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壊獣へ至る系譜:共鳴竜が祈り歌う子守唄

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壊獣へ至る系譜:共鳴竜が祈り歌う子守唄

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シナリオガイド

老竜の祈りは、聞いた者の体を蝕み腐らすだろう。
シナリオ名:壊獣へ至る系譜:共鳴竜が祈り歌う子守唄 / 担当マスター: 保坂紫子

 シャンバラ大荒野を戦闘用機晶バイクが走っていました。
 乗っているのは王 大鋸(わん・だーじゅ)と、パートナーのシー・イー(しー・いー)の二人です。
「大学からの依頼でフィールドワークに来たが何もないなー」
「絵に描いたような風景だゾ」
 日差しはきついものの生き物の影が見当たらずどこまで行っても変わらない景色に、荒野を走るだけの簡単な仕事になりつつある二人は一旦戦闘用機晶バイクを止めたました。
「にしても静かだぜ。シャンバラ大荒野のスリリングな響きが嘘みてぇだ」
「本当に静か――なんダ?」
「どうした?」
「歌が、聞こえるゾ」
「うたぁ?」
「聞こえないカ?」
 促されて大鋸は耳を澄ましますが、ただ風が吹き抜ける音しか聞き取れません。
「んにゃ、なーんにも聞こえないぜ?」
「オカシイ。こんなにもはっきり聞こえるのに……もしかして、竜の、子守唄?」
「は?」
「竜が幼子……ドラゴニュートだけしか聞こえない声で歌うことをそう呼ぶんダ」
「そんなのあんのか?」
「子守唄以外にも呼び方は他に沢山あル。が、ワタシに聞こえてあなたに聞こえないなら、ソレしかワタシは心当たりがなイ」
「するってぇと何か、竜が近くにいるのか?」
「――おそらク。少し戦闘用機晶バイクを走らせよウ。この声で歌うってのは滅多にないんだ、何か発見できるかもしれないゾ」
「了解っと」
 戦闘用機晶バイクは再び走り出しました。
「なんだぁこりゃぁ」
 目的地に近くなるにつれて荒野の雰囲気が少しずつおかしくなっていきます。
 砕かれた岩の残骸や大小様々なクレーターが二人の予感を煽ぎます。
「居た、あそこダ!」
 シーが指差す先にはいかにもドラゴン然とした巨躯が、ぎらついた太陽の日差しを一身に受けていました。
 そこには、四肢は地面に埋め込むように大地を捉え、太い尾で自重を支えるように、天を仰ぐように喉を逸らし、祈るように両目を閉じた、老いた竜が居ました。
 シーが身震いします。
「どうした?」
「歌が肌に染み入る様ダ……何か嫌な予感がすル」
 言ったシーの鱗が一枚、散るように剥がれ落ちます。
「おい」
 また一枚鱗が剥がれるのを見てシーは僅かに顔色を変えました。
「歌、ダ。歌わせるのをやめさセロ。共鳴しているゾ!」
「共鳴?」
「説明できない、竜の子守唄にこんな効果があるとは思えないが、共鳴としか言えないんダ。ワタシの体が歌と共鳴している、共鳴して崩れ落ち、ル!」
 シーは本能的にそう悟りました。
 体が歌と共鳴して一種の鱗病の様に鱗を剥がし肉を腐らせていきます。影響はこの場だけではなく大気を伝わりいずれは質の悪い疫病の様に大陸全土に染み渡るだろうと、悟りました。
「わかった。とにかく歌わせなければいいんだな? だが二人じゃ無理だな。大学に連絡を――」
 液晶画面を見て、大鋸は軽く目を見張りました。
 末端は、救難信号を受信しています。
 信号は竜が座す粉々に砕かれた岩の下から発信されているようでした。
「誰か、居るのか?」
 この荒れ果てた大地の下に誰かが埋もれている様です。
「歌うのをやめさセロ」
 シーが繰り返します。
 それを聞き咎めた様に竜が動きました。
 悠然とした動作で大鋸達に振り返ります。
 老いた竜の雰囲気に飲まれたのか隠れることもできなかった二人に竜は――共鳴竜は大地を震わさんばかりに咆哮を上げました。
 そして、白濁した眼を敵意に滾らせて二人に襲いかかります。

担当マスターより

▼担当マスター

保坂紫子

▼マスターコメント

 はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。
 どうぞよろしくお願いします。



 共鳴竜と応戦しながら王 大鋸は大学に連絡を入れることに成功し、今は岩陰にシー・イーと二人隠れているみたいです。 
 共鳴竜は二人の姿が見えなくなったのを知ると元の位置に戻り、元の格好で空を仰ぎ両目を閉じています。
 竜の子守唄は歌われ続けている様で、シー・イーの容態は時間が経つにつれて悪化していきます。
 また、共鳴竜が座す砕石の下からは未だ助けを求める電子信号が発信され続けています。

■竜の子守唄
 当シナリオではそう総称させていただいている、ドラゴニュートにしか聴こえない竜の歌声です。
 ドラゴニュートであれば本能的にそうと悟れます。

■共鳴竜
 全長約二十メートル、全高約六メートル、四本爪、二本角、一対の飛翼を持った砂色の老いた竜です。
 人影があれば全力で襲いかかってきます。元は喋る竜でしたが理性を失っている現在会話は不可能と思われます。
 本来なら竜の子守唄は何の効果もありませんが、この竜に限ってはドラゴニュートに悪質な影響を与えている様です。

■鱗病
 ドラゴニュートの鱗を剥がし肉を腐らせる病の総称であり、当シナリオでは共鳴竜の影響下での発症なので便宜上この様な名称とさせていただいております。

■要救助者の存在
 共鳴竜の下、砕かれた岩に埋没し生き埋めになっている人物がいる様です。

▼サンプルアクション

・歌う共鳴竜を止める。

・埋没した要救助者の救出。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年01月26日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月27日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月31日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年02月13日


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