天御柱学院

　
「うそ……なぜ、貴方がこんな事を……」
　
　宿屋の女将であるミューエ・トラオアー……彼女の目に信じられないような光景が飛び込んできました。
　
　部屋に立つ男……ヒルフェ・シュメルツが血に塗れた剣を握っています。
　そのそばに倒れているのは、ミューエの妹であり、ヒルフェの恋人……リーゼ・トラオアーです。
　うつぶせに倒れた彼女からは、真っ赤な血が流れ出し、床に染みこんでいます。

　部屋の壁や床、天井には鋭利な刃物で引き裂いたような傷がたくさんあります。
　机に置いてあった花瓶や調度品は壊れ、様々な物が床に散乱しています。

　恋人であったヒルフェとリーゼが殺し合った……部屋の様子からミューエはそう判断しました。
　リーゼの持っていた魔剣を奪い取ると、ヒルフェは窓の方に走ります。

「ヒルフェッ！　待ってッ！」

　ミューエが声を掛けますが、ヒルフェは何も言わずに窓から逃走していきました。

「貴方達は……もうすぐ結婚するんじゃなかったの……？　あんなに嬉しそうに話してくれていたのは
　夢だとでも言うの……」

　ミューエはその場に崩れ落ち、動かなくなったリーゼを涙ながらに抱きしめました。


　街中を走るヒルフェの前に転んで泣いている少女がいます。
　彼は少女を助け起こすと、ポケットから飴玉を取りだして少女の手に握らせました。
　ヒルフェの優しい笑顔につられ、少女もつい笑顔になります。

　少女がお礼を言おうと立ち上がると、お礼を聞くよりも早く、
　ヒルフェはまた街の外に向かって走って行ってしまいました。
　
　ヒルフェは人とぶつかることすら気にせずに全速力で街の外に出ました。

　彼は魔剣をしっかりと腰に固定すると、火山を目指して走り去っていきました。


　それから、少ししてミューエから契約者達に依頼が出されました。

　大切な妹を殺した男から、遺品の魔剣を取り戻して欲しい……と。

二作品目となります。まだまだな所が多いと思いますが、参加して頂けると嬉しいです。
今回は、ヒルフェを追う場合、火山での戦闘となります。

ヒルフェ・シュメルツ
：フェルブレイドの男性。リーベの恋人。
　現在、逃走中。

リーベ・トラオアー
：フェルブレイドの女性。魔剣の使い手。ヒルフェの恋人。
　ヒルフェに殺害された。その剣技の腕前は一流。町の人からの人気も高かった。

ミューエ・トラオアー
：リーベの姉。宿屋の女将。

・魔剣を取り戻し、お姉さんに返却する

・魔剣について調べる

・魔剣は強いものが持ってこそ、価値があるのだよ

・思いっきり、暴れるぞおおおーッ！！