シナリオガイド
謎の怪物、現る。その裏に怪しい影……。
シナリオ名:イルミンスールの怪物 / 担当マスター:
斉藤言成
イルミンスールの森。
最近そこで無惨に喰い殺された獣の死骸がみつかりました。
野生の動物たちが暮らす森なので別段珍しいことでもないように思えますが、その数が異常でした。
一匹、二匹などではなく数十匹の獣の死体が見つかったのです。しかも小さいものばかりではなく、大型の魔物までも喰いちぎられて朽ち果てていました。
「こんな大きな魔物まで襲うなんてびっくりですぅ」
その一枚の写真と共に報告を受けたエリザベート・ワルプルギスはあまり驚いていなさそうな声で驚きました。
「どうかしたの、エリザベート校長?」
と、そこへ本を借りに来たアゾート・ワルプルギスがひょっこり顔を出しました。そんなアゾートにエリザベートは写真を見せます。
「これは……」
「どうかしたんですかぁ、アゾート?」
アゾートは険しい顔つきになってつぶやきます。
「これは争ったんじゃない。何かの儀式の後……」
「え~っ」
エリザベートはまたあまり驚いていなさそうな声で驚きました。
そんなエリザベートに向かってアゾートはさらに続けます。
「ここをよく見て、エリザベート校長」
アゾートがそういって写真の中のある場所を指差します。
「これは小さいけど魔方陣ですねぇ」
「うん、しかもこれってかなり古いタイプの祭儀用の魔方陣だよね? だってボク、こんなの見たことないもん」
「あっ、これは……!」
声を上げたエリザベートは手を叩きます。
そして指を振って、校長室の本棚の中にあった分厚い本を魔法で自分の膝元へ引き寄せました。
「確かこの本の中にぃ……」
エリザベートはそうつぶやきながら、目を細めて膝元の本を見つめます。
すると本がひとりでに開き、エリザベートの記憶の中にある魔方陣の図柄を探してパラパラと捲れていきます。
「ありましたぁ」
「――エリザベート校長、これって!?」
「そうですぅ。禁術ですぅ」
エリザベートはそういうと口をへの字に曲げました。
エリザベートの説明によれば今回行われた禁術は遥か遠い昔に存在した”無貌の神”を呼び出す儀式の際に使われる魔方陣に酷似しているといいます。
「でもきっとこれは上手くいかなかったはずですぅ。この儀式についての詳しい記録のほとんどは闇に葬られていて、”禁術である”ということくらいしか私でもよくわからないですからねぇ」
「いったい誰がこんなことをしたんだろうね?」
「そうですぅ。誰が私のイルミンスールで勝手に禁術を……こうなったら徹底的に調べあげてやるですぅ!」
というわけで、エリザベートの命を受けたイルミンスール魔法学校の生徒が調査に向かいました。
禁術が行われた現場に足を踏み入れた生徒たち。そこで調べていくといくつかのことがわかりました。
まずは現場に残っていた魔方陣。
それはエリザベートの言っていた通り、遥か昔のエジプトで崇拝されていたらしい無貌の神と呼ばれるものを呼び出す儀式の際に使われていた魔方陣のようです。
次にわかったことは、死んでいた魔物たちの中にいままで見たこともないような姿をした魔物が多数混じっていたことや数人の人間がいた形跡があること。
最後に、森の奥へ向かうように木々が何本かへし折られていたことと大きな足跡が見つかりました。
それを見たイルミンスールの生徒たちは周囲に気を付けながら足跡を辿って奥に進みます。
するとそこには地下へと続く入口がありました。
怪しいものを見つけたので報告に帰ろうと生徒たちが踵を返したその時でした。
目の前に目玉のない双眸でじっと生徒たちを見つめる異形の怪物が突如現れたのです。
その底のない闇を宿した双眸に見つめられた生徒たちは、まるで何か悪い夢でも見たかのように我を忘れて叫び声をあげました。
「見つかってしまいましたか」
それを聞きつけて白衣を羽織った男が現れました。その男の後ろには武器を手にした鏖殺寺院の信徒たちの姿があります。
生徒たちはその者たちに囲まれると捕まってしまいました。
「遅い……遅いですぅ。これは何かあったに違いないですぅ」
生徒たちが帰って来ないことに不穏なものを感じたエリザベートは、急遽調査隊の編成を命じて事件解決のために動き出しました。
そしてこの事件解決のために声がかかったのが皆さんです。
エリザベートの期待に応えることができるのか――それは皆さんの行動にかかっています。
捕まってしまった生徒たちのことも気がかりです。イルミンスールの怪物を倒し、事件を解決に導いてください。
担当マスターより
▼担当マスター
斉藤言成
▼マスターコメント
いまさらですがあけましておめでとうございます。マスターの斉藤言成です。
本年もよろしくお願い致します。
さて、今回のシナリオの舞台はイルミンスールです。
普通ならば自分のところだけで解決をしたいところなのですが、イルミンスールの生徒が危険な状態にあることが考えられる状況から、部隊編成にあまり時間をかけられないと判断したエリザベートは今回に限り他校への救援要請を出しました。
よって、どの学園の生徒さんもこのシナリオに参加可能です。
それでは今回の目的です。
皆さんにはイルミンスールの怪物を倒し、捕まった生徒たちを助け出していただきたいと思います。
ここからはシナリオガイドに書かれていない補足情報になります。
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■イルミンスールの怪物について
巨大なグレイハウンドのような身体をしており、その身体には小さなハゲタカの翼が生えています。
翼は小さいので空を飛ぶことはできません。
顔は猪のようで下顎から生える大きな牙と鼻がついています。両目はくり抜かれたように何もなく、ただ闇が広がっています。
この目と視線を合わせると、どうやら精神になんらかの影響をきたしてしまうようです。
目の代わりに嗅覚が発達しています。敵の臭いを嗅ぎつけると、その巨体からは想像も出来ないくらい素早い動きで向かっていきます。
攻撃するための鋭い爪、口からは炎も吐き出します。見た目よりも皮膚は硬く、しっぽにあたる部分では蛇が鎌首をもたげています。
窮極の禁術によって生み出されたキメラ。それがイルミンスールの怪物です。
色々な特徴を持つのは喰らった魔物や獣の特徴をある程度吸収しているからのようです。
白衣の男からは「N-1(エヌワン)」と呼ばれており、彼の命令で動くようです。
現在はその姿を見せていません。地下アジトのどこかで飼われているようで、いまはそこにいる模様です。
■敵のアジトの様子
地下アジトが察知されたことを知った敵は、逃げる準備をしています。
白衣の男はまだ内部にいるようですが、鏖殺寺院の者たちや爪や牙が以上に発達した不気味なヴァリアントモンスターと呼ばれる魔物たちがアジトの周辺を警戒しています。
この者たちはそれほど強くはありませんが、それなりの数がいます。
アジトは地下にあり、見たところ入口はひとつだけのようです。他の場所から侵入することは出来るかもしれませんが、それだと見つけるまでに時間がかかり、捕まった有志の救出が遅れるかもしれません。
最短ルートでアジトの内部に潜入するには、誰かが警戒している敵の相手をする必要がありそうです。
内部にも白衣の男の護衛として何人かの鏖殺寺院の信徒が残っています。潜入した後も注意が必要です。
■捕まっているイルミンスール生徒たちの現状
捕まってしまった生徒たちは、武器を取り上げられ、現在は縛られてアジトのどこかにある牢屋に入れられています。
この牢屋はミミズが這ったような文字で書かれた魔術式がそこら中に書かれており、それが精神に影響を与え、内部にいる生徒たちは魔法やスキルなどが使用出来ない状態になっています。
強い魔力を持つ生徒たちは白衣の男の命令で、人体実験のサンプルとして連れていかれるようです。
イルミンスール魔法学校に在籍するPCの場合、捕まっている生徒になることも出来ます。
その場合は上記の通り、武器や魔法、スキルが使えない状態となりますのでそのつもりでアクションをお願いします。
■白衣の男について
白衣の男の戦闘能力はないといっていいでしょう。ですがこの男がこのアジトの責任者のようです。
現在は数人の助手と一緒に必要な書類を集め、生徒たちを眠らせるための眠り薬を用意しています。
男や助手が羽織っている白衣の胸ポケットには、六芒星の中に”WF”と描かれた刺繍が施されています。
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補足情報は以上です。
繰り返しになってしまいますが、このシナリオはどの学園の生徒さんでも参加できます。
力を合せ、イルミンスールの怪物を倒して囚われの生徒を助け出してあげてください。
皆さんのご参加をお待ちしております!
▼サンプルアクション
・イルミンスールの怪物と戦う
・ザコ敵を引きつける。
・生徒たちを助けに向かう。
・一緒に捕まった仲間を励ます。(イルミンスールPC限定)
▼予約受付締切日
(予約枠が残っている為延長されています)
2012年01月21日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2012年01月22日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2012年01月26日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2012年02月09日