天御柱学院

　
　夕暮れの蒼空学園――
　いつも何かと騒がしいこの学園ですが、今日は少し違っていました。

　聞こえていたのは優雅なクラシック音楽で、
　庭や廊下を行く生徒たちは皆、華やかなドレスやスーツに身を包んでいます。
　掲示板の張り紙には、こう書かれていました。

『本日、夜。
　特設会場にて、シャンバラ各地の名士を招いた社交パーティーを開催。
　パーティー参加者と会場付近の生徒は社交パーティー用の衣装を着用すること。
　ドレス・スーツの無料レンタル有り。

　※社交マナーに不安のある者は講師から講習を受けるように。
　　特別講師：薔薇の学舎生徒、百合園女学院生徒』


　これは、シャンバラの人々との交流を深めるために企画されたものでした。
　いつもトラブル尽くめの蒼空学園で、こういったイベントを成功させることに意義があるようです。
　しかし、当然ながら、パーティーの失敗は蒼空学園や契約者全体の評判に関わってしまいます。

　普段と違うセレブな雰囲気を味わえるとはいえ、いくぶん緊張した面持ちの生徒たちなのでした。

　
◇　　◇

　一方――

「えへへ、結構よく出来たんじゃないかな？」

　蒼空学園に数ある技術倶楽部の内の一つ、第１３技術倶楽部。
　その数少ない部員にして部長であるメガネ娘、真柴　クリコはソバカスの下の口元を満足そうに綻ばせました。

　彼女の目の前には大量のジャック・ランタンが浮かんでいました。
　大きなカボチャを繰り抜いて機晶ロボットにかぶせ、マントを付けたものです。

「これでパーティーをもっと盛り上げられるよね。
　この前は実験に失敗して部室棟を吹き飛ばしちゃったから、皆の役に立てるといいな……」

　と。

「あれ？　何か様子が……？」
『トぅおおおおリィーーーック　おあ！　とりーーーっと！』
「どきゃああああーーーーーー！！？」

　突如暴走したジャック・ランタンたちは、クリコをしっちゃかめっちゃかに悪戯してから部室の外に飛び出し、
　社交パーティーが行われている会場へと向かっていったのでした。

「う……ううう、大変だわ……。レンタルドレスが弁償ものに……じゃなくて――
　このままだと、学園や契約者の評判が……」

　顔をマジックで落書きだらけにされたクリコは呻き、

「だれか……あの子たちを、止め……」

　きゅう、と気を失ったのでした。
　

各校合同でのイベントですので他校生の方も問題無く参加できます。

シャンバラの人々との交流を深めるための社交パーティー。
これを成功させて契約者の印象を良くできるか、あるいは失敗して悪評をたててしまうかはあなた次第……？

とはいえ。
たっぷりと楽しんだアクションお待ちしております！


■特設会場
　豪奢な装飾で彩られた会場は、まるでお城のホールのようなロマンティックな雰囲気に溢れています。
　そこでは豪華な料理や飲み物、生演奏のクラシカルな音楽が溢れ、素敵な衣装に身を包んだ参加者たちが思い思いにお喋りしながら食事や踊りを楽しんでいます。
　立食形式ですが椅子やテーブルは用意されています。

　生徒はウェイターなどのスタッフとして参加することも可能です。


■マナー講習会
　特設会場の近くの部屋では、有志で集まった薔薇の学舎の生徒や百合園女学院の生徒たちによって社交パーティーのマナー講習会が行われています。
　食事作法や社交ダンスなどの講習が行われており、マナーに不安のある生徒はここで基本的なことを習ってから会場に向かっています。


■機晶ロボット『ジャック・ランタン』
　ふよふよと大量に飛び回っています。
　暴走しており、目についた者に悪戯をしながら特設会場へ迫っています。
　お菓子を与えても悪戯は止まりません。

　会場付近では雰囲気を壊さないようにドレスかスーツの着用が義務付けられていますので、一張羅を汚されないようにお気をつけください。
　特にレンタルの人は要注意です。

・社交界デビュー！

・カボチャ退治

・マナーを勉強したい！

・バイトだぞっと。