雪山、遭難、殺雪だるま事件 リアクション公開中! |
シナリオガイドそれは吹雪を起こす雪猫の仕業……?
シナリオ名:雪山、遭難、殺雪だるま事件 / 担当マスター:
有沢楓花
――山の天気は変わりやすい、といいます。 * その山小屋は、小さな二階建てでした。 一階は管理人室と小さなロビー(と言うほどでもない部屋です)と調理場等となっており、二階には、廊下の南側に二段ベッドを詰め込んだ客室が三つ。一つだけあるトイレに行くは、一旦外に出ていかなければなりません。 雪と風、寒さから解放された生徒たちは、小さなロビーの暖炉の前に集まって暖を取り、濡れたレインウェアを壁際で干しています。 「ベルさん、大変助かりました」 村上 琴理(むらかみ・ことり)は、夫婦で山小屋の管理人をしている、という三十代の体格の良い女性に頭を下げました。 「開いてて良かったわね、しかしこれだけのお客さんが一気に来るとはねぇ……」 ベルは困ったように唸ります。 ここは登山者に簡単な寝床と食事を用意するためのもので、基本的に登山シーズンにしか開けておらず、たまたま、メンテナンスのために来ていたというのです。 「しかし困ったわねぇ。旦那は今丁度街まで買い出しに行ってて、あんまり食糧が残ってないのよ。 この人数だとせいぜい1、2日が限度ってところかしら。 さっき言ってたマフラーだけど、丁度ハシゴが壊れてるんだよ。こっちも旦那が帰って来るまで待ってて。そうそう、水流してる管も凍ってないといいんだけど」 「私たちの多くは契約者ですの。水道管を温めたり、何でしたら、魔術で雪を溶かして作りますわ。不本意ですけど、たらいでもあれば、入浴もできますわよ」 アナスタシアは得意げに胸に手を当てましたが、琴理が指摘します。 「でも流石の契約者も空腹には勝てませんよ。別荘にお世話になるつもりでしたから、一食分の非常食くらいしかありません。 ここは低山で、雪が積もっても、滅多なことでは吹雪にならないと聞いていましたから……」 ベルはまぁそれもだけど、と顔を曇らせます。 「旦那もこんな吹雪だから、すぐには帰ってこれないだろうね……こんな吹雪はホントに珍しいよ。多分、アレの仕業だ」 「アレ、って何ですか?」 琴理が訊ねると、声を低くして言いました。 「この山には……雪の精霊っていうか、雪の怪物っていうか。雪猫っていう、尻尾の長い、大きな白い猫が住んでるんだ。雪を降らせて、周囲を凍てつかせてしまう猫たちさ。 人前にはめったに出てこないんだけどね、何十年かに一回、どうしてか住処を変えるんだよ。その時、何日かこうやってひどい吹雪にするんだって。 どうやら人に姿を見られないためにするんだって、街のご老人たちは言ってるよ。あたしも、実際にこんな吹雪を見たのは初めてだ」 「怪物ですか……可愛らしいお嬢さん方は――校長や百合園の皆さんは僕がお守りします!」 守護天使も言いましたが、暖炉に当たって顔だけで振り向いたので、まるで説得力がありませんでした。 その時、扉が開いて、吹雪と一緒に静香とフェルナン、それに何人かの生徒が戻ってきました。 静香の手に、地下の倉庫から持ち出したランタンの灯りが揺れています。 「ああ、少し風が弱くなった気がしたから、周囲を見て回ってきたんだ。 あと、扉の雪かきついでに雪だるまも作ったんだよ。すぐまた風が強くなっちゃったから、途中までだけど」 成程、窓からぼんやりと、三段重ねの雪だるまが見えています。屋根にまで届きそうな大きさです。 「……こういう時だからこそ、気分を暗くしないように、ね。明日にでも、風が止んだらみんなで顔付けに行こう」 静香は微笑み、そうして今後の予定の相談を始めたのですが……。 * 翌朝になって、雪は一旦弱くなったかに思えました。地山小屋の米で簡単なおかゆの朝食を済ませた後、外に様子を見た生徒が見たものは、三段重ねの雪だるまのそれぞれが、あちこちに散らばっている姿でした。 しゃがんで頭だかお腹だかを確かめたアナスタシアは、一部が溶けたように固まっているのを見付けました。 「雪だるま殺人事件。……これは、クローズド・サークル、というものですわね」 仰々しく、覚えたての用語を口にしました。疑問符を顔に浮かべた守護天使に、得意げに説明します。 「外界と隔絶された状況で起こる事件のことですわ。大抵の場合、通信手段も登場人物も限られてますわ。つまり犯人はこの中に――」 琴理はわざとらしく咳払いをして、言葉を遮り、ベルから貰った地図を広げました。目的地だったラズィーヤの別荘と山小屋は、風の通り道となっているという平原を挟んで反対にあります。 「……とにかく、別荘までは数時間です。吹雪が収まるまで何とか持ちこたえましょう。倉庫に斧がありましたよね。 私、近くの木まで行って、たき木を拾って、薪を切ってきます。運が良ければ木の実もあるかもしれませんし」 「では、私は雪でブロックを作って積んできます。風を緩めらるかもしれません」 琴理とフェルナンは外に出ていきました。 「よろしくね。……僕は、ベルさんにもう一度倉庫を見せてもらうよ。何か使えるものがあるかも」 しかし、吹雪は今日も一向にやまず、強い風と雪に山小屋は震え――。 別荘に不着、との連絡をラズィーヤから受けた百合園女学院は、救助の契約者を募り、山へと出発したのでした。 行く道からはしかし、殺気だった猫の声が風に乗って低く響いてきています。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、有沢です。 ▼サンプルアクション ・遭難しました ・お嬢様方を救出に行く ・犯人はこの中に…… ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2014年01月09日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2014年01月10日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2014年01月14日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2014年01月24日 |
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