天御柱学院

「それでは、封印を解除して、組成の再構成を開始する」
　生命樹図を模した祭壇の中央にケンちゃんの封印された魔法石をおいて散楽の翁が言いました。
　その図版は、あたかもコーラルネットワークを表したかのように、いくつもの座が有機的に何本ものラインで結ばれています。それぞれの座には、魔法石と貴金属などから作られた、何かのパーツのような物がおかれていました。一箇所だけは何もおかれず、その手前の座には、銀砂を精製して無害化したインゴットとケンちゃんの欠片の入った魔法石がおかれていました。
「ユグドラシル、アウタナ、セフィロト、アガスティア、西王母、扶桑、イルミンスール、クリフォト、マンダーラ……」
　散楽の翁が世界樹の名を呼ぶ度に、散らばっていたパーツが空いていた座に移動していき、大きく変化しながら一つに合わさって、剣の柄の形になりました。
　さらに、魔法石の封印が解かれ、鷽の巣から集めてきた銀砂と一つに溶け合って光を放ち始めました。その輝きが大きくふくらんで、少年の姿となります。
「降り立て」
　散楽の翁が命じると、少年が進み出て剣の柄を手に取りました。とたん、その姿が光条に満ちた刀身となり、剣の柄と一体化します。
「わーい、ケンちゃんだあー」
　その姿を見たランちゃんたちが、それぞれの武器の姿になって、剣の姿のケンちゃんに御挨拶をしていきました。
　チャンチャンバラバラと、ひとしきり御挨拶の打ち合いが続いた後、四人が人の姿に戻って、嬉しそうに手を繋ぎます。
「よかった。後は、彼女たちのマスターですね」
　大神　御嶽（おおがみ・うたき）が、散楽の翁に言いました。
「こちらは、簡単にはいきません」
　大神御嶽の言葉を受けて、アマオト・アオイが言いました。
「この封印石は、封印をより強固にするために光の速度を極限まで遅くして時を止めています。今、魔法石の中に見える彼らの姿は５０００年前の物です。この封印を解くためには、魔法石の結晶を形成している光を元の速さに戻してあげる必要があります」
「ては、どうすれば……」
「魔法石を、光の速さまで加速してやればいいのではないのでしょうか。それならば、いい物があります」
　そう言ってもアラザルク・ミトゥナが差し出したのは、一枚のチラシでした。
　『第３回ジェイダス杯』、チラシにはそう書かれていました。その開催場所は、シャンバラ大荒野、アトラスの傷跡の麓にできた遊園地のジェットコースターです。
「あれの構造は、フィールド加速器を利用したマスドライバーのはず。構造的には、サイクロトロンの代わりになるはずですが」
「さすがに、それは無理があるのでは……」
　アラザルク・ミトゥナの言葉に、大神御嶽がちょっと首をかしげました。
「ポータラカの技術を使えば、難しくはないですね。まあ、地球から見れば技術的には無茶苦茶でいいかげんかもしれませんが」
　散楽の翁が、苦笑交じりに言いました。できるというのであれば、そうなのでしょう。
「ただ、問題は、遊園地やジェットコースターを管理している恐竜騎士団が、大人しくサイクロトロンとして使わせてくれるかと言うことですが……」
　テンク・ウラニアが、ちょっと問題ありと言いました。
「だったら、優勝しちゃえばいいんで。ほらあ」
　そう言って、テンコ・タレイアが、チラシの一部を指さしました。
　そこには、「優勝賞品、ジェットコースター一週間貸し切り権」と書かれていました。

　というわけで、休日シナリオ内シナリオで続けてきましたキャンペーン、ほぼ大ラスです。
　本当は、葦原島が舞台だったはずなんですが、銀砂の入手方法やタイミングの結果が予定外だったので、あんまり葦原島関係なくなっちゃってます。
　さてさて、舞台は、アトラスの傷跡にある円環状のマスドライバーを改造したというかそのまま使っているジェットコースターでの新ジェイダス杯のレースです。まあ、伏線として振ってから、えらい時間経ってますが。
　コース的には、重力的なフィールドで形成されたチューブーのようなコースを１周します。小型飛空艇程度の乗り物に適当に乗ってください。飛行が望ましいですが、地上走行でも加速はされます。どうなるかは分かりませんが。そういう意味では、乗り物っぽい物でも、多分加速されます。
　加速フィールドなので、速度２０で、１００のコースを走ります。
　１０ごとに加速器があり、運が悪いと加速しすぎてコースアウトします。
　出場者以外は、罠をしかけられます。
　出場者は、乗り物に二人まで乗れます。
　１プレイヤーでのレース参加キャラの制限はありません。
　優勝者は、ケンちゃんたちのために協力してあげてください。
　とはいえ、関係者が優勝できなかったことも考えて、いろいろ根回ししておくのも必要かもしれません。

　なお、休日シナリオですので、キャンペーンには関係なく、俺シナリオ独走も可能です。
　ただし、あくまでも蒼空のフロンティアの設定内での独自アクションとなりますので、チェックは厳しくなりますから暴走しすぎないようにしてください。
　装備、スキル、設定など、ルールを逸脱した場合は、マスターが演出として使用する場合を除いて、アクションは無条件で失敗となります。
　また、オリジナルの設定が、マスターにちゃんと説明できていないと意味不明となり、最悪書きようがないので没になる場合があります。裏設定はすべて明示してください。
　基本的に、舞台は学校のある都市だけになります。地球にある実家などは全て夢扱いで行殺になりますから気をつけてください。
　ＮＰＣは、基本誰でも呼べますが、キャラによって難易度は極端に違います。
　私のＮＰＣや、過去のシナリオで頻繁に出ているＮＰＣはよほどでない限り１００％に近い確率で接触できますが、他マスターのＮＰＣやキャンペーン参加中のＮＰＣはほとんど０％に近いことになります。
　その他では、称号のあるなしや、アクションに明記されたシーンでの関係や、シナリオ検索でのヒットの内容などで難易度は変化します。
　ＮＰＣに関しては、なるべく登場する方向にしますが、保証はしませんので、アクションに出すときはその点御注意ください。難易度が高いキャラは、相応に出てきません。基本、登場しなくてもともと、出てきたらラッキーと考えておいてください。
　ＮＰＣとの関係も、運営チェックが入りますので、よほどの理由がない限りは変化しないと思ってください。

・レースに参加する

・レースに参加して優勝する

・リンちゃんとデート

・ジェットコースターを制圧する

・俺キャンペーン続行中