ここは、ペーパ・ドクの豪邸。
泡銭 平助は、逮捕するべく突入の時を待っていました。
「泡銭さん! 総員配置につきました!」
「よし、総員――」
そう平助が言いかけたときでした、豪邸の方から一瞬少女かと見間違えるような、1体のアンドロイドが姿を現しました。
「……セキュリティ権限を持たない拠点への脅威を捕捉、セキュリティルールに従い排除実行します」
「なんだ、銃を持ってるぞ!?」
警備型アンドロイドは腰のポケットから銃のようなものを取り出すとそのトリガーを躊躇なく引きます。
その刹那、目の眩むような光があたりを包み込みました。
「ぎゃああああああああああああっ」
背後に居た、警察官のうち1人は逃げ遅れ、悲鳴を上げました。
§
「はーっはっはっは、私の発明品に驚き戦くが良い。その光線は男性なら忠誠を誓うが、女性なら私に惚れてしまうのだ!」
ペーパ・ドクは光線が発射される様子を見て高らかに笑い声を上げていました。
「博士、どうして女性と男性では動作が違うのでしょうか?」
相変わらず無愛想に助手は聞きます。
「はっ、愚問だな。ハーレムを手に入れるために決まっている」
「……ソウデスカ」
助手は小さくため息をつきながら外を見たときでした。何か様子が違うことに気がつきました。
「博士。大変恐縮ですが。あなたの発明品、今回も失敗したようです。
あちらの男性、忠誠ではなく博士に惚れてるように見えるのですが」
「なっ、ぬぁんだとぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
§
「大丈夫ですか!」
「ペーパさまぁあああっ! だぁいすきぃですっっ!」
下っ端の佐々木は思わぬ言葉に目を点とさせました。
光線を浴びた警察官は豪邸を見上げて、愛おしそうな声をあげています。
「泡銭さん、まさかこれ……」
「惚れさせ光線か、奴めホモ天国を作るつもりか!?」
「……今までと同じように使用者の意をくみ取って効果があるのではないかと思われます」
「だが、これを使わない手は無い。なら、光線を逆に利用してペーパを惚れさせるまで
もとい逮捕だ! 捕まえる子とができれば報酬も出すぞ!」
こうして、平助達はペーパ・ドク博士の豪邸へと踏み込むのでした。