　
「ええ、本当！？　ようし、任せて！」　

　黒ひげの言うことは怪しすぎますが、日本刀コレクターのひびきはいとも簡単に信じました。

「……このモンスター、背中にいっぱい剣が刺さってるよ。どれがおじさん？」

「それが、分からなくなっちまったんだ。
　このモンスターの背中に一緒に剣を刺した二人は永遠に幸せになれる。
　そんな噂のせいで、次々と剣が増えていきやがる」

　黒ひげもとい村正が言うには、かつて自分の所有者も、恋人とともに自分をこのモンスターの背中に刺してどこかに行ってしまったとのことです。

「わしほどの名刀じゃ、きっと探せば見つかる」

「分かった！　村正、必ずゲットしちゃうもんね！」

　こうして、皆さんはひびきから協力を要請されることとなったのです。

※シナリオは、モンスターの背中に到着したところから始まります。飛行手段をもたない方も参加可能ですので、ご安心ください。

モンスターの上で何年も過ごしているという哀れな黒ひげ。皆さんの力で是非彼を助けてあげてください。
彼を助けるためには、「正しい穴に正しい剣」を刺す必要があります。
刺す場所、刺す剣のどちらを間違っても黒ひげは痛がり、怒ります。どちらも正しければ、彼はめでたく空中に発射されることでしょう。
しかし、皆さんの中にモンスターの背に剣を突き立てるカップルがいたら……正解の剣を見つけるのは難しくなりそうですね。

また、モンスターは、剣を刺されると気持ちいいらしく、身もだえをします。
その際背中の上は大きく揺れますので、ご注意ください。


2011年6月1日：修正
シナリオガイドの「正宗」を「村正」に統一いたしました。
アクションで「正宗」と書かれても、こちらで「村正」に読み替えて判定いたします。

・黒ひげの剣を探して、彼を助ける

・モンスターの背中に恋人と剣を突き刺す

・自分もタル状の突起にハマってみる

・無意味に剣を刺してみる